◆キャッチースタイリッシュプログレたち
〜イット・バイツ、スポックス・ビアード、フロスト、ムーン・サファリ他〜



キャッチーでスタイリッシュなプログレという、絶妙なバランス感覚を有して、80年代に登場した、It Bitesは、
それまではコアなプログレリスナーから忌み嫌われてきた「プログレのポップ化」を大胆になし得るとともに、
一方では、HR/HM方面のリスナーをプログレに振り向かせるという、プログレッシブ・ハードロックの架け橋ともなった。
MarillionDream Theater、さらにはA.C.Tなども、プログレとメタルをボーダーレス化させる影響力を有したバンドと言えるだろうが、
90年代に入ってからは、Spock's Beardをはじめ、キャッチーなメロディアス性と巧みな構築力を両立させたバンドが現れだし、
2000年代に入ると、KINO、Frost*を筆頭にして、さらなるモダンなセンスを盛り込んだ、新時代のメロディック系プログレバンドが続々と増えている。
ここでは、いわゆる「イット・バイツ&スポビ系」ともいうべき、キャッチーな爽快さとスタイリッシュなセンスを有した作品を厳選して紹介したい。

                                         2017.6 緑川 とうせい



◆イギリスのスタイリッシュ系

KINO「PICTURE」
イギリスのプログレユニット、キノの2005年作
IT BITESARENAMARILLION、元PORCUPINE TREEのメンバーが集結したスーパーバンド。
薄暗く繊細な叙情を含んだ、ARENAから受け継がれた英国モダンプログレの完成形というべきサウンドで、
ARENA、IT BITESなどで活躍するジョン・ミッチェルのやわらかなヴォーカルを乗せたキャッチーな聴き心地に、
同じくIT BITESのジョン・ベックのプログレらしいシンセが重なり、うるさすぎないシンフォニック性と、
後のFROST*などにも通じる構築センスも覗かせる。繊細なピアノなどによるしっとりとした引きの叙情もよろしく、
ときにハード寄りにになるギターにからむキーボードの美しさにも、さりげないアレンジの細かさが垣間見える。
派手な展開やテクニカルの応酬はないものの、抜群の聴き心地の良さで楽しめる、まさに英国モダンプログレの傑作だ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・9 総合・・8.5
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FROST* 「MILLIONTOWN」
イギリスのプログレバンド、フロストの2006年作
キーボーディストJEM GODFREYを中心に、ARENAKINOでも活躍するJOHN MITCHELL、IQのJOHN JOWITT、
ANDY EDWARDSらによるユニットで、美麗なシンセワークとともに、メロディアスに構築されるサウンドは、
ARENA+IQというか、あるいはむしろTRANSATLANTIC風のキャッチーさを合わせたという雰囲気だ。
かといって、レトロな部分よりもモダンさと、うっすらとした翳りがあるのはKINOにも通じるだろうか。
メンバーが実力者なだけに、音にはせこさというものがまったくなく、メジャー感すら漂うダイナミズムが素晴らしい。
中盤は今風のモダンな中庸曲もあるが、ラストのタイトル曲での見事な構成力はさすが。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 完成度・・9 総合・・8
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IT BITES「The Tall Ships」
イギリスのプログレハードバンド、イット・バイツの2008年作
スタジオ作品としては約20年ぶりとなる復活作であるが、期待を裏切らない素晴らしい出来である。
そう、まるであの当時のIT BITESが甦ったようなサウンドに涙、涙。
キャッチーなメロディに、テクニカルな隠し味とセンス溢れるアレンジ、
そして泣きの叙情も盛り込んだ、素晴らしきプログレハードを聴かせてくれる。
フランシス・ダナリーは不参加ながら、KINOでも活躍するジョン・ミッチェルの歌声は
まったく違和感がなく、むしろ往年以上の瑞々しさとドラマティックな感触が見事。
過去をなぞるだけでない意義のある復活作だ。A.C.Tなどのファンも含めてメロディ派は必聴。
メロディアス度・・8 イット・バイツ度・・9 楽曲・・9 総合・・8.5
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Big Big Train「Underfall Yard」
イギリスのシンフォニックロックバンド、ビッグ・ビッグ・トレインの2009年作
初期はいかにもGENESISからの影響の強いサウンドであったが、前作「The Difference Machine」では
幻想的な叙情にいくぶん現代的な薄暗さを取り込んだ傑作を作り上げた。本作はさらなる深みのある作風で、
メロトロンが鳴り響き、やわらかなフルートの音色にトロンボーン、チェロなども入った優雅なサウンドを聴かせつつ、
マイルドなヴォーカルが加わると、キャッチーなコーラスとともに、ほの暗い叙情美が広がってゆく。
GENESIS〜MARILLIONという流れを感じさせながら、メロウなギターのフレーズに幻想的なシンセワークで
シンフォニックロックとしての魅力もしっかりと残している。FROST*やKINOと同様かそれ以上の構築性…
雄大にして繊細なる美意識の伝承者。英国シンフォニックの現在形を示した見事な傑作だ。
シンフォニック度・・8 ほの暗叙情度・・8 構築美度・・9 総合・・8.5
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STRANGEFISH「Fortune Telling」
