いまさらメロデス傑作選
 
〜メロディックデスメタル特集〜



DARK TRANQUILLITYIN FLAMESの登場は衝撃的だった。
それまではデスメタルといえば、暴虐さと邪悪の象徴であり、その過激さは一般の人々を退けるマイナリズムへの選別であったわけで、
そこにメロディを持ち込むなどということはある意味、御法度であったのだから。
それまでにもCARCASSEDGE OF SANITYといった、デスメタルにメロディを取り入れようとしたバンドはいるにはいた。
ただ、ダートラやインフレのように、それを北欧の叙情美と組み合わせてここまでドラマティックな音楽を作り上げたということが、
あまりにも新鮮であったし、それまでジャーマンメタル系のメロディアスなバンドたちに傾倒していた自分にとっては、
また新しくメロディアスな激しい音楽が現れたと、諸手を上げて彼らを歓迎した。
上記2バンドにAT THE GATESAMORPHISなども含めて、北欧のメロデスシーンは瞬く間に広がり
数多くのバンドたちが次々に現れた。もちろんその他の多くのフォロワーの中には、個性も技術もない
どうしようもないバンドもいるにはいたが、そうしたマイナーなバンドですらも、メロデスというだけで受け入れられた。

90年代後半になると、CHILDREN OF BODOMの登場により、メロデスとブラックメタルのボーダーレス化が進む。
それとともに、巧みなギターワークとシンセを取り入れたきらびやかなアレンジが母国フィンランドを中心に
数多くの次世代のフォロワーを生み出してゆくことになる。またSOILWORKは、いち早くメロデスという定型を超えようと、
そこにノーマルヴォイスを取り入れるなどして、そのサウンドを時代に合わせてモダン化させてゆく。
こうしたバンドを中心として、シーンの高品質化と脱マイナー化は、それまでメロデスを聴けなかった人々までも引き込み、
ひいてはアメリカにおける新時代のメタルムーブメントへとつながってゆくことになる。

現在では、メロデスといえば、シンセを使ったきらきらとした激しくも聴きやすい音楽として定着しているが、
ここでは、あらためてメロディックデスメタルというごく小さなジャンルの流れをさかのぼりつつ、
初期のバンドから受け継がれた手法を根底にした、メロデスの傑作アルバムを紹介してゆきたい。

                                   
2009.7.26  緑川 とうせい


■90年代メロデス黎明期の名作

EDGE OF SANTY Purgatory Afterglow」
スウェーデンのメロデスバンド、エッジ・オブ・サニティの4th。1994作
北欧におけるメロデスの元祖というべきこのバンド。初期は若干のメロディを含んだデスメタル
という雰囲気であったが、本作ではゴリゴリと荒々しかったサウンドがずいぶん聴きやすくなり。
暴虐性を減らした代わりにメロディアスさが増した。流麗なギターフレーズで聴かせるこのスタイルは、
IN FLAMESなどにも影響を与えたことだろう。硬派系メロディックデスの傑作である。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 初期メロデス度・・9 総合・・8
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DARK TRANQUILLITY Skydancer
スウェーデンのメロデスバンド、ダーク・トランキュリティの1st。1993作
現在はびこる全てのメロディックデスの元祖的存在であり、歴史的傑作アルバム。
2ndThe Galleryを最高傑作とする向きも多いが、私にとっては激しい荒々しさと
疾走につぐ疾走に北欧のもの悲しいメロディ折り込んだ、この1stこそが最高作である。
とにかく、ツインギターによる北欧的な叙情美を、ここまでデスメタルサウンドに融合させたのは
彼らが初めてであったし、その激しさと美しさに当時の私は激しく魅了されたのだ。
バンドは3rd以降、少しずつ方向性を変えてゆくが、このデビュー作は今なお輝きを放っている。
メロディアス度・・8 暴虐度・・8 ドラマティック度・・9 総合・・8.5
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IN FLAMES 「Lunar Strain」
スウェーデンのメロデスバンド、イン・フレイムスの1st。1994作
現在のモダン化したサウンドからは想像もつかないだろうが、彼らのデビュー当時は
土着的なギターフレーズによる少々イモ臭いメロデスであったのだ。AMORPHISなどもそうだが、
