シンフォニックロック新世代〜90年代以降のシンフォ名盤77選
90's〜Symphonic Rock Selection


はじめに


「シンフォニックロック」の起源がGENESISであるのかYESであるのかといった議論は、じつはあまり意味をなさない。
なにしろかつてプログレ全盛の70年代においては、「シンフォニック」などという呼び方は存在しなかったのだから。
しかし、現在においては「シンフォニック」「シンフォニックメタル」なるジャンルは確実に存在し、多くのバンドがその手のハイレベルのアルバムを発表し続けているのも事実です。
今回は、「シンフォニックロック」がいちジャンルとして定着した90年代以降のバンド、つまり「現在形のシンフォニックバンド」の特集ページを作ってみました。

評価基準として「オススメ度」なるものを最高★5つで表しましたが、★4つ以上のものでも必聴級のアルバムであると断言できます。
最このページがシンフォ好きリスナーにとってなんらかの参考になれば幸いに思います。

                           2003.8.13 緑川 とうせい


イギリス

TANTALUS

「JUBAL」 2000


「LUMEN ET CALIGO T」 2002
■英国期待の新星登場
〜タンタルス〜

明らかにDREAM THEATER通過後のバンド。
かといってメタルなわけでも、けっしてテクニカル重視なわけでもない。いうなれば、曲センス、楽曲構築の妙。
きらきらとした音像の中にもクールな感性がかいま見え、クサくなりそうでけっしてそうならないのがIT BITESあたりに通じる知的な部分。そして音の重ねのセンスの良さに現代風シンフォの可能性が見える。
「JUBAL」は成長著しい2ndアルバム。これを聴けば現在系シンフォニックロックの音が凝縮されている。
「LUMEN ET CALIGO T」は70分を超えるコンセプト的なアルバム。一聴してゆるやかな印象で起伏の面では前作に譲るが、聴き込めばこのさざ波のような叙情とメロディに感服する。

曲センス
★★★★★

オススメ度
★★★★★
PENDRAGON

「THE MASQUERADEOVETURE」
1996
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「NOT.OF .THIS.WORLD」 2001
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■ポンプからシンフォへ
〜ペンドラゴン〜

91年の3rd「THE WORLD」以降、PENDRAGONはいわゆる「ポンプロック」からの脱却として、自身のロマンティシズムを前面に押し出した作風で生き残りをはかる。
そして1996年の5th「仮面舞踏への序曲」において、ドラマティックなシンフォニックロックを完成させる。そこにあるのはもはやポンプではなく、胸を掻きむしる叙情と泣きに彩られた極上のシンフォサウンドであった。
ジャケを含めてこのトータル的な密度の濃さは最新作「NOT.OF .THIS.WORLD」にも受け継がれ、ロマン派シンフォとしての彼らの地位を揺るぎないものとしている。
まったくもってこの「泣きと煽情力」は日本人好みであり、我々の考える「シンフォニック」のすべてがここにあるといってもよいだろう。
ニックバレットの甘い声と、メロウなギター、クライブ・ノーランの見事なキーボードワークは、現在ARENAとともに英国シンフォの第一人者というにふさわしい。
シンフォニック度
★★★★★

オススメ度
★★★★★
ARENA

「SONGS FROM LION'S CAGE」
1995
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■クライブ・ノーラン関連バンド
〜アリーナ〜

ARENAの最高作として、意見はいろいろあるだろうが、私はこの1stを選びたい。
「BRAVE」以降のMARILLIONにも通じる重たくシリアスな音とメタリックなギターサウンド、そして曲の半ばでは必ず訪れるメロディックかつシンフォニックな切り返しは、唐突ながら実に胸を打つ。こうした爽快感ではこの1stがもっともアレンジ的に効果的で、クライブ・ノーランのメロディと作曲における才能を物語っている。
メロディアス度
★★★★

オススメ度
★★★★
STRANGERS ON A TRAIN

「THE KEY PARTU THE LABYRINTH」
1993
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■クライブ・ノーラン関連バンド
〜ストレンジャース・オン・ア・トレイン〜

クライブ・ノーラン関連での最高作はこれ。
ハスキーな女性Voトレイシー・ヒッチングの歌声と、端正なピアノ、キーボードに、展開の多い楽曲。そして「これでもか」の大盛り上がり。ジャケにごまかされず、見つけたら手にとってもらいたい作品。ポンプ系人脈で作られたシンフォとしては90年代屈指の一枚。
シンフォニック度
★★★★

オススメ度
★★★★
LANDMARQ

「SIENCE OF COINCIDENCE」
1998
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■トレイシー・ヒッチング加入で聴きやすく
〜ランドマーク〜

QUASAR〜STRANGERS ON A TRAIN、をへてLANDMARQに加入したトレイシー・ヒッチング。
彼女の加入でバンドの音はがらりと変わった。
曲が生き生きと躍動し、ロックとしてもシンフォとしても格段に聴きやすくなっている。
バンドに影から関わるクライブ・ノーランのプロデュース力もそうだが、明らかに近年の英国におけるポンプ/シンフォ の復活を示す勢いを感じる。
メロディアス度
★★★★

オススメ度
★★★
PALLAS

「THE CROSS & THE CRUCIBLE」
2001
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■ポンプだって傑作を
〜パラス〜

かつてポンプロック全盛の頃「THE SENTINEL」という名作で名を知らしたこのバンドが、99年に「BEAT THE DRUM」というアルバムで復活。
かつてよりもシリアスでシンフォニック寄りのサウンドに驚いたものだが、復活第二弾のこのアルバムでは、さらにコンセブチュアルなシンフォニックロックを追求している。やや長尺ながらもドラマティックな構成とスケールの大きさは見事といってよい。
シンフォニック度
★★★★

オススメ度
★★★
CAMEL

「HARBOUR OF TEARS」 1996
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■やっぱり大御所は偉大
〜キャメル〜

1992年「DUST AND DREAMS」でかつての「THE SNOW GOOSE」のような繊細でメロディアスな作品を復活させたCAMEL。
それに続くこのアルバムは、彼らの全作品中でも最も美しく、そしてシンフォニックに近いサウンドになっている。「港町コーヴの物語」と題されたストーリーは、アイルランドの歴史を感じさせるもの悲しさと、人間の温かみがメロディと一体となり、ゆるやかにドラマを構築してゆく。
メロディアス度
★★★★