イギリスのプログレバンド、ストレンジフィッシュの2nd。2005年作
オルガンを含むシンセに、ジェントルなヴォーカルを乗せた、キャッチーでメロディアスなサウンド。
IT BITESあたりにも通じる、優雅でコンパクトなセンスが光る楽曲にはプログレハード的なポップ性もあり、
その力の抜けかたが、コテコテ大仰系好きのシンフォリスナーにはやや物足りないかもしれないが、
軽やかなメロディアスサウンドにのんびりと浸れる好作品だ。随所にメロウなギターによる叙情性やヴァイオリンも美しい。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・8
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Darwin's Radio「Template for Generation」
イギリスのシンフォニックロック、ダーウィンズ・レイディオの2009年作
元GREY LADY DAWN、現IQのシンセ奏者、FROST*のDec Burkeを中心にしたバンドで、
きらびやかなシンセと抜けの良いギターで、キャッチーなメロデイと知的な構築力で聴かせる、
モダンなシンフォニックロックサウンド。インストパートの充実はFROST*にも通じる感触で
ヴォーカルの入ったやわらかでキャッチーな軽妙さは、IT BITES的でもある。
19分、11分、13分という大曲3曲という構成で、ドラマティックで重厚な聴き心地は、
ARENAあたりのファンにも薦められる。高品質な英国モダンシンフォの力作だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 構築度・・8 総合・・8
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Dec Burke「Destroy All Monsters」
イギリスのミュージシャン、デック・バークの2010年作
FROST*で活躍するギタリストで、ヴォーカル、シンセもこなすというマルチプレイヤーで、
本作では曲ごとにベース、ドラムのゲストプレイヤーを迎えている。
きらびやかなシンセワークと、プログレハード風味のキャッチーなメロディが合わさった質の高いサウンドは、
やはりFROST*にも通じるものがあり、軽妙なアレンジセンスなどはときに、IT BITES的でもある。
全体的にはデジタル気味の音圧バランスがやや一本調子に感じるのが惜しいのだが、
HAKENなど新時代のモダンプログレのひとつの形を描くような好作品である。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 モダンシンフォ度・・8 総合・・8
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Lee Abraham 「Distant Days」
イギリスのミュージシャン、リー・アブラハムのソロ。2014年作
GALAHADのメンバーでもあるマルチミュージシャンで、美しいシンセアレンジに適度にハード寄りのギターを乗せた
叙情的でモダンなシンフォニックロック。楽曲ごとにゲストヴォーカルがリードをとる形で、FROST*のDec Burke、
LIFESIGNSのJohn Young、RIVERSEAのMarc Atkinson、そしてSteve Thorne、といった顔ぶれが参加している。
随所に流麗なギターの泣きのフレーズやテクニカルなリズムなども覗かせつつ、あくまでメロウな聴き心地で、
ゆったりとした3拍子の歌もの曲や、ProgMetal風味も含んだ11分、15分という大曲まで、豊かな叙情性と
確かな構築センスでじっくり聴かせてくれる。新時代の英国シンフォ勢の充実ぶりを感じさせる好作品だ。
メロディック度・・8 モダンシンフォ度・・8 叙情度・・8 総合・・8
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Steve Hughes 「Tales from the Silent」
イギリスのミュージシャン、スティーヴ・ヒュージスの2015年作
ドラマーで、ギター、ベース、シンセもこなすマルチプレイヤーである。
きらびやかなシンセを含んだシンフォニック性と、FROST*にも通じるスタイリッシュなモダンさが合わさった、
クオリティの高いサウンドを聴かせる。メロディックでテクニカルなギターも随所に光っていて、
インストパートにおける爽快なメロディアス性と、キャッチーなヴォーカルパートのセンスも良い。
ときに女性ヴォーカルも加わった優美な叙情性にうっとりしつつ、全体的には泣きな走りすぎない
クールなアレンジセンスか前に出ていて、13分、16分という大曲も、軽妙な優雅さで楽しめる。
全80分弱というモダン・シンフォプログレの力作。同じく元Big Big TrainのSean Filkinsなどが参加している。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 スタイリッシュ度・・9 総合・・8
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I AM THE MANIC WHALE 「Everything Beautiful in Time」
イギリスのプログレバンド、アイ・アム・ザ・マニック・ホエールの2015年作
叙情的なギターの旋律にオルガンやピアノを含む、やわらかな鍵盤アレンジを乗せて、
A.C.TIT BITESあたりを思わせるキャッチーで爽快なサウンドを聴かせる。
16分、21分という大曲も、あくまでメロディ主導で、マイナー臭さのない抜けの良さと、
適度にテクニカルな展開力で、優雅に構築してゆく。新人ながらそのセンスの良さは見事。
コーラスハーモニーの美しさでは、Moon Safariなどのファンにもアピールするだろう。