この北欧からしか出て来ないトラディショナルな質感は非常に魅力的であった。
そして、当時の日本盤ボーナストラックに収録されていた“Stand Ablaze”の美しさは本当に衝撃的で
それまでにこれほど美しく、そしてもの悲しい曲をメタルでは聴いたことがなかった。
現在ではこの究極のメロデス名曲は、ミニアルバム「Subterranean」で聴ける。
やや整合感を増した続く2nd「Jester Race」も、やはり初期の代表作である。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 北欧叙情度・・9 総合・・8
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AT THE GATESTerminal Spirit Disease
スウェーデンのメロデスバンド、アット・ザ・ゲイツの3rd。1994作
彼らの4th「Slaughter of the Soul」 は、北欧デスラッシュ系の元祖としても知られるが、
1st「The Red in the Sky Is Ours」はテクニカルデスの、本作3rdはメロディックデスの傑作である。
もの悲しいチェロによるイントロとともに、哀愁のリフが襲いかかる。耳障りなわめき声系のヴォーカルとともに
激しく疾走しつつ、クールなリフとときに煽情的なフレーズを奏でるギターワークが効果的だ。
やはりこの時代のバンドの音には最近のデスコア系にはないロマンがあるのだなあ。
アルバム後半はライブ音源になっていて、当時の勢いある彼らの演奏が楽しめる。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 ギターフレーズ度・・9 総合・・8
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Sentenced 「North from Here」
フィンランドの元メロデスバンド、センテンストの2nd。1993作
3rd「AMOK」で正統派メタルへ接近し、4th以降はメランコリックなゴシック色を増していったこのバンドであるが、
初期の頃はメロディを取り入れたデスメタル、もっというとプログレッシブなデスメタルであった。
ツインギターのフレーズには北欧的な叙情があり、激しい曲もあるものの、ヴォーカルを除けばデス色はさほどでもない。
疾走パートを含めてリズムチェンジを多用したせわしなさのなかに、クールな構築性が感じられるサウンドで、
むしろProgMetal的な展開の多さには当時は聴き疲れしたものだが、今あらためて聴き返すと、
単なるメロデスにはとどまらない、彼らのセンスと器の大きさが感じられる。Amazonだと1stとのカップリング盤がお得。
メロディアス度・・7 暴虐度・・7 知的展開度・・8 総合・・8
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SADIST 「Above the Light」
イタリアのメロデスバンド、サディストの1st。1994作
イントロのチェンバロの音色からしてクラシカルで、じつに美しく引き込まれるのだが、
いわゆる北欧のメロデスバンドとはルーツを異にする特異点的なバンドで、
リフやフレーズの叙情性ではなく、楽曲構造や展開においての知的さや唐突な切り口でハッとさせる
いわばプログレッシブ・デスに近いのかもしれない。耳障りなわめき声ヴォーカルとともに疾走しつつ、
舞い込んで来るようなピアノ、優雅なチェンバロ、そして流麗なギターパートにうっとりとなる。
ある意味、非常に落差の大きなサウンドだ。当時初めて聴いたときもかなりの衝撃を受けたのを覚えている。
続く2nd「Tribe」は大胆にシンセを取り入れたプログレ的な名盤で、そちらも奇跡的なまでの傑作。
メロディアス度・・7 暴虐度・・8 美意識度・・9 総合・・8
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ARCH ENEMY 「Black Earth」
スウェーデンのメタルバンド、アーク・エネミーの1st。1996作
今でこそ世界的な人気バンドとなった彼らだが、CARCASSが解散したのち、
マイケル・アモットはこのバンドをメインにしてゆくつもりはなかったらしい。
ここにはカーカスのようなアンダーグラウンドなデスメタル臭さは皆無で、
激しくとも整合感のあるタイトなサウンドはじつにモダンな感触で、そこに流麗と表現してもいいくらいの
メロディアスなギターパートが大胆に盛り込まれていることで、とても聴きやすいものとなっている。