オススメ度
★★★
COLIN BASS

「AN OUTCAST OF THE ISLANDS」
1999
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■現キャメルのベーシストの傑作アルバム
〜コリン・ベース〜

これが素晴らしい傑作。
バックの演奏はポーランドのQUIDAMのメンバーが多く参加していることもあり、まったくもってシンフォ系対応のサウンド。しかしメロディは分かりやすく、曲もコンパクトで歌ものとしての盛り上がりも充分。身構えずに素直に聴けるしっとりサウンド。極上のメロデイ満載。
メロディアス度
★★★★★

オススメ度
★★★★
MOSTLY AUTUMN

「THE LAST BRIGHT LIGHT」 2000
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■トラッド(女性Vo)色UPを希望
〜モストリィ・オータム〜

女性Vo入り、フルートも入ってフォーク、トラッド色もあるバンド。
曲的には洗練されておらず、ある意味その「田舎臭さ」が気に入るかどうかがポイント。
シンフォというよりは田園風メロディアスロックといった趣。
BARCLAY JAMES HARVESTあたりが好きならまず聴くべし。今後はもっと女性Voをメインにしていただきたいな。
シンフォニック度
★★★

オススメ度
★★★


イタリア
HOSTSONATEN

「MIRRORGAMES」 
1998


「SPRINGSONG」 2002
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■浪漫派大叙情
〜ホストソナーテン〜

FINISTERREのメンバーによるプロジェクト。
ギュスターブ・モローのジャケ通り、ロマン派の懐古的なシンフォサウンドで、フルート、メロトロン入りでしっとりと優雅に聞き入れば、夢幻の世界へ誘われる。
けっして陽性にはならず音にほのかな薄暗さがあるのがたまらない。憂き世を忘れて浸りたい一枚。
「SPRINGSONG」の方は白いジャケットとタイトルのイメージ通り、たおやかで優美なしっとりシンフォニック。
メロディの質、煽情度ともに最近のイタリアシンフォとしては飛び抜けて出来がよい。
シンフォニック度
★★★★★

オススメ度
★★★★
LA TORRE DELL' ALCHIMISTA

2001
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■完全懐古主義サウンド
〜ラ・トッレ・デル・アルケミスタ〜

イタリアの70年代の空気を完全再現。
BANCO、CORTE DEI MIRACOLIなど、「あの頃」のイタリアの音を如実に表したサウンド。
ハモンド、メロトロン、フルートなどもまるで70年代に回帰したような音で、イタリアンロック好きにはたまらない一作。
本当に新人バンドなのか?
70'イタリア度
★★★★★

オススメ度
★★★
H2O

「UNOPUNTOSEI」 1997
■BANCO+GENESIS?イタリア期待の星
〜H2O〜

伝統的なイタリアの雰囲気を守りつつ、現代風のきらきらとした音像で構築されたシンフォ傑作。
いかにもプログレ然としたキーボードに、ハケット風のメロウなギターがかぶさり、実に心地よい音空間を作り出す。
とにかくこの手のシンフォとしては音のセンスが良い。くどすぎず、しかし薄くもない。2nd「DUE」も同様の傑作。
シンフォニック度
★★★★

オススメ度
★★★★
JETLAG

「DELUSIONE OTTICA」 2001
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■技巧と叙情炸裂の傑作
〜ジェットラグ〜

躍動する変拍子の上に吹き鳴らされるフルート。
DFAあたりにも通じるせわしないほどのテクニカルさと、イタリア的な叙情を兼ね揃えた大物新人。
ギターの音色にはプログレメタル的な部分が感じられ、その手のファンにも対応。
しかし技巧だけでなく、メロディセンスも良いときていて隙がない。
テクニカル度
★★★★★

オススメ度
★★★★
EZRA WINSTON

「ANCIENT AFTERNOOMS」 1990
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■遅れてきた大名盤
〜エズラ・ウィンストン〜

1990年という非常な微妙な時期に1枚のアルバムを残して消えたバンド。しかしそのクオリティたるやハンパではなく、当時LPのみで出ていたものが近年ついにCD化された。
配給が南米のレーベルからという点でも分かるとおり、このバンドのサウンドはPFM的なイタリアの叙情を南米シンフォにも通じる熱情で再現したものといっていい。吹き鳴らされるフルート。メロディアスなギター、軽快なリズム、そしてクラシカルな響きは現在で言うとRUMBLIN' ORCHESTRAあたりにもひけをとらない。傑作である。
シンフォニック度
★★★★

オススメ度
★★★★★
PFM

「LIVE IN JAPAN 2002」 2003
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■頑張るプログレオヤジ 1
〜PFM〜

イタリア伝説のバンドの2002年の来日公演は、過去の名曲をたっぷりと再現した素晴らしいものとなった。
このライブアルバムに収められた音は、まぎれもなく我々が求めたPFMの音であり、かつての素晴らしい楽曲群の再現には熱いものが込み上げてくる。
若いPFM初心者にもすすめられる作品。
メロディアス度
★★★★

オススメ度
★★★★★
VITTORIO DE SCALZILA STORIA DEI
NEW TROLLS

「CONCERTO GROSSO LIVE」
2001
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■頑張るプログレオヤジ 2
〜ニュートロルス〜

NEW TROLLSの「コンチェルトグロッソ」は70年代イタリアに燦然と輝くクラシカルロックの傑作だった。
それがオーケストラとの競演ライブという形でこうして再現された。
ここにあるのは本物のクラシカルロックであり、かつてとの比較どうこう以前に、単体でも耳を傾けるべきクオリティを有した作品である。ロックサウンドとオーケストラの自然な融合は楽曲の素晴らしさもあいまって、いっそうスケールアップして聴こえる。
クラシカル度
★★★★★