メロディ派のプログレハード&トランスアトラン系大好きリスナーは必聴の出来ですな。
メロディック度・・9 プログレ度・・8 爽快度・・9 総合・・8
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HAKEN 「Affinity」
イギリスのプログレバンド、ヘイケンの2016年作
2010年にデビュー、メタリックでハード感触と知的なテクニカル性にシンフォニックロックを融合させた
新時代のハイブリッド・プログレバンドとして注目を浴びる。フルアルバムとしたは4作目となる本作は、
80年代のコンピュータを思わせるシンプルなデザインに包まれているが、サウンドの方は適度なハードさに
Riversideあたりに通じるクールな構築センスと薄暗い繊細な叙情が交差する、モダンプログレとなっている。
スティーヴン・ウィルソンなどのポストプログレと、FROST*のようなキャッチーな展開力を合わせたというべきか、
ProgMetal的にも楽しめるハードさもありつつ、ときにメロウな耳心地と、しっかりとプログレらしさも感じさせるという、
心憎いバランス感覚である。ダイナミックな展開力を聴かせる15分の大曲もさすがというところ。文句なしの傑作だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 ハイブリッ度・・9 総合・・8.5
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MASCHINE 「Naturalis」
イギリスのハードプログレバンド、マシーンの2016年作
The Tangentにも参加したギタリスト、ルーク・マシン率いるバンドの2作目で、新たに加入した女性シンセ奏者による
モダンなシンセワークと巧みなツインギターを乗せた、適度にハードな硬質感と知的な構築性で聴かせるサウンド。
エモーショナルなヴォーカルに女性コーラスを重ねた浮遊感と、テクニカルなギタープレイの対比も含めて、
いわゆるDjent風味のカラフルな技巧性と優雅な叙情性が交差する。オールドなプログレ要素がない分、
メロディックな部分でもあくまでクールな感触で、良い意味で無駄をそぎ落としたスタイリッシュなセンスが光っている。
とてもモダンな作風だが男女声のキャッチーな歌メロが心地よいナンバーもあり、ProgMetal的というよりは、
フュージョン的でもあるアーバンなセンスと軽妙な優雅さが魅力だろう。これぞ新時代のテクニカルプログレだ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 モダン&スタイリッシュ度・・9 総合・・8
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◆アメリカ、カナダのスタイリッシュ系

SPOCK'S BEARD「X」
アメリカのプログレバンド、スポックス・ビアードの2010年作
すでにデビューから15年以上、名実共に90年代以降のアメリカンプログレの牽引者。
ちょうど10作目となる本作は、10分以上の楽曲をいくつも揃えた力作であるが、
軽妙なモダンさがプログレ風味と融合していて、これまで以上にスタイリッシュなサウンドを聴かせる。
キャッチーな歌メロや美しいシンセワークはもちろん健在で、ドラマティックなインスト部分は
まるでTRANSATLANTICのようでもある。ニール・モーズ脱退後も良作を作り続けているが
今回も前作同様にメロディと展開美のバランスのとれたじつに見事な傑作といえる。
メロディアス度・・8 ドラマティック度・・8 キャッチー度・・8 総合・・8
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Echolyn
アメリカのプログレバンド、エコリンの2012年作
すでに活動20年以上のベテラン、前作から7年ぶりとなる8作目となる。
セルフタイトルのCD2枚組で、のっけから16分の大曲という気合の入りよう。
切れ味のある絶品のアンサンブルと、プログレらしさを忘れないシンセワークも素晴らしい。
ヴォーカルが加わると、とたんにキャッチーな味わいに包まれるのはエコリン節であるが、
シンフォニックロックとしての優美さもあり、メロウなやわらかさでじっくりと聴かせる実力も素晴らしい。
しっとりとした癒し系としても楽しめるというDisc2に分けた意味が分かりますな。じわじわ優しい傑作。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 アンサンブル度・・9 総合・・8.5
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IZZ「Crush of Night」
アメリカのプログレバンド、イズの2012年作
SPOCK'S BEARDECHOLYNなどと並ぶ実力といってよいこのバンド、
5作目となる本作もまた素晴らしい出来。男女ヴォーカルのやわらかな歌声と、
グルーブの効いた大人のアンサンブルで、メロディックに聴かせるモダンプログレを展開。
GENTLE GIANTのゲイリー・グリーンがゲスト参加しているが、キャッチーな聴き心地の向こうにある
リズムの遊びも含めた玄人好みの余裕とセンスは、なるほど「現代的なGG」というような感じもある。
2部に分かれた26分を超える大曲も圧巻。スタイリッシュなアレンジと高い演奏力が合わさった見事な作品。
メロディック度・・8 プログレ度・・9 アンサンブル度・・9 総合・・8.5

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Mars Hollow「World in Front of Me」
アメリカのプログレバンド、マーズ・ホロウの2nd。2011年作
前作がなかなかの傑作だったので期待していたが、今作もやはり期待通りの傑作!
