指輪物語アーサー王伝説
Lord of the Rings / King Arthur

ドラマ性を追求する類の音楽作品において、コンセプトとなるテーマというのは、その世界観を確立するのに大変重要な要素であるが。
トルーキンの「指輪物語」、そして「アーサー王伝説」というのは、幻想文学という側面においては世界的にももっとも人気があり、
また、その壮大にしてエピックな物語性と、想像性を掻き立てるという点で、メタルやプログレ作品との相性はとてもいいのであろう。
「指輪物語」はファンタジー文学、「アーサー王伝説」は史実をもとにした伝説という差異はあるのだが、
どちらもキャラクターや地名などの固有名詞、たとえば…ガンダルフ、ロスローリエン、マーリン、アヴァロン、エクスカリバーといった、
それらの単語だけでも、ワクワクとするような幻想世界を感じ取ることができるという点で、強固な世界観を有しているといえる。
ここでは、その二つの歴史的な作品…「ロード・オブ・ザ・リング」と「キング・アーサー」をテーマにした作品を集めてみた。

2020.4 緑川とうせい



■指輪物語をテーマにした作品

Bo Hansson 「Sagan om Ringen/Lord of the Rings」
スウェーデンのミュージシャン、ボ・ハンソンの1970/1972年作
トールキンの「指輪物語」をコンセプトにした作品で、オルガンを含むシンセにギターを重ね、
サックスやフルートの音色とともに、ゆったりとした牧歌的な味わいのサウンド。
オールインストながら、物語の場面ごとを描くような幻想的な聴き心地で、
北欧らしい土着的な叙情性と、サイケ気味のユルさが合わさったような好作品。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 北欧度・・8 総合・・8
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Mandalaband「The Eye of Wendor:Prophecies」
イギリスのシンフォニックロック、マンダラバンドの2nd。1978年作
圧倒的な完成度を誇った1st「曼陀羅組曲」からメンバーが大幅に入れ替わった本作は
「魔石ウェンダーの伝説」というタイトル通り、「指輪物語」をモチーフにしたファンタジックなコンセプトアルバム。
前作の濃密シンフォニック路線から一転、繊細かつメロディックな爽やかなサウンドで、牧歌的なやわらかさと、
オーケストレーションを含めた壮大な美しさが合わさった、前作に勝るとも劣らぬ傑作だ。
Woolly Wolstenholmeによる美麗なシンセワークも素晴らしく、流れるように曲が連なってゆく構成に引き込まれる。
シンフォニック度・・8 ファンタジック度・・9 壮大度・・9 総合・・9
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ISILDURS BANE「Sagan Om Den Irlandska Algen/Sagan Om Ringen
スウェーデンのシンフォニックロック、イシルドゥルス・バーネの1984年の1st/1988年の4thのカップリング。
北欧随一の知性派バンドとして知られる彼らだが、初期の作品においては、よりファンタジックで繊細なサウンドを描いていた。
北欧神話をテーマにした1stは、美麗なピアノから、CAMELばりのメロディックなギター、
フルートの音色で聴かせる、じつに美しいインスト作品で、素朴な暖かみと北欧的な爽やかさにうっとりとなる。
4thは「指輪物語」をテーマに、シンフォニックな構築性を増した傑作。北欧らしい涼やかな叙情メロディがたまらない。
一方では、テクニカルなリズムを取り入れるなど、後の作風の萌芽もかいま見える。初期の最高傑作といえる出来である。
シンフォニック度・・8 繊細度・・9 北欧度・・9 総合・・8
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ERIS PLUVIA「Rings of Earthly Lights」
イタリアのシンフォニックロック、エリス・プルヴィアの1991年作
指輪物語をコンセプトにした繊細な作品で、美しいフルートの音色にサックスが合わさり
メロウなギターに、しっとりとしたピアノ、うっすらとしたシンセでゆったりと聴かせるサウンドは、まさに夢見心地。
ヴォーカル曲における牧歌的な叙情も耳に優しく、一方ではしっかりとした演奏面での表現力が備わっているのも見事。