オススメ度
★★★★
TONY CARNEVALE

「LA VITA CHE GRIDA」 1995
■頑張るプログレオヤジ 3
〜トニー・カルネヴァーレ〜

ソロ作としてのこの2作目は、BANCOのジャコモさんをVoに迎えての一大クラシカル&シンフォニックワールドが展開されている。オーケストラ+キーボードシンフォニックの極み。
優雅で大胆、そしていまだ新しさを感じるサウンドは彼の才能を物語っている。イタリアのゴドフレイ(THE ENID)とは彼のことか。壮大な音世界。
クラシカル度
★★★★★

オススメ度
★★★★
LE ORME

「ELEMENTI」  2001
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■頑張るプログレオヤジ 4
〜レ・オルメ〜

頑張る70年代の復活組、レ・オルメのこのアルバムは文句のつけようがない傑作となった。
「元素」をテーマにしたコンセプト作で、ほぼインストのみの小曲が次々に連なっていくという構成。キーボードによるシュミレーターでギターの音を再現させているのも面白い。かつてのもったりとした幽玄なイメージではなく、明快なメロディとダイナミックさに彩られたシンフォニックサウンド。
メロディアス度
★★★★

オススメ度
★★★★
METAMORFOSI

「PARADISO」  2004
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■頑張るプログレオヤジ 5
〜メタモルフォーシ

70年代に2枚のアルバムを残したイタリアン・プログレバンド、メタモルフォシの復活作。
キーボードプログレの傑作アルバムとされた「INFERNO」から30年余、こうして届けられたアルバムは「神曲」をモチーフにした壮大なクラシカルシンフォの傑作だ!
★★★★

オススメ度
★★★★★


フランス
MINIMUM VITAL

「SARABANDES」 1990
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■90年代初頭のホープだった
〜ミニマム・ヴァイタル〜

フランスというとジャズロック、チェンバー系の国だが、80年代〜90年代初頭までは良質のシンフォバンドが数多く活動していた。
このMINIMUM VITALの3rdもクオリティとしてはこの当時頭ひとつ抜けており、じつに聴きやすく日本人向けのシンフォサウンドである。
シンフォニック度
★★★

オススメ度
★★★
ARRAKEEN

「MOSAIQUE」  1992
■ギターはシリル・エイチャード
〜アラキーン〜

美声の女性Voの美しいフランス語の歌唱に、ややメタリックなギターが印象的なシンフォサウンドで、とても心地よい音像である。現在はおそらく解散していると思われるが、このアルバムのクオリティは女性Voものシンフォとして忘れられぬものがある。テクニカルギタリスト、シリル・エイチャード参加。
シンフォニック度
★★★

オススメ度
★★★★
GWENDAL

「GLEN RIVER」 1990
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■トラッドシンフォの名作
〜グウェンダル〜

70年代から活動するフランスの異色トラッドバンド。
このアルバムでは、シンセなどのエレクトリック楽器を巧みに使用し、聴きやすくたおやかなトラッドシンフォをやっている。オランダのFLAIRKにも通じる軽やかな演奏で技巧的でありながらもさらりと聴ける心地よさがある。
トラッドシンフォ度
★★★★

オススメ度
★★★★
]U ALFONSO

「THE LOST FRONTIER」 1996
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■大自然との融合シンフォ
〜]Uアルフォンソ

クラシカルなピアノ、時に盛り上がり、時に静謐なキーボードが美しく、雄大なオーケストレーションを用いながらも、フルートやアコーディオン等の素朴な音色も上手く取り入れた、センスのよいサウンド。
インスト中心ながら、数曲あるしっとりとした女性Vo曲が実に美しい。

シンフォニック度
★★★★

オススメ度
★★★★
TAAL

「SKYMIND」 2002
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■怒濤のシンフォチェンバー!!
〜タール

1stの方も強引なメタルギターに管楽器をフィーチャーした、エセ壮大系の無茶なサウンドだったが、この2ndにして、さらに楽曲のアレンジの細やかさが増し、サウンドのクオリティが高まった。大仰なこけおどしメタルサウンドと管楽器、ストリングスの合体は素晴らしく、時折聴かせるしっとりとした叙情クラシカルパートも本物に聴こえ、おちゃらけたメロディや無茶な展開も、説得力があるので馬鹿にできない。
シンフォニック度
★★★★

オススメ度
★★★★★


ドイツ、オランダ、スイス、オーストリア
EVERON

「BRIDGE」2002
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■ドイツ・ハードシンフォの雄
エヴェロン〜

1993年にデビューし、本作はすでに5作目。
キャッチーな歌メロとメロディアスなギターでドラマティックな雰囲気に包まれたサウンドは、プログレが苦手というメタルリスナーでも楽しめるだろう。
本作は現時点でのバンドとしての最高作であり、重厚なメロディックシンフォの傑作といってもいい。
シンフォニック度
★★★★

オススメ度
★★★★
KAYAK

「MERLIN- BARD OF THE UNSEEN
2002
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■これも復活組
〜カヤック〜

復活KAYAKの第三弾はなんと1981年発表の「MERLIN」のリメイク。
もともとポップ性とコンパクトなメロディアスロックを得意にするバンドだが、これはそのなかでも「アーサー王伝説」をモチーフにした異色の大シンフォニック作。
「完全版MERLIN」としてオリジナルと聴きくらべるのもよし。単体でうっとりと聴くのもよし。
聴きやすく、華麗でメロディアス。
シンフォニック度
★★★★

オススメ度
★★★★
FLAMBOROUGH HEAD

「DEFINING THE LEGACY」
2000
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■お約束の音だが、かなりの傑作
〜フラムボロウ・ヘッド〜

ダブルキーボードに重なるメロウなギター。泣きの叙情。10分を超える楽曲には押しと引きの妙。
曲はゆるやかに進むが、盛り上がりの場面での分厚い音の洪水は圧巻。PENDRAGONにも通じるロマンティックな雰囲気を味わえる。シンフォニックロックとしての理想系のひとつ。これでジャケが良ければ・・・
シンフォニック度
★★★★★