厳密に言えば、いわゆる北欧メロデスの質感とは異なり「メロディの組み込まれたデス色のあるメタル」
なのであるが、この質の高さの前にはそれもつまらぬ論議か。アンジェラ加入後しか知らない方は聴くべし。
メロディアス度・・7 暴虐度・・7 ドラマティック度・・7 総合・・8
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OPETH 
「Morningrise」
スウェーデンのメロディック・デスメタルバンド、オーペスの2nd。1997作
自分が最初に聴いたオペスのアルバムがこれ。今でこそ認知度が上がったが、当時は中古屋に安く売られていた。
曲は全部10分以上で、うち20分が1曲と…分かりやすいメロデス全盛の時代にこれでは売れるわけはない。笑
しかし、私は聴いた瞬間このバンドが大好きになる。自分がプログレを好きだったこともあっただろうが、
この長尺の展開美における静寂感、もの悲しい叙情美にはなにか引き込まれるような世界観を感じたのだ。
次作以降のプログレッシブなアプローチに比べて、本作ではまだ随所にメロデス的なツインギターも楽しめ、
曲は長いがサウンド自体に難解さはない。アコースティカルなパートを巧みに取り入れた、
北欧的な薄暗い叙情を楽しめる知的なメロディックデスとして鑑賞して欲しい。
メロディアス度・・8 暴虐度・・6 ドラマティック度・・9 総合・・8.5

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■マイナーだけどいいメロデスです

A Canorous Quintet 「Silence of the World Beyond」
スウェーデンのメロデスバンド、ア・キャノラス・クインテットの1996作
ツインギターの叙情的なフレーズをメインに疾走するサウンドは、
シンセを一切使わずともこれくらいの展開美は作れるのだというお手本のようだ。
ダークな世界観をドラマティックに描いてゆくのは、シンセやテクノロジーに頼りがちな
昨今のバンドにこそ見習って欲しい。泣きのツインギターに悶絶しまくりの隠れた傑作。
かつて本物のメロデスとはこういう音楽のことを指したのだ。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 ドラマティック度・・8 総合・・8
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WITHOUT GRIEF Deflower
スウェーデンのメロデスバンド、ウィズアウト・グリーフのアルバム。1997作
初期IN FLAMESのフォロワーは数あれど、それをここまで上質に昇華した作品はそう多くない。
ザクザクとした重厚な感触を維持しながら、ツインギターの泣きのフレーズとともに疾走。
激しさと叙情のバランスも申し分なく、演奏技術もしっかりとあり、楽曲展開も一級品。
インフレタイプのメロデスが聴きたかったら本作をぜひ。続く2ndは少しクサメロが減ってしまった。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 ドラマティック度・・8 総合・・8
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Night in Gales 「Towards the Twilight」
ドイツのメロデスバンド、ナイト・イン・ゲイルスのアルバム。1997作
のっけから叙情的なツインギターで疾走。デスメタルというよりは、むしろBlind Guardianのような、
ジャーマンメタル的なメロディアスさを全面に出したサウンドには思わずにんまり。
楽曲自体は類型的で、とくに突出した個性はないのだが、とにかく、
このクサイまでの叙情メロディ、そしてツインギターの悶絶フレーズの連発はたまらない。
次作以降は硬質感をともなったややスラッシーな方向へいってしまい、
それもそれで質は高いのだが、クサメロのメロデスが好きなら本作だろう。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 クサメロ度・・9 総合・・7.5
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LOTHLORIEN 「THE PRIMAL EVENT」
スウェーデンのメロデスバンド、ロスローリエンのアルバム。1998作
ジャケだけ見るとプログレメタルかなにかのようだが、れっきとしたメロデスです。
これがかなり出来が良く、ひとことで言うとAT THE GATES をシンフォニックにした感じで、