GENTLE GIANTルーツのテクニカルな展開美にキャッチーなメロディをまぶし、
レトロなシンセワークとともに、アメリカンプログレの王道ともいうべき抜けの良さと
濃密な質の高さで聴かせる、せせこましさのないダイナミズムにあふれるサウンドが素晴らしい
のっけから12分の大曲というのも自信の現れだろう、ジャズやフュージョン的な優雅さと
爽やかなメロディアスさが合わさって、Frogg Cafeあたりにも通じる抜群のセンスを感じさせる。
正直いって、面白さではSPOCK'S BEARDよりも上をゆく。新時代アメリカンプログレの必聴作。
メロディアス度・・8 プログレ度・・9 楽曲センス・・9 総合・・8.5
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Primitive Overflow「Honor Waydown」
アメリカのプログレバンド、プリミティブ・オーバーフロウの2012年作
ジャケは怪しいが、サウンドはキャッチーなメロディで聴かせる、ポップ感の漂うプログレハードで、
適度にハードなギターと美しいシンセワーク、コーラスハーモニーが合わさったやわらかな聴き心地。
楽曲は5分前後が中心だが、随所に泣きのギターを含んだ叙情美やプログレ的な展開もあって、
インスト部分でのアレンジにもなかなかセンスを感じさせる。歌メロのキャッチーさはIT BITES
SPOCK'S BEARDにも通じる抜けの良さがあって、総じて爽やかに楽しめる好作品となっている。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 キャッチー度・・9 総合・・8
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Man on Fire「Habitat」
カナダのプログレバンド、マン・オン・ファイアの2005年作
ポップなキャッチーさを、モダンなアレンジで包み込んだセンスのよいプログレ・ロックサウンドで、
決してポップすぎず、しっかりとプログレ風味を効かせながらも、複雑にならずテクニカル過ぎずという
バランス感覚はじつに見事。そういう点では、IT BITESA.C.T、あるいはRUSHなどのリスナーにも楽しめるだろう。
本作にはエイドリアン・ブリュー、デヴィッド・ラグズデールがゲスト参加。玄人好みの傑作である。
メロディアス度・・8 キャッチー度・・8 プログレセンス・・8 総合・・8
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Signs of One「Innerlands」
カナダのプログレバンド、サイン・オブ・ワンの2007年作
いかにも北米のバンドらしいキャッチーなメロディで軽快に聴かせるサウンドで、
YES的な構築性とモダンなアレンジが合わさった、プログレハード的な質感もある。
ヴォーカルの声質も含めてRUSHからの影響もそこはかとなく感じさせるが、
それは演奏力の高さとキレの良さ、楽曲のアレンジセンスにも表れている。
適度なテクニカル性と叙情性によるメリハリの効いた構成も見事で、
シンフォニックな美しさとともにProgMetal的なスケールの大きさも感じさせる。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 アレンジセンス・・8 総合・・8
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Lo-Fi Resistance 「Chalk Lines」
アメリカのマルチミュージシャンによるプロジェクト、ローファイ・レジスタンスの2012年作
適度にテクニカルでモダンなキャッチーさを漂わせたプログレ・ハードロック風味のサウンドで、
ヴォーカルの伸びやかな歌声はどことなく、DTのジェイムス・ラブリエを思わせる。
エモーショナルロック的な歌もの感と、コンセプチュアルで知的な構成力が合わさった聴き心地は
ソフトなプログレメタルとしても楽しめる。曲によってはシンフォニックでメロウなバラードもあったりと、
全体的に耳触りの良い叙情性に包まれている。ラストは14分の大曲で、爽やかなヴォーカルラインと
ドラマティックな展開力がよいですね。いわば、プログレ・エモロックというべき好作品。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 エモーショナル度・・8 総合・・8
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Tom Brislin 「Hurry Up and Smell The Roses」
アメリカのシンセ奏者、トム・ブリスリンのソロ。2013年作
YesやCamel、The Syn、Meat Loafなどのツアーやレコーディングなどに参加した実力派ミュージシャンで、
本作はやわらかなシンセアレンジとヴォーカルで聴かせる、キャッチーにして繊細な耳心地の好作品。
ポップなやわらかさの中にも、うっすらとプログレな感性を漂わせているというところは、
A.C.TMoon Safari などのファンにも楽しめるだろう。商業解釈のポッププログレというべきか、
ただ、それ以上にピュアなメロディへの愛情も感じられるのが素晴らしいところ。
メロディアス度・・8 キャッチー度・・9 プログレ度・・7 総合・・8