美しいジャケのセンスも素晴らしいが、やわらかな音作りでこれだけ世界観を表現できるというのが素晴らしい。
GANDALFなどを思わせる自然派のヒーリング感覚と、アコースティカルな美意識にうっとりの傑作です。
やわらかシンフォ度・・9 繊細度・・9 イタリア度・・7 総合・・8
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GLASS HAMMER 「journey of the dunadan」
アメリカのシンフォニックロック、グラス・ハマーの1st。1993年作
今やアメリカシンフォニックロックの最高峰にまで成長している彼らのデビュー作。
ファンタジックなジャケもそうだが、曲間に映画的な語りを導入するなど、
この時点からすでに濃密な作風で、「指輪物語」をテーマにしたシンフォニックロックが展開されてゆく。
かつてのYESにあったキャッチーな聴きやすさと、シンセによる派手な盛り上がりを聴かせつつ
アコースティカルで素朴な曲もあったりで、適度な力の抜け具合がよろしい。幻想的で高品質なシンフォニック作品と言える。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 ファンタジック度・・8 総合・・8
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GLASS HAMMER「THE MIDDLE EARTH ALBUM」
アメリカのシンフォニックロック、グラス・ハマーの5th。2001年作
本作はタイトル通り、ファンタジー小説の古典「指輪物語」をコンセプトにしたトータル作。
のっけから素朴なトラッド曲で面食らったが、そのうちシンセ入りの重厚シンフォが始まるだろうと、
聴き続けるも、いっこうにそうはならず、全編がアコースティックメイン。コリャ本物のメディーヴァルなトラッドアルバムだぁ。
コンセプトに本気で取り組み、自分たちのサウンドを隅にやってまで「指輪」の世界を真摯にを描き出そうとする「本気」度は凄い。
素朴な楽曲を聴いていると、中世の居酒屋で戦士や吟遊詩人たちが騒ぎながら歌声を上げる様が目に浮かぶようだ。
途中から女性ヴォーカルも加わり、アコギやマンドリンが優雅に響いて聞き手を中世の世界へと誘うようだ。
シンフォニック度・・6 プログレ度・・5 中世トラッ度・・9 総合・・7.5
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Mostly Autumn「Music Inspired By The Lord Of The Rings」
イギリスのシンフォニックロック、モストリー・オータムの2001年作
本作はトールキンの「指輪物語」をテーマにしたコンセプト作品で、ツインギターにシンセを重ねたイントロ曲から、、
アコースティックギターに、ヘザー嬢の美しいヴォーカルでしっとりと聴かせる優美なナンバーへとつながり、
物語的な流れとともに進んでゆく。やわらかなフルートやヴァイオリン、チェロなどの優雅な音色も加えつつ
ときにハードなギターが重厚なメリハリをつける、これまで以上にダイナミックな構築性が味わえる。
フォーク、ケルト的な素朴な味わいと、PINK FLOYDルーツのメロウなギターの叙情性も覗かせながら
映画サントラ的なイメージに包まれた幻想的なシンフォニックロックが描かれる逸品です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・8
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PAR LINDH & BJORN JOHANSSON「Bilbo」
スウェーデンのミューシシャン、パル・リンダービヨルン・ヨハンソンによる1996年作
トールキンの「指輪物語」の一作「ホビットの冒険」をコンセプトにした作品で、北欧らしい寒々しい叙情美と
フルートやクラリネットなどのアコースティカルな繊細さに、シンフォニックな美しいが加わった傑作。
中世的なチェンバロの音色や、荘厳なパイプオルガンなど、PLPとしての1作目である「GOTHIC IMPRESSIONS」
通じる雰囲気もあり、薄暗い叙情性と幻想美にうっとりだ。また、北欧トラッド的なメロディを散りばめているところが
いかにもBJORN JOHANSSONらしい。PLPのマグダレーナ嬢がヴォーカルで参加、ファンタジックな世界観に華を添えている。
シンフォニック度・・8 しっとり繊細度・・9 ファンタジック度・・9 総合・・8