オススメ度
★★★★
SHAKARY

「ALYA」2000


「THE LAST SUMMER」 2002
■クレプシドラって知ってます?
〜シャカリー〜

スイスのシンフォニックロックバンド、CLEPSYDRAのギターらを中心としたバンド。
CD2枚組の大作「ALYA」は、いかにもなシンフォ/ポンプロックサウンドを基調としながらも、壮大なコンセプトに基づき曲が進行し、荘厳なシンセやメロウなギター、ヴァイオリンなどが見事に噛み合わさっていて聞きどころが多い。
また、この手のシンフォとしては歌の上手さも手伝って、長尺ながら飽きさせない。
サウンドもクリアで録音にも非常に金がかけられている印象。
2nd「THE LAST SUMMER」同路線だが、よりギターの比重が増していて、シンフォ好きのメタルリスナーにも薦められる。
こちらもコンセプト作らしく、ラスト近くでの盛り上がりはまさに泣きの大叙情。前回ゲスト参加の元PFMのDr、Walter Calloni も正式メンバーとなり、安定した見事なドラムを叩いている。
シンフォニック度
★★★★

オススメ度
★★★★
GANDALF

「VISIONS 2001」  2000
■オーストリアのマルチミュージシャン
〜ガンダルフ〜

80年代初期からソロ作を多数発表し続けているGANDALFが、活動20周年を記念して作った作品。
トールキンの「指輪物語」をテーマにした、じつに美しいシンフォニックアルバムで、伸びやかなギター、キーボードによる心癒されるサウンド。アコースティカルなトラッド要素も多く、結果として温かみのあるヒーリング系シンフォトラッドの傑作となっている。
トラッドシンフォ度
★★★★★

オススメ度
★★★★
LANVALL

「AURAMONY」 1996
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■EDENBRIDGEの美形ギタリスト
〜ランヴァル〜

LANVALLといえばEDENBRIDGEのギタリストなのだが、先にソロを聴いていたので、メタルというよりは「シンフォニック系マルチミュージシャン」という認識だった。
本作で聴ける音は上記GANDALFにも通じるたおやかなギターインストシンフォ。自身が弾くキーボード、パイプオルガンに加え、ゲストにフルートや合唱隊を迎えた荘厳かつ静謐なサウンド。そこに鳴るキャッチーなギターが心地よく耳に響く。GANDALFも参加したこの2枚目はその同国の大先輩の最高作に匹敵する出来ばえ。
シンフォニック度
★★★★

オススメ度
★★★★
AYREON

「THE FINAL EXPERIMENT」
1996
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■メタル界からシンフォニックプロジェクト発動
〜エイリオン〜

80年代オランダのハードロックバンド、VENGEANCEのギタリスト、アルイエン・ルカッセンが1996年に突如発表した一大シンフォニックロックオペラ。
アーサー王伝説にSFを付加した物語を、数多くの著名なゲスト参加により作り上げた。
そのサウンドは壮大華麗なロック絵巻であり、ここまでの大仰さをHRに持ち込んだ例はこれまでなかった。この後このAYREONプロジェクトは世界各国の大物を巻き込んでアルバムを発表し続けていくが、全体の完成度としてはこの1stが最高作。
大仰度
★★★★★

オススメ度
★★★★


北欧/スウェーデン
ROINE STOLT

「THE FLOWER KING」 1994
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THE FLOWER KINGS

「BACK TO THE WORLD ADVENTUER」 1995
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■KAIPAからフラキンへ
〜ロイネ・ストルト〜ザ・フラワーキングス〜

アメリカにおけるプログレ復興の兆しが1992年のDREAM THEATERの「IMAGES AND WORDS 」とMAGNA CARTAレーベルの誕生だとするなら、ヨーロッパにおけるそれは1994年前後。PENDRAGONやARENA、そしてこのTHE FLOWER KINGSの蠢動だったろう。
KAIPAのギタリストだったロイネ・ストルトが1994年に突然発表した「THE FLOWER KING」というアルバムは、明快なギターメロディを中心に、かつてのような泣きとシンフォニックな高揚感に満ちた傑作で私を驚かせた。それがはじまりだった。
翌年ロイネはアルバムタイトルであったTHE FLOWER KINGSというバンドを率いて再びシーンに舞い降りた。
「BACK TO THE WORLD ADVENTUER」におけるサウンドは、まさに北欧シンフォニックを満喫できる、古き良き音と現代の音が交差したものだった。
この後バンドは精力的に活動し、ほとんど毎年のようにアルバムを発表し現在に至るが、この最初の2枚における明快さ、そして希望にあふれたシンフォニックへの回答は今もなお輝きを失わない。
シンフォニック度
★★★★

オススメ度
★★★★
KAIPA

「NOTES FROM THE PAST」 2002
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■カイパ復活はフラキン効果?
〜カイパ〜

すっかり新世紀シンフォニックロックの旗手となったロイネ・ストルトは、かつてのKAIPAをも復活させた。
といってもオリジナルメンバーはKEYハンス・ルンディンのみであり、サウンド的にも70年代カイパとはやや異なるものであるが。それにしてもロイネの尽きない音楽への情熱と、華麗なギターフレーズは素晴らしい。ドラムはMATS/MORGANのモルガンで、テクニカルなドラミングがカイパらしくない(笑)。
シンフォニック度
★★★

オススメ度
★★★
PAR LINDH PROJECT

「GOTHIC IMPRESSIONS」 1994


「MUNDUS INCOMPERTUS」
1998
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■ド級シンフォの登場
〜パル・リンダー・プロジェクト〜

THE FLOWER KINGSとほぼ同時期に発表された「GOTHIC IMPRESSIONS」という一枚のアルバムは、今思うと北欧シンフォ活性化に一石を投じていたように思う。
それほどの衝撃だった。総勢15人の参加メンバーにはANGLAGARDのメンバーやロイネ・ストルトもおり、チャーチオルガンだのフルート、メロトロンだの合唱隊だのがとんでもなく大仰なサウンドを構成している。
とどめは「はげ山の一夜」のシンフォ版アレンジで、これも怒濤の出来。「こいつらなにもんだ?」と本気で思った。
2nd「MUNDUS INCOMPERTUSはメンバーを固定しバンドサウンドでのシンフォをやっているが、こちらも傑作。パル・リンダーのキーボード群は、エマーソンが狂ってシンフォニック化したような弾きまくりで、加入した女性Voマグダレーナ嬢もなかなかいい味を出している。大仰バロックシンフォ北欧版。
シンフォニック度
★★★★★