激しく疾走しつつもバックにはキーボードの音色がかなりの割合でフィーチャーされている。
ギターの方も北欧的なメロウなリフを奏でていて、全体的に暴虐さよりはメロディアスさ、
シンフォニックな叙情性を重視していてとても聴きやすい。美しいメロデスが好きな方にかなりお勧め。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 シンフォニック度・・8 総合・・8
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EMBRACED 「AMOROUS ANATHEMA」
スウェーデンのメロデスバンド、エンブレイストの1st。1998作
ツインキーボードによるきらびやかなアレンジに、もの悲しいピアノの音色がじつに美しい。
リズム的にも単なる疾走ではなく、3拍子やときに変拍子的なアイディアも取り入れて、
非常に知的なセンスを感じさせる。また、シンフォニックな華麗さとともに耽美的な雰囲気は、
ゴシックメタル風に聴ける部分もある。センスのある美しいメロデスが好きな方は要チェック。
続く2nd「WITHIN」は元ACTのドラマーが加入して、さらにプログレ的要素が増した傑作となる。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 サウンドセンス・・9 総合・・8
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Autumn Leaves 「As Night Conquers Day」
デンマークのメロデスバンド、オータム・リーヴスの2nd。1999作
最初のメロデスブームに斜陽が射しはじめた世紀末に、
王道ともいうべき古き良きメロデスを追求していたバンドも少なからずいた。
ツインギターの叙情的なフレーズを乗せて疾走するこのバンドのスタイルは
初期のDARK TRANQUILLITYAT THE GATES的で、甘すぎないメロディを
ブルータルな攻撃力と融合させた、しごくまっとうなメロディックデスメタルである。
吐き捨て形のヴォーカルと、ザクザクとしたリフの感触がオールドな雰囲気でとてもいい。
ジャケの地味さでずっとスルーしていましたが、これは掘り出し物デス。
メロディアス度・・7 暴虐度・・8 ドラマティック度・・7 総合・・8
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SINS OF OMISSION 「Creation」
スウェーデンのメロデスバンド、シンズ・オブ・オミッションのアルバム。1999作
メロディックなギターフレーズとわめき声ヴォーカルを乗せて疾走するスタイルは
IN FLAMES + AT THE GATESという雰囲気で、叙情性と激しさを両立させながら
やや極端な展開で聴かせるところで、少しマイナー臭いがけっこう好みだったりする。
デスラッシュ的に疾走するかと思えば、クサメロのギターを惜しげもなく聴かせたりと
そのとりとめのなさがかえって面白い。良く言えばメリハリのあるヘンテコなアレンジが魅力。
次作ではメロディが抑え目でやや中途半端な出来になってしまっただけに、本作は隠れた好作といえる。
メロディアス度・・7 暴虐度・・7 知的展開度・・8 総合・・7.5
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EXHUMATION 「Dance Across the Past」
ギリシャのメロデスバンド、エグズメーションのアルバム。1999作
ツインギターによる叙情的なギターリフと、激しいデス声で聴かせるサウンド。
初期のIN FLAMES的な雰囲気に加え、ギリシャ特有のミステリアスな感覚が加わって
いわゆる北欧メロデス勢とはやや異なる印象だ。印象的なメロディのフレーズや
ときに知的な展開力をともなった楽曲は、このバンドのセンスの良さを感じさせる。
ゴシックメタル的な薄暗さも味になっていて、激しさとともに美意識の感じられる作品だ。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 薄暗叙情度・・8 総合・・8
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■チルボド、ソイルの登場で新たなメロデスの波が

CHILDREN OF BODOM 
「FOLLOW THE REAPER」
フィンランドのメロデスバンド、チルドレン・オブ・ボドムの3rd。2000作