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NO MORE PAIN 「Post Human Condition」
アメリカのプログレバンド、ノー・モア・ペインの2015年作
20代の若手メンバーによる新鋭バンドで、知的でコンセプチュアルな構築性とキャッチーなメロディアス性に、
DREAM THEATER以降のProgMetal的でもあるスタイリッシュなセンスを感じさせるサウンド。
きらびやかなシンセアレンジにはクラシックの素養も感じさせ、流麗なギターワークも随所に光っている。
曲によってはヴォーカルが少し弱い感じもあるが、マイルドでやわらかみのある雰囲気はそう悪くはない。
QUEENのような古き良き英国ロック調の歌ものナンバーもありつつ、17分を超えるラストの大曲では、
GENTLE GIANT的でもある軽妙なアンサンブルも覗かせなかせら、メリハリに富んだダイナミックな展開を描く。
もう一歩、魅力的なフックが欲しいと思わせる部分もあるのだが、ともあれ今後の成長が楽しみな新鋭だ。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 スタイリッシュ度・・8 総合・・8
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◆イタリアのスタイリッシュ系

Barock Project「Caffee in Neukolln」
イタリアのシンフォニックロックバンド、バロック・プロジェクトの2012年作
3作目となる本作は、意外にもキャッチーな爽やかさに包まれたポップな感触と
クラシカルなシンフォニックプログレが融合したというような聴き心地のアルバム。
メロディックなギターときらびやかなシンセアレンジ、壮麗なオーケストレーションも加わりつつ
あくまで爽やかにメロディアス。ヴォーカルは英語なのでイタリア臭さはさほど感じない。
IT BITESMOON SAFARIなどのファンにもにもオススメできるほどのキャッチーな感触に、
ENIDのような繊細かつバロック的なクラシカルさが盛り込まれ、優雅に仕上げられた傑作である。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 クラシカル度・・8 総合・・8
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Profusion 「Rewotower」
イタリアのハードプログレ(メタル)、プロフュージョンの2012年作
シンセを含む5人編成で、適度なヘヴィさと軽妙なテクニカルさにキャッチーなメロディを含んだ、
ハードプログレ(メタル)サウンド。プログレ的な美しいシンセワークとともにセンスのよいアレンジで
SPOCK'S BEARDIT BITES、あるいはA.C.Tあたりにも通じるような聴き心地がある。
ヴォーカルの繊細な歌声に、やわらかなピアノの音色など、叙情的な美しさも光っており、
随所に効かせるギターの流麗でテクニカルなフレージングもよい感じだ。ジャケは地味ながら、
メロディセンスに溢れた高品質な作品です。キャッチーなProgMetalとしても楽しめる。
メロディック度・・8 テクニカル度・・8 楽曲センス・・8 総合・・8
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Camelias Garden「You Have a Chance」
イタリアのプログレバンド、カメリアズ・ガーデンの2013年作
若手三人組による新鋭バンドで、アコースティックギターにやわらかなピアノ、
チェロやヴァイオリンに優美なフルートの音色が彩る、繊細なシンフォニックロック。
ムーグシンセが鳴り響き、PFMの“Celabration”のようなキャッチーなメロディアス性と
男性ヴォーカルの甘い歌声を乗せ、Moon Safariなどにも通じる爽やかな聴き心地で、
ヒス区的コンパクトなアレンジと、メロトロンなどの古き良きプログレらしさとを自然に融合させている。
若手バンドらしいモダンでスタイリッシュな感触と、リリカルな優雅さが同居した傑作です。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・8
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ROSENKREUTZ 「Back to the Stars」
イタリアのプログレバンド、ローゼンクロイツの2014年作
美麗なシンセアレンジに適度にハードなギターと、知的でテクニカルな構築美で聴かせる、
クオリティの高いハードプログレサウンド。ヴォーカルは英語なので、さほどイタリア臭さはなく
むしろかつてのU.K.It Bitesなどを思わせるような、メジャー感を漂わせた堂々たる作風である。
オルガンやムーグを含んだシンセワークなどはいかにも往年のプログレらしいのであるが、
キャッチーなコーラスワークなど、しっかりとしたメロディアス性と骨太のロック感触が巧みに融合していて
プログレになじみのないメロハー系のリスナーや、ASIAU.K.などメジャーなバンドしか聴かないという方でも
ちゃんと楽しめるだろう。ラストは17分の大曲で、ダイナミックな展開力が素晴らしい。これぞ新時代プログレの傑作。
メロティック度・・8 プログレ度・・8 楽曲センス・・9 総合・・8.5
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Gecko's Tear 「Primati」