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PAR LINDH & BJORN JOHANSSON「DREAMSONGS FROM MIDDLE EARTH」
北欧シンフォニックの名コンビ、パル・リンダービヨルン・ヨハンソンによる2004年作
前作「BILBO」に続き、今回もトールキンの「指輪物語」をテーマにしたコンセプト作。
ギター、マンドリン、ブズーキ他、トラッド楽器もこなすビヨルン・ヨハンソンの作曲能力と
マルチミュージシャンぶりは、彼のソロ作「DISCUS URSI'S DUI」で証明済み。
一方、 PLPでは弾きまくりのバロックシンフォをやっているパル・リンダーだが、
ここではやや抑え気味に、しっとりとしたピアノ、キーボードを聴かせてくれる。ストーリーにそって、曲はゆったりと流れてゆき、
北欧トラディショナル的なやわらかなメロディが耳に心地よい。アコースティカルで清涼感のあるシンフォサウンドだ。
シンフォニック度・・8 しっとり繊細度・・9 ファンタジック度・・9 総合・・8.5
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GANDALF「VISIONS 2001」
オーストリアのマルチミュージシャン、ガンダルフの2001年作
活動20周年を記念して制作した2枚組作品で、1枚目は自身の名前の由来ともなったトールキンの「指輪物語」をテーマに、
キーボード、ギターの他、チャランゴ(フォルクローレで使われる10弦の楽器)なども使用し、ゆるやかに聴かせる
シンフォニックトラッド的な作風。ギターの音色なども昔に比べてこの20年でぐっと深みを増したように感じられる。
2枚目は過去のアルバム群から曲を集めた集大成的なCDになっていて、貴重なライブテイクなど、
長年にわたる彼の活動のを改めて知ることができる。彼の目指すサウンドの核は、「自然との調和、融合」であり、
キーボード、ギターなどによる所謂シンフォニックロックとしての基盤をもちながら、フルート等の生楽器を用い、
素朴さと静寂の情緒を音に表現しているところにある。暖かなユートピア思想と、川のせせらぎのような心地よいサウンドだ。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・8
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STORMWITCH「War Of The Wizards」
ドイツのメタルバンド、ストームウィッチの6th。1992年作
1984年デビューという、キャリアではHELLOWEEN以上のベテランだが、知名度はからっきし。
私自身、本作を輸入盤でジャケ買いしたのがマイナー系ジャーマンメタル道に傾倒するきっかけだった。
「指輪物語」をテーマにしたアルバムで、1曲めからして、メロディックかつキャッチーでよいですね。
パワフルさのないハイトーンヴォーカルと、80年代ジャーマン風味のヘヴィすぎないサウンド、
アコースティックな繊細さを取り入れた欧州独特のファンタジックな世界観が合わさって、とても聴き心地よい。
今のテクニカル&ヘヴィ志向のメタルシーンとは一線を画す、ロマンの薫りにあふれたバンドである。
メロディアス度・・8 哀愁のジャーマン度・・9 ファンタジック度・・8 総合・・7.5
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BLIND GUARDIANNightfall in Middle Earth
ジャーマンメタルのベテラン、ブラインド・ガーディアンの6th。1998年作
トールキンの「指輪物語」から「シルマルリの物語」をテーマとしたコンセプトアルバム。
映画的な語りや効果音を随所に散りばめ、場面ごとに物語を描くように楽曲を構成した力作。
明快な疾走ジャーマンメタルからは一線を画し、ぱっと聴きには散漫な印象もあるのだが、
これまで同様に荘厳なコーラスワークや緻密なツインギターのフレーズは随所で光っており、
とくに名曲と言うべき“Mirror Mirror”のドラマティックな盛り上がりにはやはり拳を握る。
物語を想像しながらファンタジックな世界観に浸れる方にはぜひお勧めしたい。
ドラマティック度・・8 疾走度・・7 ファンタジック度・・9 総合・・8
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BOB CATLEY「MIDDLE EARTH」
イギリスのロックバンド、MAGNUMのヴォーカリスト、ボブ・カトレイのソロアルバム3作目。2001年作