オススメ度
★★★★★
PAR LINDH & BJORN JOHANSSON

「BILBO」  1996
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BJORN JOHANSSON

「DISCUS URSI'S DUI」 1998
■北欧的叙情満載
〜ビヨルン・ヨハンソン〜

北欧のマルチミュージシャン、ビヨルン・ヨハンソンが注目を集めたのは1996年にパル・リンダーとの共同作として発表した「BILBO」である。
これはトールキンのファンタジー小説「指輪物語」のホビットの冒険をモチーフにしたストーリーアルバムで、静寂と美に彩られた涼しげなシンフォニックロックである。
続く1998年のソロ作「DISCUS URSI'S DUI」は、彼の持ち味が前面に出た作風で、ジャケットなどにみられるマイナーなイメージそのままの内省的サウンド。
しかしながら、北欧らしい寒々しい叙情と、北方の森にさまよい込んだかのような自然味のあるアコースティカルな雰囲気が素晴らしく、マイク・オールドフィールドの傑作「OMMADAWN」にも通じる内的スケールを感じさせる。
パル・リンダーのような派手さはないものの、「北欧らしさ」という点では最高の作品。
北欧度
★★★★★

オススメ度
★★★★
ANGLAGARD

「HYBRIS」 1993
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「EPILOG」 1994
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■2枚の傑作を残して消えた北欧シンフォの遺産
〜アングラガルド〜

90年代北欧最初の衝撃はややマニアックにすぎるLANDBERKではなく、このアングラガルドであった。
「ザ・シンフォニック組曲」という邦題も私が手にとるきっかけを作ってくれた。
1stの「HYBRIS」は張りつめたようなピアノのイントロからして緊張感を誘う。続いて変拍子の中ややヘヴィな演奏がはじまり、バックにはメロトロンが鳴り始める。
聞きどころとしては、クリムゾン的な硬質パートが一転して叙情溢れるメロディパートに変わる瞬間や、静寂パートの中の北欧らしいほの暗さ、それに土着的トラッドメロディが顔を出すところもいい。曲は長いがメリハリが効いているのだ。
2nd「EPILOG」ではさらに複雑な曲展開とクリムゾン的緊張感が高まったが、1st同様の傑作。
バンドはこの後ライブアルバムを残し解散するが、最近の北欧シンフォ復興の中で、復活の噂が絶えない。
北欧度
★★★★

オススメ度
★★★★
ANECDOTEN

「NUCLEUS」 1995
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■北欧のメロトロンマニア
〜アネクドテン〜

1993年に発表された1st「VEMOD」はANGLAGARDに続く北欧の新星として、シーンはこのバンドを注目した。
特徴としてはより露骨なメロトロンサウンドにこだわったところで、マニアにとっては「北欧のクリムゾン」として垂涎のバンドの登場となったのである。この2ndは楽曲的にも大きく成長し、北欧らしいメロトロンサウンドはそのままに、楽曲にいっそうのメリハリがついた傑作となっている。
北欧度
★★★★

オススメ度
★★★★
ISILDURS BANE

「MIND VOLUME 1」 1997
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■未来派バンド進化系
〜イシルドゥルス・バーネ〜

初期作ではファンタジックなシンフォをやっていたこのバンドも1989年の「CHEVAL」における大胆な室内楽導入から進化を始める。
壮大なコンセプト作「THE VOYAGE」に続くこのアルバムは、クリムゾン的な硬質感と、北欧的シンフォサウンドが一体となった密度の濃いもので、この後の「MIND VOL2」以降の拡散性にくらべて聴きやすく、シリアス系シンフォファンには必聴のアルバムである。
重厚度
★★★★

オススメ度
★★★★
TRIBUTE

「TERRA INCOGNITA」 1994
■北欧のマイク・オールドフィールド?
〜トリビュート〜

80年代から活動しているこのバンドのライブアルバムを含めて4作目。
北欧的なトラッド要素と、構築型シンフォサウンドが融合した傑作である。濃すぎない自然体のサウンドはマイク・オールドフィールドを思わせ、管弦楽や女性Voなど聞きどころも多い。
切れの良い演奏に躍動感もあり、北欧爽快シンフォの名作。
シンフォニック度
★★★★

オススメ度
★★★★


ハンガリー、ポーランド
RUMBLIN' ORCHESTRA

「THE KING'S NEW GARMENT」
2000
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■大仰エンタテイメントシンフォ大傑作
〜ランブリン・オーケストラ〜

ELP、リック・ウェイクマンばりの弾きまくりキーボードに、管弦楽隊を導入したダイナミックシンフォサウンド。
「裸の王様」をテーマにした壮大かつきらびやかな組曲が展開される。クラシカルでシンフォニックだか、けっしてシリアスになりすぎず、メロディやアレンジに万人受けする分かりやすさがあるのがミソ。すべてのシンフォ好きにオススメ。
シンフォニック度
★★★★★

オススメ度
★★★★★
AFTER CRYING

「6」  1997
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■クリムゾン+ELP+クラシック? 東欧の進化系
〜アフター・クライング〜

3rdあたりはまだ東欧版ELPというサウンドだったが徐々に進化を遂げ、クラシカルなシリアスさに、クリムゾン的重厚さとオーケストラを融合させて、一気に重厚度アップ。
東欧らしい本物のクラシック要素を、見事にロックとしてのダイナミズムにシンクロさせ、繊細かつ大胆に楽曲を構築している。進化系シンフォバンドとして現在最も重要なバンドのひとつである。
重厚度
★★★★

オススメ度
★★★★
SOLARIS

「1990」 1990
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■東欧シンフォ、原点はやはりこのバンド?
〜ソラリス〜

80年代にEASTらとともにデビュー。1st「火星年代記」は語り継がれる傑作となっている。
90年代になってバンドは再稼動、しつこいほどにコテコテのメロディアスシンフォとしてこのアルバム「1990」をオススメしたい。バンドはこの後1999年にアルバム「ノストラダムス」を発表するが直後にギタリストが死去。現在はフルート奏者のバンドKOLLAR ATTILAが活躍中。
メロディアス度
★★★★