イタリアのプログレバンド、ゲッコーズ・ティアの2016年作
2005年作はテクニカルかつひねくれたメロディ展開で聴かせる、GENTLE GIANTタイプの好作であったが、
10年ぶりとなる本作も、イタリア語のマイルドなヴォーカルを乗せた優雅で軽やかなアンサンブルで、
キャッチーで叙情的でありながら、どこか偏屈な聴き心地のサウンド。ホーンセクションなどを含んだアレンジや、
とぼけた味わいのメロディアス性も含めて、やはりGGやEcholynなどに通じる玄人好みのセンスとなっていて、
適度にスリリングな味わいをかもしだしている。楽曲自体は3〜5分とわりと短いので、あるいはプログレを聴かない方にも、
風変わりなメロディックロックとして楽しめるかもしれない。「イタリアのジェントル・ジャイアント」と呼ばれる日も来るかも。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 とぼけたセンス度・・8 総合・・8
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◆ドイツ、オランダ、ベルギーのスタイリッシュ系

Jack Yello「Thorns of Anger」
ドイツのプログレハード、ジャック・イエロの2003年作
適度にハードなギターに美しいシンセアレンジとキャッチーなメロディで聴かせる、
IT BITESPALLASEVELONなどを思わせる高品質なプログレハードサウンド。
ギターの叙情フレーズとともにドラマティックな聴き心地で、プログレ的な展開力とともに
9分を超える大曲なども巧みに構築してゆく。テクニカルなリズムチェンジなどProgMetal風味もありつつ、
あくまでメロディックな感触が前に出ているのも好感が持てる。なかなかクオリティの高い好作品です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 キャッチー度・・8 総合・・8
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Subsignal「Touchstones」
ドイツのハードプログレバンド、サブシグナルの2011年作
SIEGES EVENのGとVoを中心にしたバンドで、シンセを含んだ美しいアレンジと
キャッチーなメロディが光る高品質なサウンド。IT BITESあたりにも通じる軽妙さと確かな演奏力で、
随所にProgMetal的なテクニカルな展開も織り込みつつ、あくまでメロディアスに聴かせる。
5、6分の曲を中心にしながら、11分の大曲も含んで知的な構築センスも抜群だ。
メタル的なヘヴィさはあまりないので、モダンなハードシンフォニックとしても楽しめる傑作。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・8 楽曲センス・・9 総合・・8
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Seven Steps to the Green Door「The? Book」
ドイツのプログレバンド、セブン・ステップス・トゥ・ザ・グリーン・ドアの2011年作
男女ヴォーカルを含む6人編成で、前作もメロディアスな高品質作であったが、
本作ではコンセプトアルバム的なストーリーを感じさせる作風となっている。
キャッチーなヴォーカルメロディとやわらかなシンセワークでゆったりと聴かせつつ、
IT BITESACTのようなプログレハード的な耳心地の良さが随所に光っている。
今作ではスクリームヴォイスの激しさや、女性ヴォーカルメインのしっとりとした曲もあり、
全体的にも前作以上にメリハリのついた作風で、ドラマティックなハードプログレが楽しめる。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 構築センス・・8 総合・・8
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PBII「Plastic Soup」
オランダのプログレバンド、プラックバンドの2010年作
元はPLACKBANDという名前で70年代後半から活動していたが、PBIIと名前を変えてのデビューアルバム。
IT BITESSPOCK'S BEARDなどを思わせるキャッチーなメロディと軽妙なアレンジで聴かせるサウンドは、
むしろアメリカのバンドっぽいか。シンセの入れ方などはいかにも年季のあるメンバーらしく、プログレ度を高めていて、
あるいはスウェーデンの、A.C.Tあたりにも通じる、メロディックなプログレハードとしても楽しめる。
ゲストに、ジョン・ミッチェル(ARENA、IT BITES)、ジョン・ジョウィット(IQ)などが参加。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 軽妙度・・8 総合・・8
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Fish on Friday 「Godspeed」
ベルギーのプログレハード、フィッシュ・オン・フライデーの2014年作
前作はメジャー感のあるAOR的なポップ性の好作であったが、本作はのっけから10分を超える大曲で
ぐっとシンフォニックな質感が増している。透明感のあるシンセアレンジにマイルドなヴォーカルを乗せて