デスメタルとは思えないメロディアスさと、軽快さで疾走。きらきらとしたキーボードに、
テクニカルな様式フレーズを撒き散らす流麗なギターサウンドは今作でついに完成の域に達した。
とくにタイトル曲である1曲目は、正統的なメタルリフと、メロデスの疾走、そして泣きのメロディと
すべてがハマったチルボド最高の名曲だろう。40分弱と収録時間は短いが、
この完成度の高さはフィンランド産メロデス最高の一枚といっていい。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 完成度・・9 総合・・8
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SOILWORK 「The Chainheart Machine」
スウェーデンのモダン・メロデスバンド、ソイル・ワークの2nd。2000作
デビュー作の時点ですでらに質の高いサウンドを作り上げていた彼らだが、
本作では音に力強さが加わった。ツインギターの流麗なギターフレーズとともに
メロディアスに疾走するスタイルは、チルボドやアーク・エネミーからの影響を覗かせつつ、
さらにスタイリッシュな整合感と若者らしいモダンなきらびやかさを音にまとわせている。
リズム的な遊びを取り入れる知性的なアレンジも本作でほぼ完成されている。
後にモダン化してゆく布石のようなものを随所に感じさせながら、
メロデスとしての激しさもしっかり楽しめるという傑作アルバムだ。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 スタイリッシュ度・・9 総合・・8
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KALMAH 「Swamplord
フィンランドのメロデスバンド、カルマーの1st。2000作
じつのところこのバンドの2nd以降のアルバムは、メロディアスなあざとさが強すぎて
あまり好きになれなかったのだが、この1stはギターフレーズに哀愁を感じさせる
北欧オールドメロデスの泣きがあっていい感じです。やや土着的な香りのするメロディと、
ブラックメタル風の絶叫ヴォーカルが合わさって、暴虐に疾走しつつも、とても聴きやすい。
シンセに頼りすぎないことで、メロデスとしての格好良さが損なわれていないのだな。
今や、フィンランドを代表するメロデスバンドとなった彼らだが、むしろ最高傑作は本作か。
メロディアス度・・8 暴虐度・・8 北欧度・・8 総合・・8
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CADACROSS 「SO PALE IS THE LIGHT」
フィンランドのメロデスバンド、カダクロスの1st。2001作
透明感のあるキーボードとギターによる実に美しいメロデスサウンド。
いかにも北欧らしいやや田舎ぎみの土着メロディが人懐こい感じで、
曲も速すぎず遅すぎずであまり激しくなく、さらに音質が少しこもりがちのせいが、
サウンドにエッジが立っていなくて、それがかえってぼんやりとして心地よく聴けます。
いっそダミ声のヴォーカルが無用に思えるほどの美麗なサウンド。
Eternal Tears of Sorrowをややイモくさくした感じでしょうか。
2ndだともっとカッチリとしたチルボド系の音になっていて、そちらも質は高いです。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 北欧度・・9 総合・・8
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INSOMNIUM 「IN THE HALLS OF AWAKING」
フィンランドのメロデスバンド、インソムニウムの1st。2002作
このバンドの特徴は、ツインギターの奏でるいかにも北欧らしいメロディで、
初期AMORPHISの土着性をメロデスに持ち込んだようなサウンド、ともいえる。
昨今シンセに頼りがちなバンドが多い中、こうして北欧という固有の地域性を保って
それを音に表現できるバンドが存在していることは、とても嬉しく思う。
キラキラと疾走はしないが、やや田舎臭いメロディをふりまくギターの音色は
初期IN FLAMESあたりが好きな私にとってはとても心地よい音なのだ。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 北欧メロ度・・9 総合・・8
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THRONE OF CHAOS 「PERVERTIGO」