オススメ度
★★★★
COLLAGE

「MOONSHINE」 1994
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■解散はじつに惜しかった
〜コラージュ〜

現在のポーランドにおけるシンフォ人気の基盤はこのバンドだったのではないかと思われる。
3枚のアルバムを残し解散したが、中でも2ndの「MOONSHINE」は現在のARENAにも通じる重厚さとマイナー調のメロディ満載の傑作である。むせび泣くギターに広がりのあるキーボード、そして悲しげな歌メロに胸打たれる。この後中心人物であるMIREK GILはソロ作を出し、最近になって新バンドSATELLITEを結成。
シンフォニック度
★★★★

オススメ度
★★★★
QUIDAM

1996
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「THE TIME BENEATH THE SKY」
2002
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■女性Voシンフォファン必聴
〜クィダム〜

美しい女性Voのシンフォニックロック。
ポーランドのお国柄かCOLLAGEにも通じる甘いギターフレーズに、マイナー調の楽曲、そしてそこにかぶさる天上の美声。
1stアルバムはしっとり系シンフォとして傑作。
2ndになるとややポップで明るめの方向性に変化したが、続く3rd「THE TIME BENEATH THE SKY」で大化け。エミーラ嬢の美声を最大に生かすべく、音数は抑え目に、そして楽曲はほの暗い、ゴシックメタル調の深遠さをかいま見せる。なにかが吹っ切れたような内的スケールの大きさ。
エミーラ嬢の母国語での歌唱も、己の世界を表現しつくしており、じつに懐が深い。
このアルバムは近年の女性Voものとして、間違いなくベストの一枚であるのでじっくりと聴き入るべし。
女性Vo度
★★★★★

オススメ度
★★★★
TURQUOISE

2001
■クィダムに続け
〜タークォイス〜

QUIDAMにつづいて現れたポーランドの女性Voシンフォ。
メンバー写真を見るとまだ若いが、内容的にはQUIDAMの1stにひけをとらない。
こちらは伸びやかなギターに、解放感のあるシンフォ音像で、QUIDAMのような深さはまだないが、じつに爽快な作品。
女性Vo度
★★★★

オススメ度
★★★


アメリカ、カナダ
GLASS HAMMER

「CHRONOMETREE」 2000
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■ブックレットにも「危機」を手にした男が
〜グラス・ハマー〜

プログレが好きすぎて「あちら」の世界と交信するようになった男の話(笑)というコンセプト作。
内容が内容だけに、音の方もYESの「危機」ばりの長大な組曲 + エマーソンばりの弾きまくりシンフォニックロック。
その結果として彼らの全作品中最高の密度のアルパムとなっている。
シンフォニック度
★★★★

オススメ度
★★★
SPOCK'S BEARD

「X」 2000
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■ポップ性と70年代の香りをプログレに注入
〜スポックス・ビアード〜

90年代アメリカを代表するバンドとなったスポビの5枚目。
彼らの持ち味は絶妙の70年代テイストとポップセンスであるが、このアルバムではそれに加え大作におけるシンフォニック手法が見事に昇華されている。
ニール・モーズのやわらかな歌メロも心地よく、身構えずに聴ける傑作である。しかし、次作「SNOW」発表後、ニールは宗教上の理由で脱退。
メロディアス度
★★★★

オススメ度
★★★★
TRANSATLANTIC

「BRIDGE ACROSS FOREVER」
2002
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■スポビとフラキン、マリリオンとドリームシアター=夢の競演
〜トランスアトランティック〜

ニールモーズのメロディセンスにロイネ・ストルト、マイク・ポートノイらの凄腕メンバーが加わったコラボレーションの妙が炸裂。
1st「SMPTe」も同様の傑作だが、この2ndでは録音クオリティも上がり、メンバー間のやりとりも増えたことで、より密度の濃いサウンドとなっている。壮大さと親しみやすさが同居するシンフォニックの理想形。
シンフォニック度
★★★★

オススメ度
★★★★★
NATHAN MAHL

「HERETIK VOLUME T」 2000
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■CAMELのツアーKEY、ギーさんの弾きまくりシンフォ
〜ネイサン・マール〜

アルバムとしてはこれが3作目。
ヘレステイックシリーズと題されたこの後続く3部作の始まりである。メロディアスかつテクニカル。かつてのHAPPY THE MANを思わせるような切れ味とセンスにジャズロック的な軽快さもある。全編コテコテの弾きまくりなので、こんなアルバムが3枚続くと思うと多少聴き疲れする感もある。体力のある方へ。
シンフォニック度
★★★★

オススメ度
★★★
ENCHANT

「BREAK」 1998
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■スティーブ・ロザリーの発掘バンド
〜エンチャント〜

メロウなギターと手数の多いドラム。楽曲は静寂と動のメリハリが効いており、全体にただようもの悲しさが聴き手にしっかりと伝わってくる。中期以降のMARILLIONなどにも通じる重さを感じさせつつ、シンフォ的な音像も保っている。次作「JUGGLING 9 OR DROPPING 10」も良い出来。叙情派メタルファンにも対応。
メロディアス度
★★★

オススメ度
★★★
SHADOW GALLERY

1992
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■すごいぞ!マグナカルタ
〜シャドウギャラリー〜

アメリカのプログレメタル専門レーベルMAGNA CARTAの発足は、少なからずシーンに影響を与えただろう。
レーベル第一弾のMAGELLAN以上にこのSHADOW GALLERYの登場は私には衝撃的だった。
テクニカルメタルという点では2作目以降をお薦めするが、ことシンフォリスナー向けという点ではこの1st。ドラムが打ち込みなのもかえってメタル臭さを減少させていて聴きやすい。繊細なメロディと美に彩られた傑作。ジャケの「画廊に降り立つイカルス」も雰囲気を出している。
メロディアス度
★★★★

オススメ度
★★★★
CAIRO

「CONFLICT AND DREAMS」 1997
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■すごいぞ!マグナカルタ
〜カイロ〜