繊細なメロディアス性で描かれるサウンドは、YesAsiaをより美麗にしたという感触で、しっとりと味わえる。
2曲目以降も、厚みのあるシンセによるシンフォニック性と、Moon Safariを思わせる美しいコーラスなども含んだ
キャッチーなやわらかさで、とても耳心地がよい。プログレ的な展開やテクニカル性というのはあまりないのだが、
とにかく繊細にして優美な作風には心が和まされる。ゆったりとメロディックな叙情美が好きな方にはマスト。
メロディック度・・9 プログレ度・・7 繊細で優美度・・9 総合・・8
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PROFUNA OCEAN「In Vacuum」
オランダのプログレバンド、プロフナ・オーシャンの2016年作
適度にハードなギターとオルガンを含むシンセアレンジに、マイルドなヴォーカルを乗せた、
キャッチーなプログレハードサウンド。ときにProgMetal的な重厚な感触も含みながら、
メロディックな叙情を前に出した作風は、アメリカのシンフォニックハード系にも通じるか。
ギターはときにハードロック寄りになったり、ときにメロウな旋律も奏でつつ、
うるさすぎないシンセアレンジとともに、ドラマティックにサウンドを彩っている。
一方では、HAKENなどを思わせるスタイリッシュなモダンさが前に出たナンバーなどもあり、
10分を超える大曲も濃密すぎない聴き心地で、バンドとしてのセンスの良さを感じさせる。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 スタイリッシュ度・・8 総合・・8
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◆北欧、東欧、その他ヨーロッパのスタイリッシュ系


MAGIC PIE「Motions of Desire」
ノルウェーのシンフォニックロックバンド、マジック・パイの2005年作
オルガンなどの古き良きシンセに、現代風のややハードなギターが合わさった構築性のあるメロディアスなサウンド。
テクニカルな展開の後に現れる、キャッチーなメロディが実に爽快で、アレンジの思い切りの良さも大きな魅力。
懐古主義と現代的なウィットという点ではSPOCK'S BEARDにも通じるものがあり、
とくにギターの奏でるメロディはTRANSATLANTICでのロイネ・ストルトをも思わせる。
しょっぱなに20分の大曲をもってきたり、ラストには組曲方式と、およそ新人離れした
自信に満ちていて、このシンプルなりんごジャケからは想像もつかない満腹感が味わえる。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 キャッチーかつテクニカル度・・9 総合・・8
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BROTHER APE「On the other side」
スウェーデンのプログレバンド、ブラザー・エイプの2005年作
北欧というよりは、むしろアメリカ寄りのキャッチーな抜けのよさがあるサウンド。
ほとんどが5分前後のコンパクト曲で、無用な大作志向に走っていないのも聴きやすい。
KANSASあたりのメロディアスさに、A.C.Tなどにも通じるさりげないテクニカル性を盛り込んだ
センのよい現代風のメロディックロックで、ヴォーカルの爽やかな歌唱もあいまって、
SAGAあたりにも通じるプログレハード的な聴き方も可能。メロディ派は必聴の好作品。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 キャッチー度・・8 総合・・8
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Moon Safari「Blomljud」
スウェーデンのシンフォニックロックバンド、ムーン・サファリの2nd。2008年作
彼らの1stはThe Flower Kingsのメロディアスさを抽出したような、シンフォニックの好作だったが、
今作も牧歌的なコーラスや、 アコースティカルな素朴さを取り入れた、じつに美しく繊細なアルバムだ。
つややかなピアノの音色にオルガンが重なり、どこかなつかしいようなレトロさとともに
温かみのあるヴォーカルメロディが爽やかに響く。大曲の盛り上げ所では
ロイネ・ストルトばりのギターに思わずにんまりだし、Disc1のラスト曲などはじつに感動的だ。
派手さよりもフォーク的な素朴な情感で聴かせる、とても素敵なメロディアスシンフォ。
鳥の鳴き声を聴きながら日だまりでまどろむような、そんな優しい気分になれる作品です。メロディ派は必聴。
メロディアス度・・10 繊細度・・9 素朴度・・9 総合・・9
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OVERHEAD「And We're Not Here After All」
フィンランドのシンフォニックロックバンド、オーバーヘッドの3rd。2008年作
前作までは「北欧版TRANSATLANTIC」という雰囲気のキャッチーで軽快なサウンドだったが、
今作ではぐっとメロウな雰囲気が増し、ゆったりとした質感に包まれたほのかな薄暗さと
モダンな感触を折り込んだ音作りになっている。7分〜11分の大曲をメインに
派手な展開よりは、むしろゆるやかに流れてゆく構成で、なかなか耳心地がよい。