同じ英国の叙情派ハードロックバンド、TENゲイリー・ヒューズがプロデュース、作曲も手がけている。
ボブ・カトレイのしっとりとした歌声をメインにしたドラマティックで落ち着きのあるサウンド。
「指輪物語」をコンセプトにし、キーボードとギターの重ねでシンフォニックな音像は
ボブの声質ともあいまって、押し付けがましさのない繊細なドラマ性を構築している。
メロディアス度・・8 ドラマティック度・・8 しっとり度・・9 総合・・8
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SAUROM LAMDERTH「SOMORAS DEL ESTE」
スペインのフォーキーメタルバンド、サウロム・ラムダースの2nd。2002年作
大仰なイントロからフルートがぴーひゃら入ってフォーキーに曲が始まると、
スペイン語の歌唱もあいまって、田舎くさいトラッド&フォークメタルが全開。
楽曲のアレンジやプロダクションの甘さはあるものの、泣きのヴァイオリンなども加わり、
サウンドのドラマティックさにはクサメタルファンは悶絶する場面も多数。
指輪物語をテーマにしたファンタジックさという点においても、その手のマニアには受けるだろう。
情熱的な女性ヴォーカル入りの曲もあり、CD2枚組で長尺ながらも盛り上がりどころは多い。
メロディアス度・・8 フォーキー度・・8 ドラマティック度・・8 総合・・8
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BARROQUEJON「CONCERNING THE QUEST,THE BEARER AND THE RING」
チリの一人シンフォニックロック、バロックエジョンの2003年作
「指輪物語」をモチーフにしたドラマティックな作風で、民謡的なメロディをたっぷりと折り込んだサウンドは、
なかなか大仰かつファンタジック。キーボード、ピアノ、オーケストレイション、ヴォーカルを一人でこなしていて、
QUEENばりのコーラスの重ねも全て一人でやっているのだから、よほど友達がいな…いや、こだわりがあるのだろう。
ジャケの雰囲気のようなダークさはあまりなく、むしろ爽やかに聴き通せる。打ち込みやオーケストレイションがメインなので
サウンドはやや平坦だが、この手のケルトな雰囲気が好きなメタルリスナーにもお勧め出来る。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 ファンタジック度・・9 総合・・7.5
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Ainur「From Ancient Times」
イタリアのシンフォニックユニット、アイヌルの2006年作
トールキンの「指輪物語」シルマリリオンの物語をコンセプトにした作品でG、Key、Drの3人組みをメインメンバーに、
男女5人のヴォーカル隊、ヴァイオリン、チェロ、フルートなどの管弦楽もゲストに加わった大がかりなシンフォニックロックオペラ。
アコースティカルなやわらかさと美しい女性ヴォーカルの歌声、そこにフルートの音色が加わると、じつに優美な叙情に包まれる。
オペラティックな男性バリトンヴォーカルもいい味を出しており、曲間には物語的なSEも挿入されて、ファンタジックな世界観を描き出す。
いわゆるプログレ的なスリリングな展開というのはあまりないが、歌をメインにゆったりと物語を描くようなパートと、
適度にハードなギターも加わったインストパートなど、メリハリのある構成とともに、スケール感のあるシンフォニックロックが楽しめる。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 優雅な叙情度・・9 総合・・8
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Ainur「Children of Hurin」
イタリアのシンフォニックロックバンド、アイヌルの2nd。2008年作
トールキンの物語をモチーフにした美麗なコンセプト作となった今作は、たおやかなピアノから幕を開け、
レトロなハモンド、ムーグなどのシンセを中心に艶やかな音色のストリングスとハープ、フルート、
クラリネットなどがクラシカルに楽曲を彩りつつ、女性ヴォーカルの歌声がそこに重なってゆく。
全体的には、優雅でファンタジックなイメージで聴かせる作風で、しっとりとしたピアノで聴かせる部分など
ロック的なダイナミズはやや抑えめで、ゆるやかに紡がれる物語を聴くといった雰囲気だ。