基本はYES+ELPなのだが、この2ndアルバムではそれに独自の90年代アレンジを盛り込んでおり、よりダイナミックなシンフォサウンドとなっている。
テクニックもあり、切り返しの多い楽曲は飽きさせない。
ややおとなしくなった3rdも良い出来だが、聴くのならまずはこのアルバム。
シンフォニック度
★★★★

オススメ度
★★★★
LEONARDO
THE ABSOLUTE MAN


2001
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■すごいぞ!マグナカルタ
〜豪華なメンバー競演のコンセプト作〜

MAGNA CARTAにおけるプロジェクト作としてはEXPLORER'S CLUBに続くもので、これはレオナルド・ダ・ヴィンチをテーマにした作品。
今回もMAGELLANのトレント・ガードナーを中心に豪華なキャスティングで迫る壮大なアルバムである。ときおり聴かせるQUEEN的なコーラスワーク、起伏に富んだ曲展開と、非常にドラマテイック。レオナルド役のラブリエが頑張ってます。
シンフォニック度
★★★★

オススメ度
★★★
LANA LANE

「BALLAD COLLECTION U」
2000
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■バラードアルバムはシンフォの嵐
〜ラナ・レーン〜

ラナ・レーンのアルバムは、かなりメタルテイストが高くプログレファン向けではないのだが、バラード曲を集めたこのアルバムはシンフォニックリスナーにはうってつけ。
「T」の方もいい出来だが、こちらの「U」ではこのアルバム用にアレンジし直された曲が大半を占めており、流れるように曲間をつなぐ構成や、エリク・ノーランダーのシンフォなアレンジセンスが遺憾なく発揮されている。
ラナの歌声もしっとりと美しく、女性Vo好きシンフォリスナーには最高の一枚。
女性Vo度
★★★★★

オススメ度
★★★★


南米/ブラジル、アルゼンチン
SAGRADO
CORACAO DA TERRA

「COLETANEA TCANCOES」
2002
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「COLETANEA UINSTRUMENTAL」
2002
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■なんといってもまずはSAGRADO
〜サグラド〜

最近とみに新人シンフォバンドが登場する南米シーンにあって、我が道をゆくこのサグラド。
80年代からアルバムを出し続け、ソロアルバムや多数のサントラ作と、リーダーマルクス・ヴィアナの音楽創造意欲は果てることを知らぬかのよう。
2002年に出されたこの2枚のアルバムはサグラドというこの偉大なバンドの歴史を総括するかのような作品となった。
「COLETANEA」と名付けられた「T」「U」のそれぞれには、過去のアルバムからよりすぐった曲を「歌もの」「インスト」と分けて配置した、いうなれば「サグラドのベスト」。
80年代の音源もリミックスされ大幅に音質が向上、そのダイナミックな叙情と繊細なメロディがあらためてたっぷりと味わえる。
そのサウンドには大自然と融合したかのような広大な風景が感じられ、ヴィアナが奏でるヴァイオリンとともに、メロディの洪水となって聴くものを引き込んでしまう。ヴァイオリンが嫌い、ELPみたいなキーボードがなくちゃ嫌、という狭量な方以外のすべてのシンフォ好きに聴いてもらいたい。
シンフォニック度
★★★★★

オススメ度
★★★★★
TEMPUS FUGIT

「TALES FROM A FOGOTTEN WORLD」 1997
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■熱いゼ、南米シンフォ
〜テンパス・フュージット〜

現在の南米シンフォの筆頭旗手の1st。
シンフォマニアの喜ぶ「いかにもなキーボード」にCAMELばりのメロディアスギター。インストメインで、あくまでメロディ重視というシンフォのお手本のようなサウンド。
90年代の南米新人バンドの中では今のところトップだろう。
目新しさはないが安心して聴ける一枚。ややスタイリッシュに無駄を削いだ2ndとどちらをとるかは好みしだい。
シンフォニック度
★★★★

オススメ度
★★★
QUATERNA REQUIEM

「QUASIMODO」 1994
■熱いゼ、南米シンフォ
〜カテルナ・レクイエム〜

ド級の大仰さを誇る2nd。
1stのヴァイオリン入りの繊細系シンフォサウンドも捨てがたいが、なんといっても38分の組曲(グレゴリオチャント入り)を含むこのアルバムの大仰さは無視できない。
南米のPAR LINDH か。弾きまくりの女性KEYとDrの二人組(!)。ライブアルバムもお薦め。
シンフォニック度
★★★★★

オススメ度
★★★
DOGMA

「TWIN SUNRISE」 1995
■熱いゼ、南米シンフォ
〜ドグマ〜

1stではSAGRADOのマルクス・ヴィアナもゲスト参加していた。これは2nd。押しが強い印象の南米シンフォにあって、どちらかというと繊細系の音で、質感としてはSAGRADOに近い。叙情的なピアノ、キーボードに導かれてメロウなギターが鳴り出すと非常に心地よく、派手な部分は少ないものの安心して身を任せられるサウンドである。女性Voも入ります。
シンフォニック度
★★★★

オススメ度
★★★
BLEZQI ZATSAZ

「RISE AND FALL OF PASSIONAL SANITY」 1990
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■V MILENIOのKEYのバンド
〜バンド名読めません(^^;)〜

トレ・ミレニオのkey、FABIO RIBEIROのソロ作。
クラシカルかつエモーショナルな壮大シンフォで 大仰なキーボードという点では南米屈指の1枚。
リズム隊や録音などにやや甘さが感じられるが、キーボードシンフォ好きなら手放しで喝采するだろう。とにかくスペイシーに乱舞するKEYが見事。
1枚かぎりのプロジェクトかと思ったが、なんと2002年にこのバンド名義で2ndを発表した。
シンフォニック度
★★★★★

オススメ度
★★★★


ケルト・トラッドとの融合
IONA

「OPEN SKY」 2000
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「WOVEN CORD」  1999
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■ジョアンヌの歌声にうっとり
〜アイオナ〜