フィンランドのメロデスバンド、スローン・オブ・ケイオスの2nd。2002作
流麗なツインギターで疾走する部分は1stから続く北欧メロデスの王道的サウンドだが、
今回はシンセパートが重要度を増し、ノーマル声の歌唱やリズム的なアプローチも取り入れるなど、
少しずつプログッシブな要素が強まっている。メロデスとしての定型サウンドの裏側に、
時に北欧的な静けさと叙情とが現れると、そのセンスの良さはPAIN OF SALVATIONをも想起させる。
ギターの奏でるメロディの質もとても高く、メンバーの確かな技術と豊かな感性には感心する。
TOCに改名しての次作「LOS ANGELS」はそのプログレ性をいっそう押し進めたド傑作である。
メロディアス度・・8 暴虐度・・6 楽曲センス・・9 総合・・8
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OMNIUM GATHERUM 「SPIRITS AND AUGUST LIGHT」
フィンランドのメロデスバンド、オムニウム・ギャザラムの1st。2002作
ツインギターの流麗なリフで疾走し、バックにはうっすらとシンセが鳴る、
一聴するとありがちなメロデスサウンドなのだが、演奏者の技量とセンスがあれば
ここまでよいサウンドになるのだという見本のような好アルバム。
とにかく、この巧みなリフワークとそのメロディのつなぎの心地よいこと。
暴虐さよりも、この流れるような展開美でしっかり聴けてしまう音なのですな。
ジャケのつまらなさで買うのを敬遠していた方も、これは聴いて損のないバンドです。
尚、再発盤には初期のEPがボーナスで収録されている。こちらも素晴らしい。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 楽曲センス・・9 総合・・8
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MORS PRINCIPIUM EST 「THE UNBORN」
フィンランドのメロデスバンド、モルス・プリンシピアム・エストの2nd。2005作
前作に比べ一聴して音の広がりがダイナミックになった。女性コーラスの導入や、
シンセのアレンジがスケール感のあるサウンドをかもし出し、音には大幅に説得力が増した。
そして、大きいのは疾走だけに頼らない曲作りで、センスあるギターリフにメロディ、
さらに様々なエフェクトを効果的に取り入れるなど、楽曲には工夫とアイディアが多い。
そして疾走するところは暴虐に、カタルシスをともなって突進する。
細部までアレンジの練られた高品質なメロディックデスメタルサウンド。
メロディアス度・・8 暴虐度・・8 クオリティ・・9 総合・・8
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DARK TRANQUILLITY 「CHARACTER」
スウェーデンのメロデスバンド、ダーク・トランキュリティの7th。2005作
北欧メロデスの元祖として登場しながら、一時期ゴシックメタル的なサウンドに変化し
その方向性に迷いを見せていた彼らだが、前作「Damage Done」からかつての勢いを取り戻し、
続く本作では1曲目からアグレッシブな疾走感とともに、迷いのない勢いを聴かせてくれる。
デスラッシュ的な硬質感とともに激烈に疾走しつつ、彼ららしいメランコリックなメロディを乗せ、
そこにミカエル・スタンネの迫力あるデスヴォイスが咆哮を上げる。
シンセによる味付けなど、曲によっては以前のゴシック的要素を上手く取り込んでいて、
モダンなヘヴィさともにダークなドラマ性を感じさせるダートラサウンドはここに健在だ。
メロディアス度・・7 暴虐度・・8 これぞダートラ度・・8 総合・・8
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DARK LUNACY The Diarist
イタリアのメロデスバンド、ダーク・ルナシーの3rd。2006作
デビュー時は管弦楽入りのデスメタルということで話題を呼んだバンドだが、
本作は、第二次大戦中のロシア、レニングラードの戦いの悲劇をテーマにしたコンセプト作で、
ストリングスはなくなり、代わりにギターによるメランコリックなフレーズの魅力が増している。
荘厳なコーラスワークとシンセによるオーケストラアレンジなどがサウンドに説得力を与えて、
これまでになく重厚な雰囲気を生み出していて、テーマがテーマだけに作品全体に漂うもの悲しさは