オペラティックな男性ヴォーカルを含めて、大人数による濃密なシンフォニックオペラ作である。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 ファンタジック度・・9 総合・・8
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AinurLay of Leithian」
イタリアのシンフォニックロックバンド、アイヌルの2010年作
4人のソプラノヴォーカルに、ヴァイオリン、チェロ、ハープ、フルート、フレンチホルン奏者、
さらにはオーケストラも加えた、大人数によるシンフォニックロックプロジェクトの3作目で、
本作は指輪物語の「レイシアンの歌」をテーマにしたコンセプト作である。
物語的な語りなども挿入したり、映画のような構成で聴かせる幻想的な世界観で、
クラシカルな叙情とやや粗めのハードプログレ要素が合わさった大仰な作風。起伏のある楽曲展開に
男女の歌声が重なると、AYREONのような壮大さで、イタリアのバンドらしいらしい濃密なサウンドを描いている。
シンフォニック度・・8 壮大度・・8 ファンタジック度・・9 総合・・8
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BattleloreDoombound
フィンランドのファンタジー・ゴシックメタル、バトルローの2011年作
2002年のデビューから、男女ヴォーカルのファンタジー・エピックメタルを標榜するこのバンド、
最高傑作となった前作に続く6作目で、今回もトールキンの指輪物語をテーマにしているようだ。
ツインギターの重厚さと、男女Voの使い分け、シンセによるシンフォニックな味付けが合わさり、
フルートが鳴り響く土着的なトラッド要素も含めて、本格派のファンタジックメタルを展開、
ヴァイキングメタラーをも唸らせる世界観の描写に磨きがかかっている。メンバーのいでたちも含めて、
コスプレ・エピックメタル最高峰の地位は揺るがない。ジャケ違いのDVD付き限定盤もあり。
ドラマティック度・・8 ファンタジック度・・9 エピック度・・9 総合・・8
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■アーサー王伝説をテーマにした作品

RICK WAKEMAN 「Myths & Legends Of King Arthur & The Knights Of The Round Table」
YESのキーボード奏者、リック・ウェイクマンのソロ1975年作
「ヘンリー八世と六人の妻」、「地底探検」と、クラシカルで幻想的な作品を作り出してきた
ウェイクマンの極めつけのアルバム。「アーサー王と円卓の騎士たち」というタイトル通り、
アーサー王伝説をモチーフにしたファンタジックなシンフォニックロック作品である。
壮麗なオーケストラとともに、雄大でエピックな世界を描き出す手法は今作で完成されたといっていい。
中世を思わせる優美なチェンバロの音色や、リックの奏でるたおやかなピアノも美しい。
ヴォーカルパートのバランスもよく、いわゆる初期の文芸三部作の中では一番の完成度だろう。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 ファンタジック度・・9 総合・・8.5
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Halloween「Merlin」
フランスのプログレバンド、ハロウィーンの1994年作
フランスのシンフォニックシーンではベテランと言ってよいバンド。
本作はタイトル通り、アーサー王伝説に登場する魔術師マーリンをコンセプトにしたアルバム。
ヴァイオリンが鳴り響くクラシカルな質感と、フランスらしいどこかとぼけたシアトリカルなサウンドで、
フランス語による女性ヴォーカルの歌声も、どこかミステリアスで、ほの暗い叙情と不思議な緊張感が漂う。
MINIMUM VITALTIEMKOなど、90年代フランスには質の高いシンフォプログレバンドが多かった。
シンフォニック度・・7 シアトリカル度・・8 フランス度・・8 総合・・8
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KAYAK 「Merlin」
オランダのメロディックロックバンド、カヤックの8th。1981年作
70年代からの活動に一区切りをつけるアルバムで、「アーサー王伝説」をテーマにしたコンセプト作。