シンフォニックロックとしての濃密さは薄まったが、スタイリッシュな聴きやすさと
北欧的な叙情性はそのままに、じつにセンスよくまとめられたアルバムである。
メロディアス度・・8 ゆったり叙情度・・8 スタイリッシュ度・・8 総合・・8
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FreddeGredde 「Thirteen Eight」
スウェーデンのマルチプレイヤー、フレドリック・ラーソンによるプロジェクト、フレッディゲラダの2011年作
ギター、ベース、シンセにヴォーカルをすべて一人でこなす、期待の若手ミュージシャン、
美麗なシンフォニック性とキャッチーなメロディアスさで構築されるサウンドは、
聴き心地の良さと軽快な展開力を両立させていて、デビュー作にしては相当質が高い。
甘い歌メロとコーラスはMOON SAFARIあたりにも通じるような人懐こさがあり、アコーディオンなど
アコースティック要素も含め、北欧らしい叙情も素晴らしい。アレンジは凝っているのだが難解さは皆無。
精細さとダイナミック、性と動のメリハリという点では、プログレ化したQUEENともいうべきか。
あるいはACTなどのプログレハード好きにも楽しめるかと。今後に大期待のアーティストです。
シンフォニック度・・8 メロディアス度・・9 プログレ度・・8 総合・・8
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BRIMSTONE「Mannsverk」
ノルウェーのプログレロック、ブリムストーンの2014年作
モダンなジャケのイメージ通り、サウンドの方もプログレ風味のあるエモーショナルロックという感触。
手数の多いドラムに乗るゆったりとしたギターは、ときにサイケロック的な浮遊感をかもしだし、
うっすらとしたシンセにけだるげなヴォーカルの歌声とともに、キャッチーなポップさと知的ロックの構築性を
巧みに同居させたというスタイリッシュな聴き心地である。前半はわりとコンパクトな作風だが、
後半は、12分、9分という大曲が待っていて、ポストプログレ的なゆるやかな叙情と、
モダンロックのデジタル感に、北欧らしいやわらかな繊細さが合わさったサウンドが楽しめます。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 知的センス度・・8 総合・・8
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OSADA VIDA 「PARTICLES」
ポーランドのハード・プログレバンド、オサダ・ヴィダの2013年作
すでに7作目となる中堅バンドで、前作までのRiverside的な薄暗いハードプログレから一転、
今作ではよりスタイリッシュになったアンサンブルとともに、キャッチーなメロディアス性が強まった。
きらびやかでモダンな感触のシンセアレンジと、適度にハードなギターとマイルドなヴォーカルを乗せ、
IT BITES あたりにも通じるメロディックなプログレハード風味のサウンドを聴かせてくれる。
ボーナストラックでは、METALLICA“Master of Puppets”をカヴァーしていて、これがなんとも
ゆったりとプログレなアレンジでとても面白い。全体的にもモダンなセンスの光る好作品である。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 スタイリッシュ度・・8 総合・・8
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TNNE 「The Clock That Went Backwards」
ルクセンブルクのシンフォニックロック、TNNEの2014年作
美しいシンセアレンジにメロウなギター、そして爽やかな味わいのヴォーカルとともに聴かせる、
GENESISルーツのシンフォニックロック。キャッチーなメロディアス性はIT BITESやBig Big Trainにも通じるか。
地味なジャケに反して、内容は爽快にしてメロディアス。アレンジのセンスやヴォーカルの確かな力量に
ハケットばりの叙情ギターも含めて辺境性はほとんど感じさせない、とても高品質なサウンドである。
雰囲気としてはむしろ最近の英国のネオプログレ系に近いかと思う。これは掘り出し物的な好作品。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 爽快度・・8 総合・・8
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Lord Of Mushrooms 「Perspectives」
モナコ公国出身のプログレメタル、ロード・オブ・マッシュルームスの2012年作
前作から6年ぶりとなる3作目で、キャッチーなメロディと知的な構築センスで聴かせる
ProgMetalサウンドは本作でも健在。いくぶんモダンなヘヴィさも含ませつつ、
DREAM THEATER的なドラマティック性と、A.C.Tの軽妙なセンスを合わせたような作風は
この手のファンにはたまらないだろう。無駄にテクニカルすぎない適度な余裕も魅力で、
IT BITESあたりのプログレハードファンにも楽しめる、高品質な作品です。
メロディアス度・・8 テクニカル度・7 構築センス・・8 総合・・8
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