再評価すべき90年代プログレ/シンフォニックロック特集



プログレッシブロックは黄金時代というべき70年代へて、80年代の産業ロック全盛の時代には消えてゆくかに思われたが、
ポップなプログレハードやポンプロックといった時代に合わせたバンドを生み出しながら、なんとか生き延び続けた。
そして90年代に入ると、新たなムーブメント…ネオプログレやシンフォニックロックの萌芽が生まれる。
イギリスではペンドラゴンやアリーナを中心とした、新たなシンフォニックロックの波が少しずつ広まり、
フランスではミニマム・ヴァイタルやティアンコが、少し遅れてイタリアではフィニステッレといったバンドが登場。
一方の北欧では、アングラガルド、アネクドテン、そしてロイネ・ストルト率いるフラワー・キングスが産声をあげ、
ヨーロッパのネオ・プログレシーンをけん引してゆくこととなる。アメリカではエコリンやスポックス・ビアードといった、
センス抜群のバンドがしだいに認知度を高め、東欧ではアフター・クライングという本格派バンドが巨大化してゆく。
表層のメディアに登場しないというだけで、90年代のプログレ/シンフォニックシーンは、こうして密かに隆盛を極めていたのである。
現在にいたるプログレ/シンフォニックロックの多くは、それら90年代のバンドたちが作った流れの上にあると言ってもよいだろう。
ここではあらためて、90年代のプログレ/シンフォ系バンドの傑作を再評価するべくまとめて紹介してみたい。