とはいっても楽曲に難解さはなく、キャッチーなメロディで聴かせる良質のプログレハードであり、
やわらかなコーラスワークに、美しいピアノ、シンセワークなどが素晴らしい。
シンフォニックロックとしての完成度では、本作を最高傑作としてもよいだろう。
バンドはこの後、2000年に復活し、2003年には本作の完全版となる作品を発表する。
メロディアス度・・9 プログレ度・・7 キャッチー度・・8 総合・・8
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KAYAK「MERLIN-BARD OF THE UNSEEN」
オランダのメロディアス(プログレ)ロックバンド、カヤックの2003年作
復活後の3作目となる本作は、彼らが1981年に発表したアルバム「マーリン」の続編、というか完全版となっている。
もともとはアナログのA面のみだった楽曲を今回は新たに曲を書き起こし、全70分の作品に仕上げている。
そういえばメンバーは同郷のシンフォニックプロジェクトAYREONなどにも参加したことがあり、
そうしたシリアス系のコンセプト作に触発されたのかどうか、内容も妥協のないものになっている。
元曲のイメージを崩さぬままに、効果的な女性Voやキーボードの重ね、それにオーケストラも加わり、優雅にしてメロディアス、
そして壮大な世界観を描いている。もちろんメロディには彼ららしい人懐こさがあり、難解さよりは爽快さが前にでて聴きやすい。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・9 壮大度・・8 総合・・8.5
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MERLIN 「The Rock Opera」
イタリアのミユージシャン、ファビオ・ズッファンティによるロック・オペラ・プロジェクト、メルリンの2000/2012年作
アーサー王伝説をテーマにしたミュージカル「ザ・ロック・オペラ」の音楽として作られたものを、2012年にリミックスした新装再発盤。
トータル90分におよぶ本編の2CDに加え、40分の組曲を収録したボーナスCD付きの3枚組仕様。かつてオリジナル版を聴いたときには
いくぶん粗いイメージがあったのだが、再発に当たってメロトロンなどシンセパートが追加され、シンフォニックな音の厚みが増している。
男女8人のヴォーカルにコーラス隊も加わった、シアトリカルなドラマ性と、イタリアらしい繊細な叙情にあふれた幻想的な雰囲気が楽しめる。
ミュージカル的な歌もの曲はプログレとして聴くにはややダレるところもあるが、しっとりした女性Vo曲などはとても耳心地良い。
ボーナスDiscは本編を40分に凝縮したバージョンで、流れるような聴き心地で物語的なストーリーアルバムを再鑑賞できる。
ドラマティック度・・9 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・8
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AYREON「The Final Experiment」
元VENGENCEのアルイエン・ルカッセンによるプロジェクト、エイリオンの1作目。1995年作
アーサー王伝説を壮大なSF仕立てにした本作は、元VENGENCEのレオン・グーヴィー、イアン・パリーをはじめ
多数のゲストを招いて、組曲仕立てに繰り広げられる壮大なロックオペラとなっている。
物語を語るナレーションから、スペイシーなシンセワーク、ドラマティックに盛り上げるギター、
そして映画の配役のようなヴォーカルの歌声で、ときに重厚に、そしてプログレッシブな香りを乗せて展開する。
女性コーラスも含んだシンフォニックな美麗さと、静と動のメリハリのついたシアトリカルな構成力は圧巻である。
メタルとプログレの垣根を超えた世界規模の壮麗なプロジェクト…その記念の一作目がこれである。
シンフォニック度・・8 壮大度・・9 ファンタジック度・・9 総合・・8.5

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GARY HUGHES「ONCE AND FUTURE KING PART T」
TENのVoにしてソングライターである、ゲイリー・ヒューズのソロ作。2003年作
アーサー王伝説をモチーフにしたロックオペラ。TENのメンバーを演奏陣に据え、配役ごとにゲストヴォーカルを多数迎えた