「OPEN SKY」はIONAの5作目。
幽玄な女性Voとしては前作「JOURNY INTO THE MORN」を挙げるが、シンフォニックという観点ではこちら。
まず、1曲目からインストで攻めてくる。ケルティックなギターフレーズが雄大なシンセをバックに鳴り響く。
続く2曲めでジョアンヌの歌唱がはじまると、ケルトの魂の深遠さとたおやかさ、アイルランドの広大な景色とが眼前に広がってくる。
オーケストラと競演したライブ盤「WOVEN CORD」もぜひオススメしたい。
壮大なオケとバンドが一体となったサウンドは、ケルト、シンフォニックの域を超えてダイナミックに聴くものの心にうったえかけてくる。そしてバックに負けないジョアンヌの歌唱の素晴らしさはいうまでもない。
間違いなく今、ケルテイックシンフォ最高のバンドである。
女性Vo度
★★★★★

オススメ度
★★★★★
KARNATAKA

「DELICATE FLAME OF DESIRE」
2003
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■レイチェルのおへそと歌声にうっとり
〜カルナタカ〜

傑作「THE STORM」からさらに成長を遂げた3rd。
いっそう音の厚みを増し、シンフォニックリスナーへのアピール度もアップ。ALL ABOUT EVEのロック性とIONAのケルト要素を合わせ持ち、女性Voものとしても高品質。レイチェルの歌唱とおへそはもちろんだが(DVDにて)、バック陣の演奏、とくにギターのフレージングが素晴らしく、ケルティックシンフォとしてだけでなくメロディアスロックとしても普通に聴ける。余談だが"KARNATAKA"というのは南インドの州の名前。
女性Vo度
★★★★★

オススメ度
★★★★
AMAROK

「CANCIONES DE LOS MUNDOS PERDIDOS」 1995


「MUJER LUNA」  2002
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■たおやかトラッドとシンフォの融合
〜アマロック〜

ペインはカタルーニャ地方のバンド。
現在5枚目まで出していてどれもが、素晴らしい作品なのだが、今回あえて載せたのは2ndと最新5th。
アコースティック楽器と女性Voをメインに、バックにはうっすらとキーボードを使った2nd「CANCIONES DE LOS MUNDOS PERDIDOS」は、しっとりとしたやさしいトラッドシンフォで、たおやかなヴァイオリン、オーボエの音色が美しく、うっとりと聴ける。
続く3rd「GIBRA ARA」、4th「TIERRA DE ESPECIAS」から中近東色を取り入れた作風に変化し、5th「月の女/MUJER LUNA」では、キーボードの使用頻度を増したよりプログレ寄りのサウンドになっている。
エスニック風のメロディにシンフォニック/プログレ性を融合させたサウンドは、艶のある声質の女性Voとともに不思議な異国情緒をかもし出す。シンフォトラッドとしても見事な一作である。
トラッドシンフォ度
★★★★★

オススメ度
★★★★


日本
MR.SIRIUS

「DIRGE」  1990
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■日本が世界に誇る一枚
〜ミスターシリウス〜

日本シンフォニックのひとつの到達点。
あふれんばかりの躍動感とダイナミズム、そしてヨーロッパを思わせるような叙情。日本のプログレバンドに偏見をもった人でも、おそらくこれを聴けば黙ることだろう。声楽を基本に持つ大木理紗の伸びやかな歌声も含めて、すべてに突き抜けた一作。プログレ、シンフォというのみでなく、この作品は日本ロックの誇りである。
ダイナミック度
★★★★★

オススメ度
★★★★★
GERARD

「MERIDIAN」  1998
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■トリオになっての傑作リメイク集
〜ジェラルド〜

NOVELAオリジナルメンバーとして、平山照継(テルズ・シンフォニア)とともに現役で日本プログレシーンを牽引する氷川敏郎。
トリオとなって以降バンドはヘヴィさを増したサウンドに変化していたが、このアルバムはかつての初期の名曲群をリメイクしたものとなっていて、シンフォニックとしても非常に出来が良い。きらきらとしたキーボードに耳になじむメロディ。これを聴けばGERARDというバンドの偉大さをあらためてうかがい知れる。
メロディアス度
★★★★

オススメ度
★★★★
MARGE LITCH

「FANTASIEN」 1998
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■マンガチック・シンフォメタル日本産
〜マージュリッチ〜

NOVELAをより大仰にして、物語性を持たせたようなこのバンドのサウンドはシンフォメタルファンなどにもアピールするものをもっている。
自主制作の1stをリメイクしたこのアルバムは、通算4作目のアルバム。マンガちっくな少々恥ずかしい歌詞を受け入れれば、あとは怒濤のテクニカル&ロマンティックな大仰シンフォニックが堪能できる。
大仰度
★★★★★

オススメ度
★★★
MOTOI SAKURABA

「BEYOND THE BEYOND」
1996


「STAR OCEAN 3
TILL THE END OF TIME ARRANGE ALBUM」 2003
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■恐るべきゲームサントラのクオリティ
〜桜庭統〜

ゲームCDコーナーに置いてあるCDが、これほどドプログレであるのをご存じだろうか。
DEJA-VUというプログレバンドのキーボーディスト、桜庭統は難波弘之同様早くからゲーム音楽に携わっていたが、「ビヨンド・ザ・ビヨンド」という作品のアレンジアルバムでついに一線を超える。
ここにあるのは生ドラムに変拍子、そして壮大華麗に進行してゆく、まぎれもないキーボードシンフォニックであり、世界レベルのシンフォCD特集に載せるだけのクオリティを有したものである。
桜庭統はその後も「シャイニングシリーズ」「ヴァルキュリープロファイル」等のアレンジサントラを発表。
現時点での最新作「スターオーシャン3」のアレンジアルバムでは、ELPばりの弾きまくりとスペイシーなアレンジでディスコグラフィー中最高のプログレ度である。また同タイトルのライブ演奏もこなすなど、今後とも目が離せない。
総評としてはゲーム関連作ということで、メロディの勇壮さ、ドラマ性に富んだ曲展開という明らかな利点があり、プログレファン、ゲームファンの双方にアピールするという点ではこれは商業的にも失敗のない新ジャンルであろう。
シンフォニック度
★★★★★

オススメ度
★★★★★

■CDレビューも合わせてご覧ください。

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