                                 2014.10.15 緑川 とうせい



◆イギリスの90年代

MARILLION「Brave」
イギリスのメロディアスロックバンド、マリリオンの7th。1994年作
前作「Holidays in Eden」でのポップな路線から一転、本作は壮大なコンセプト作となった。
うっすらとしたシンセワークに、メロウなギタートーン、そしてスティーブ・ホガースのもの悲しくも優しい歌声で聴かせる、
しっとりとした叙情サウンドは、プログレというよりは、今で言う薄暗系ロックの先駆けでもあり、
たとえば、同時期のDREAM THEATERにおけるテクニカルなドラマ性とは対照的な構築の仕方である。
おそらくは後のARENAPORCUPINE TREE、さらにはANATHEMAなどにも大きな影響を与えたであろう、
このモダン志向の繊細な叙情ロックスタイルは、ひとつの金字塔というべきあらたなジャンルの幕開けである。
しっとりメロウ度・・9 プログレ度・・7 薄暗叙情度・・9 総合・・8
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MARILLION「afraid of sunlight」
マリリオンの8th。1995年作
シリアス系のコンセプト作として成功を収めた「BRAVE」に続くこのアルバムは、
前作のダークな部分を残しながらも、楽曲的には分かりやすさを増した作風となっている。
「BRAVE」で身につけた「静寂と自然体の中の叙情」「コンセプト的なつながりのあるアルバム構成」
という新たなオリジナリティを遺憾なく発揮し、等身大のバンドの姿をさらしたサウンドといってもよいだろう。
聴く側も肩の力を入れずに、ゆったりとこの深遠な楽曲に身を任せられる、そんな音楽である。
それにしても、しっとりとしたバラード曲でのステイーブ・ホガースの歌唱は以前にも増して胸を打つ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・6 深遠度・・8 総合・・8
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PENDRAGON「The World」
イギリスのシンフォニックロックバンド、ペンドラゴンの3rd。1991年作
1983年にデビュー、当時はMARILLION、IQなどと並び、80年代英国ポンプロックのムーブを形成、
初期のサウンドは、まだ個性的とは言い難い良くも悪くもポンプの王道というサウンドであったが、
3作目となる本作ではその独自のロマンティシズムあふれる世界観が開花、爽快なメロディの流れと共に、
繊細さとダイナミズムのメリハリができて、バンドとして一皮むけたというような快作となっている。
とくに、ニックバレットのギターワークの泣きの叙情は、楽曲における感動的な盛り上がりを作り出していて
かつてのGENESISをアップデートしたような美しさである。90年代シンフォニックロックのひとつの原点といえる作品だろう。
メロディック度・・8 ドラマティック度・・8 幻想とロマン度・・9 総合・・8.5
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PENDRAGON「Masquerade Overture」
ペンドラゴンの5th。1996年作
ロマンの香りに満ちたジャケットアートと、「仮面舞踏への序曲」という幻想的なタイトルにも胸踊るが、
厳かな混声合唱の入ったイントロから、ゆるやかに楽曲が始まると、壮大なスケール感に叙情の加わった
シンフォニックロックが炸裂。ニック・パレットの流麗なギターメロディと、クライブ・ノーランの美しいシンセワーク、
繊細さとダイナミズムが交差しながら、盛り上がりでの泣きの情感、そのメロウな感触は尋常ではない。
ロマンと幻想の美に彩られた、まさに90年代を代表するシンフォニックロック作品の一枚である。
シンフォニック度・・9 繊細度・・9 幻想とロマン度・・10 総合・・9
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GALAHAD 「In a Moment of Complete Madness」
イギリスのシンフォニックロックバンド、ギャラハドの1993年作
PENDRAGONやPALLASなどに続く、ポンプロックルーツのネオプログレバンドの2作目。
美しいシンセアレンジに、適度にハードなギターとマイルドなヴォーカルで聴かせる、
いかにもGENESISルーツのサウンドだ。全体的にスリリングな展開というものはあまりないが、
キャッチーな爽やかさが前に出ていて、とても耳心地はよい。爽快な感触は、CASTANARCあたりにも近いか。
ペンドラゴンなどのメロディアスさが好きな方ならこちらも充分楽しめるだろう。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 ポンプ度・・8 総合・・7.5
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ARENA「SONGS FROM LION'S CAGE」
イギリスのシンフォニックロックバンド、アリーナの1st。1995年作
PENDRAGONやLANDMARQをはじめ、多くのバンドに関わっていたクライブ・ノーランのメインバンド、
本作は「BRAVE」以降のMARILLIONにも通じる、重たくシリアスな音とメタリックなギターサウンドと、
曲の半ばでは必ず訪れるメロディックかつシンフォニックな切り返しが絶品の傑作。
こうした爽快感ではこの1stがもっともアレンジ的にも効果的で、個人的にも気に入っている作品だ。
クライブ・ノーランのメロディと作曲における才能を物語るような1枚だろう。
シンフォニック度・・8 メロディアス度・・8 意外にメタル度・・8 総合・・8
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STRANGERS ON A TRAINThe Key PartU:The Labyrinth
イギリスのシンフォニックバンド、ストレンジャース・オン・ア・トレインの2nd。1993年作
PENDRAGONARENAでも活躍するクライブ・ノーランのプロジェクト、
Voはポンプロック好きならもはや有名なトレーシー・ヒッチング(現LANDMARQ)。
ややかすれ気味のトレーシーのキュートなヴォーカルをメインに、華麗なキーボード群と、
メロディアスで甘美なギターメロが合わさり、ゆるやかなシンフォニック組曲をかなでます。
ペンドラゴンに比べるとややシリアスで格調高く、女性Voの情感溢れる歌が胸に響きます。
ポンプ系人脈で作られたシンフォとしては90年代屈指の一枚である。
シンフォニック度・・8 ドラマティック度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8.5
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CASINO
イギリスのシンフォニックユニット、カジノの1994年作
PENDRAGONARENAでおなじみClive NolanとTwelfth Nightのメンバーらによるプロジェクトバンドで、
タイトル通りカジノを舞台にしたコンセプト作。きらびやかなシンセを中心に、キャッチーなメロディで
プログレハード風に聴かせつつときにアダルトな雰囲気を漂わせた大人のメロディックロック作というおもむき。
ストーリー的な流れでシンフォニックに展開する大曲はとくに素晴らしい。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 総合・・8
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IQ「SUBTERRANEA」
英国ポンプロックバンドの代表格、アイキューの6th。1997年作
新生IQとしては前作「EVER」に続く2枚目となるアルバムで、初期のGENESISタイプのポンプロックから一転、
CD2枚組のコンセプト大作となった。4枚目あたりまでのキャッチーさにくらべると、ぐっとシリアスな感触を増した
雄大なシンフォニックロックサウンドとなっていて、部分的にはやや長尺に感じるところもなきにしもあらずなのだか、
全体としてはかなりの力作で、盛り上がりの場面ではPENDRAGONばりのダイナミックな叙情性を体現している。
新たなシンフォニックロックのムーブに対して、ベテランバンドの意地を見せつけるような作品だ。
シンフォニック度・・8 ドラマティック度・・8 壮大度・・8 総合・・8
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LANDMARQ「SIENCE OF COINCIDENCE」
イギリスのシンフォニックロックバンド、ランドマークの1998年作
かつて日本のZEROレーベルから3枚目までが出ていたので、名前を知っている方もいると思うが、
4作目となる本作からは、QUASAR、STRANGERS ON A TRAINで歌っていた、トレイシー・ヒッチングが加わり、
女性ヴォーカルフロントのバンドとなって音ががらりと変わった。曲はよりメロディックになり、生き生きと躍動し、
ロックとしてもシンフォとしても格段に聴きやすくなっている。トレイシーのハスキーな歌声はじつに好みであるので、
むしろ本作こそがバンドの最高傑作となったと言いたい。影でバンドを支えるクライブ・ノーランのプロデュース力も見逃せない。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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PALLAS「BEAT THE DRUM」
英国シンフォニック・ハードの雄、パラスの1998年作
1984年〜86年に2作のアルバムを残し、いったん活動を休止していたバンドが、
10年以上のときをへて復活。サウンドの方はかつてよりさらにドラマティックになり、
シンフォニックなシンセとメロウなギターが絡み、マイルドなヴォーカルの歌声とともに、
ダイナミックなハードシンフォニックサウンドを聴かせてくれる。
かつてのポンプロック的なキャッチーさよりもシリアスな重厚さが前に出ていて、
90年代以降の本格派シンフォニックロックへとシフトされたというべき傑作となった。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 壮大度・・8 総合・・8
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CLIVE NORAN & OLIVER WAKEMAN「Jabberwocky」
クライブ・ノーラン(ARENA、PENDRAGON)、オリバー・ウェイクマンによるユニット作。1999年作
「鏡の国のアリス」に出てくる怪物、「ジャバーウォック」をテーマにしたコンセプト作で、
ヴォーカルにはボブ・カトレイ(MAGNUM)、トレイシー・ヒッチングス(LANDMARQ)らが参加。
PENDRAGONのピーター・ギー、やSHADOWLANDのイアン・サーモン、元YESのピーター・バンクス、
リック・ウェイクマンとともに活動するドラマー、トニー・フェルナンデスなども加わっている。
リックの息子であるオリバー・ウェイクマンは、さすがに親譲りのクラシカルなプレイを聴かせ、
ベテランのクライブとともに、これぞ英国シンフォニックというサウンドを構築している。
ボブ・カトレイとトレイシー・ヒッチングスの男女ヴォーカルもストーリーによくマッチしていて、
ゆるやかに盛り上がる楽曲とともに、ジャケ通りのファンタジックなイメージで壮麗に聴かせてくれる。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 ファンタジック度・・9 総合・・8
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JADIS「MORE THAN MEETS THE EYE」
英国シンフォニックロックバンド、ジャディスの1992年作
ゲイリー・チャンドラーのメロウなギターワークを前面に押し出した聴きやすいシンフォニックロックサウンドが持ち味で、
メロディの充実度としてはこの1stの楽曲が一番良かったかもしれない。きらきらとしたキーボードワークも
サウンドに爽やな印象を与えていてシンフォニックな部分ではPENDRAGONなどを、
ゆるやかなメロディにはCAMELあたりを思わせるところもある。重厚さや奥行きはあまりないが
非常に耳に心地よく、軽やかなメロディアス/シンフォニックロック作品として再評価に足る内容である。
かつてはZEROコーポから日本盤が出ていたが、現在は、リマスター&デモ音源を加えた2枚組仕様で再発されている。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 爽やか度・・9 総合・・8
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Solstice
「New Life-the definitive edition」
イギリスのシンフォニックロックバンド、ソルスティスの2nd。1993年作
艶やかなヴァイオリンの音色と、女性ヴォーカルの歌声を中心にした牧歌的で優雅なシンフォニックロックサウンド。
彼らの3枚のアルバムは、どれもヴォーカルが代わっているが、本作のハイジ嬢の声質が、幻想的な楽曲と一番似合っていると思う。
いかにも英国的なフォーキーな質感をシンフォニックに表現したサウンドはポンプ以後のシンフォ勢とは一線を画すものだ。
1993年作のリマスターに、1984〜1985年のデモや貴重なライブ音源などを収録したボーナスDisc付きの2CDで再発されている。
シンフォニック度・・8 優雅度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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◆フランスの90年代