豪華な作品に仕上がっている。サウンドの基本はTENにも通じる叙情味溢れる正統派のメロディアスなハードロックであるのだが
シンフォニックなバラードや、時折ケルト風のメロディを用いるなど、アーサー王の世界観を見事に描き出している。
ゲスト参加のラナ・レーンやイレーネ・ヤンセン(AFTER FOREVER)といった、美しき女性ヴォーカル陣に加え、
ボブ・カトレイの落ち着いた声の存在感もさすがで、ゲイリーのマイルドな歌唱を引き立てている。
メロディアス度・・8 壮大度・・8 ドラマティック度・・9 総合・・8
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GARY HUGES「ONCE AND FUTURE KING PART U」
イギリスのメロディアスハード、TENのシンガーであるゲイリー・ヒューズのソロ2003年作
アーサー王伝説をテーマにしたロックオペラ第二弾。本作もまたゲスト陣が豪華で、前作に引き続き参加のボブ・カトレイをはじめ
D.D.クーパー(ROYAL HUNT)、ラナ・レーンイレーレヤンセン(AFTER FOREVER)、サビーネ・エデルスバッカー(EDENBRIDGE)、
シンセにはアルイエン・ルカッセン(AYREON)、ポール・ホドソン(TEN)なども参加している。
歌い手それぞれに配役を定め、物語にそって楽曲が進むというロックオペラ的な手法はAYREONなどにも通じるが、
歌もののメロディアスハードロックをシンフォニックに仕立てたというサウンドで、全編に英国的な気風と伝統、そしてTENにも通じる哀愁と
ウェットな叙情が漂っている。正統派ロックオペラとしても、多様なヴォーカルの歌唱がが味わえるメロディアスハードとしてもすこぶる出来が良い。
メロディアス度・・8 英国度・・9 豪華メンバー度・・9 総合・・8
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DOMINE「Ancient Spirit Rising」
イタリアのメロディックメタルバンド、ドミネの5th。2007年作
エピックな世界観で正統派のメタルを聴かせるこのバンド、前作から3年ぶりとなる本作では、
アーサー王伝説の「シャーロットの乙女」をテーマに、ファンタジックな世界観を描き出している。
疾走するメロスピ曲から、より叙情的なやわらかさをもった曲まで、コンセプト作らしい
場面ごとのストーリーを感じさせる雰囲気作りがなかなか見事。また今作ではいつになく
トラッド調のメロディを取り入れたり、シンフォニックな味付けも増していて、聴き心地もいい。
パワフルな勢いは薄まったが、むしろ完成度の点では最高傑作といってもいい出来だろう。
ファンタジック度・・9 疾走度・・8 エピック度・・8 総合・・8
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Secret Green 「To Wake the King」
イギリスのシンフォニックロックバンド、シークレット・グリーンの2009年作
かつてのTHE ENIDのメンバーであった、Francis Lickerishを中心としたバンドで、
サウンドのほうはまさしく70年代のエニドを現代に甦らせたような壮麗なシンフォニックロック。
美麗なオーケストレーションにメロウなギターが鳴り響き、女性ヴォーカルの歌声とともに、
トラッド的な中世風味とファンタジックな世界観を広がりのあるスケール感で聴かせる。
クラシカルで優雅な旋律にロックオペラ的なダイナミズムも加わり、英国的な伝統色も含めて
アーサー王伝説をテーマにした壮大華麗なシンフォニックロックを繰り広げる。これは素晴らしい傑作。
シンフォニック度・・9 美麗度・・10 エニ度・・9 総合・・9
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Maddy Prior「Arthur the King」
Steeleye Spanのシンガー、マディ・プライアの2001年作
本作はタイトル通り、アーサー王伝説をもとにしたコンセプト作で、トラッドとシンフォニックを融合したような幻想的な作風が光る。
アニー・ハズラムを思わせるマディの歌声は、まるで物語を語るようにゆるやかで、母性的な優しさをたたえながら、
悠久の彼方へ吹く風のように響きわたる。IONAのニック・ホランドによるピアノ、シンセアレンジも素晴らしく、
ファンタジックな空間美が壮大な世界観を描き出している。ドラムが入る曲では、ケルティックなシンフォニックロックとしても楽しめる。