ある種ゴシックメタル的でもある。ときおり挿入されるロシア語の語りなども映画的な効果をもたらし、
クラシカルな要素は減退したが、もの悲しくも美しいドラマティックさで聴かせる傑作だ。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 メランコリック度・・8 総合・・8
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HEARSE 「In These Veins
Arch Enemyのヨハン・リーヴァが在籍する、ハースのアルバム。2006作
アーエネ自体もファンでないので、彼のヴォーカルについてもあまり記憶にないのだが、
ツインギターで聴かせるオールドスタイルのメロデスサウンドは、先入観なしに楽しめる。
咆哮するスクリームヴォイスと、甘すぎないギターフレーズが一体となって
重厚に突進してゆく楽曲は、昨今流行りのモダンさに流されることなく、
自らの立ち位置をしっかりと見極めたような自信と質の高さが伺える。
リフの構築でドラマティックに世界観を描きつつ、Motorheadばりのデスロールな感覚が
なかなか爽快だ。久々にまっとうなメロディックなデスメタルを聴いたという感じがした。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 デスロール度・・8 総合・・8
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Nightrage 「A New Disease Is Born」
元EXHUMENTIONのGを中心としたメロデスバンド、ナイトレイジの3rd。2007作
1stは比較的シンプルな突進型メロデスラッシュという雰囲気だったが、
本作ではメロディアスな部分はノーマルヴォイス入りでよりメロディアスになり、
疾走だけに頼らない、北欧風のギターフレーズがじつに効果的な作品になっている。
ガス.Gは脱退したものの、むしろギターにおけるメロディの充実度は上がっていて、
古き良きメロデスの質感を残しながら、SOILWORK的なモダンさを適度に融合させている。
アメリカのメタルコア連中には決してマネできない煽情的なメロが満載。これは見事なアルバムだ。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 楽曲・・8 総合・・8
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ANTERIOR 「THIS AGE OF SILENCE」
イギリスの新世代メタルバンド、アンテリアのアルバム。2007作
CHILDREN OF BODOMSOILWORKなどが世界的に台頭すると、アメリカではTRIVIUMAVENGED SEVENFOLD
イギリスではBULLET FOR MY VALENTINEDRAGONFORCEといった、勢いのある若手が現れて人気を集め、
メタルというジャンルを多様化させるともに、アンダーグラウンドから引き上げることに成功しつつある。
そしてこのバンドもまた、往年のメタルの質感を、メロデス、メタルコアなどの要素とともに再構築している。
一聴すると、そのサウンドはいわゆるニュースクール系の感触なのだが、流麗なツインギターの絡みは、
ただの若手バンドとは一線を画すものがあり、過去のバンドから受け継がれてきたものを基盤にしつつ
モダンなメロデス風アレンジの中で、質の高いメロディと演奏を聴かせてくれる。
アメリカのコア系バンドよりも、はるかにメタルへの愛着と敬意とが音には感じられる。
メロディアス度・・8 ツインギター度・・8 新鮮度・・7 総合・・8
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■日本にも良質なバンドはいます

SHADOW
日本のメロデスバンド、シャドウのアルバム。2001作
煽情的なツインギターのメロディで聴かせるIN FLAMESタイプのメロデス。
デス声で歌うのはなんと女性Voで、ARCH ENEMYのアンジェラ嬢ばりの
強烈な咆哮がなかなか見事だ。海外レーベルと契約したこともあって、
サウンドのクオリティは日本のバンドと思えないくらいに高い。
ギタリストのセンスも良く、AT THE GATES的なリフも出てきたりして、
オールドメロデス好きなら文句なく楽しめるだろう。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 オールドメロデス度・・8 総合・・8