シンフォトラッ度・・8 幻想度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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ARTORIUS
イギリスのネオフォーク、アルトリウスの2007年作
アーサー王伝説をテーマにした作品で、うっすらとしたシンセをバックに映画的なナレーションから始まり、
アコースティックギターの優美な音色にやわらかなシンセアレンジ、女性ヴォーカルの歌声とともに、
幻想的なネオフォークを聴かせる。随所にエレキギターや男性ヴォーカルを加えたり、
IONAあたりにも通じるケルティックでシンフォニックな感触もあり、リコーダーが鳴り響く、
Gryphonのような優雅な古楽風味も覗かせる。自主制作ながら、ファンタジックな幻想美に浸れる好作品です。
アコーステッィク度・・7 幻想度・・8 優美度・・8 総合・・7.5

Alan Simon 「Excalibur III: The Origins」
フランスのアーティスト、アラン・サイモンによる、アーサー王伝説をテーマにしたケルティックロック・プロジェクト。2012年作
FAIRPORT CONVENTION、BARCLAY JAMES HARVEST、セシル・コルベル、ジョン・ウェットン・ジェフ・ダウンズ、
ジョン・ヘリウェル(SUPERTRAMP)、ジャッキー・マクシー(PENTANGLE)、マーティン・バレ(JETHRO TULL)、
モイヤ・ブレナン(CLANNAD)、さらにはロバート・ティランティ(LABRYNTH)といった顔ぶれが参加、
今作はオーケストラアレンジを含むシンフォニックな美しさと、前作よりもバンドサウンドを強めた感触で、
ダイナミックでスケール感のあるケルティックロックが楽しめる。ホイッスルやバグパイプ、ハープにヴァイオリンなど、
アコースティックなパートを取り入れつつ、全体的にはプログレ、シンフォニックロックのリスナーに楽しめる作風だ。
前作に比べるとよりトータルな流れでストーリーを感じさせる内容になっている。全19曲67分の大作です。
ドラマティック度・・8 ケルティック度・・7 壮大度・・9 総合・・8
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Alan Simon「Excalibur - The Ladies Of The Lake」
フランスのミュージシャン、アラン・サイモンのケルティックオペラ、エクスカリヴァーの2018年作
本作は「Excalibur」シリーズや、「Tristan & Yseult」から、女性ヴォーカルのナンバーを集めた作品。
美しいシンセにやわらかなフルート、ハープの音色、優美なオーケストラアレンジにしっとりとした女性ヴォーカルを乗せ、
ときにギターなどを加えたほどよいロック感触も含んだ、シンフォニックなケルティックサウンドを聴かせる。
モイヤ・ブレナン、マディ・プライア、カラン・ケイシー、ソーニャ・クリスティーナ、シボーン・オーウェン、コハンなど、
魅力的な女性シンガーがそれぞれの楽曲で豊かな歌声を響かせる。わりとモダンにアレンジされたナンバーから、
アコースティックメインのナンバーまで、美しい女性声とともにアーサー王伝説をモチーフにしたケルトサウンドに浸れます。
壮麗度・・8 優美度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8 
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GALAHAD「Incredibile」
ドイツのトラッド/フォークロック、ギャラハドの2011年作
同名のポンプ/シンフォニックロックバンドが英国にいるが、こちらはドイツのトラッドロックバンド。
男女ヴォーカルの歌声に、シンセやドラムが入り、ヴァイオリン、フルートなどの音色も加わった
キャッチーなフォークロックサウンド。エレキギターも加わると、ずいぶんロック寄りの聴き心地になり、
古楽風の優雅な雰囲気も含めて、後期のGRYPHONあたりをローカルにしたという感じもある。
女性声がメインのナンバーは、美しいシンセアレンジとともにやわらかな叙情に包まれていて、
アーサー王伝説をテーマにしたファンタジックな世界観が楽しめる。中世トラッドロックの好作品だ。
ドラマティック度・・7 フォークロック度・・8 中世風味度・・8 総合・・7.5
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