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Blood Stain Child 「Idolator」
日本のメロデスバンド、ブラッド・ステイン・チャイルドの3rd。2005作
ただのチルボドフォロワーだった1stから比べると、格段の成長を遂げたアルバムだ。
激烈に疾走しながらも、シンフォニックなシンセに浮遊感をともなったサウンドは、
咆哮するデス声にノーマル声のコーラスワークが絡み、ときにキャッチーですらある。
さらにシンセワークのデジタリィ化は、疾走メロデスサウンドにモダンなトランス感覚をともない、
いままでにない新鮮な響きを感じさせる。これは次作でさらに顕著になるが、
下地となった本作の成功によるものだろう。これぞモダン・トランス・メロデスの誕生だ。
メロディアス度・・8 暴虐度・・8 モダントランス度・・8 総合・・8
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SERPENT 「CRADLE OF INSANITY」
日本のメロディックデスメタルバンド、サーペントの1st。2005作
勢いよく疾走しながら、非常にメロディアスかつ勇壮で、そしてドラマティック。
ギターのフレーズはIN FLAMESからの影響を感じさせつつも、さらに煽情的に、
ロマンティックなまでの美旋律を奏で、そこに乗る絶叫ヴォイスもどこか悲哀を感じさせる。
メロデスでありながらもサウンドにはクラシカルな情緒と湿りけがあり、
ワルツのリズムに乗り疾走する様は、繊細さと暴虐さを併せ持つ。
とにかく、この「美」へのこだわりはただごとでない。音に込められた美意識は
メロデスというよりもむしろX JAPANなどに近いようにも思える。
メロディアス度・・9 暴虐度・・7 繊細でロマン美度・・8 総合・・8.5
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SCARLET GARDEN 「DECADE OF DECADENCE」
日本のメロデスバンド、スカーレット・ガーデンのミニアルバム。2008作
北欧メロデス的なリフで疾走しつつ、ケリー・サイモンズの絶品のギターワークは、
ときにクラシカルな美しさで聴き手を魅了する。楽曲はただ激しいだけでなく、
ゆるやかな叙情性を含んだ展開力もあり、その辺の若手バンドでは真似のできない
音の迫力と質の高さが光る。日本人離れしたデスヴォイスも説得力充分で、
たとえば、SHADOWSERPENTなどと比較してもひけをとらないだけの完成度だ。
メロディアス度・・8 暴虐度・・8 日本人離れ度・・9 総合・・8

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京都出身のシンフォニック・メロデス、フォローベインの2011年作
ヴォーカル&ギターとギター&ベースの2人組みユニットで、本作はすでに5作目となる。
美麗なシンセアレンジ&オーケストレーションを含んで疾走するきらびやかなサウンドは
初期のCHILDREN OF BODOMや日本のSERPENTなどを思わせるもので、
メロディックなギターフレーズもセンスが良く、楽曲のレベルも自主盤にしてはかなり高い。
ドラムが打ち込みである点は惜しいが、今後が楽しみな逸材といえるだろう。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 美麗キラデス度・・9 総合・・8
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SERENITY IN MURDER
日本のシンフォニック・デスメタルバンド、セレニティ・イン・マーダーの2011年作
美麗なシンセをふんだんに使いながら、ブラストビート入りで激しく疾走する
シンフォニック・デスメタルサウンド。咆哮するデスヴォイスを歌っているのは女性で、その迫力は
ARCH ENEMYのアンジェラばり。初期のCHILDLEN OF BODOMを思わせるメロディアスさと
シンフォニックで厚みのあるシンセアレンジに流麗なギターフレーズが合わさって、
日本のバンドというレベルを超えた音の説得力がある。日本のメロデス系というと、
SHADOWSERPENTなどが思い出されるが、このバンドもまったく引けをとらないばかりか、
デビュー作にしてそれらを超えようかというレベルの高さ。世界で勝負できるバンドが出現した。
シンフォニック度・・8 メロディアス度・・8 暴虐度・・8 総合・・8.5
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