MINIMUM VITAL「Ssrabandes」
フランスのプログレバンド、ミニマム・ヴァイタルの1990年作
メロディックなギターの旋律に、美しいシンセによる味付けにフルートの音色が加わり、
より洗練された叙情的なインストプログレを聴かせる傑作。のちの作風へとつながる
アコースティカルな優雅さも随所に垣間見せるなど、演奏力の高さも光っていて、
いわば80年代のからのポンプ勢とは一線を画す、クールな構築センスを持っている。
本作を持って、TIEMKOと並び、90年代フランスのネオプログレを代表するバンドとなった。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 スタイリッシュ度・・9 総合・・8
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MINIMUM VITAL「La Source」
ミニマム・ヴァイタルの1993年作
前作でのクールな構築センスをさらにスタイリッシュにして、軽やかなアンサンブルが前に出たというサウンドで、
シンフォニック・フュージョンというような優雅なサウンドになってきている。随所にしっかりとプログレ的なシンセも入りつつ
男女ヴォーカルの歌声がお洒落な軽妙さを付加していて、ポップな味わいの中に知的な美意識を覗かせる。
たとえば、Mike Oldfieldのように繊細な優雅さを巧みなアレンジ力でキャッチーに仕上げたというべきスタイルで、
90年代のモダンプログレのひとつの形を提示するかのようだ。現在聴いても古さを感じさせない傑作といえる。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 スタイリッシュ度・・9 総合・・8
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TIEMKO「PARADE」
フランスのプログレバンド、ティアンコの1992年作
ややとっつきが悪かった前作に比べて、変作はいくぶんメロディアスな聴き心地になった。
とはいっても、変拍子まくりのクリムゾン的な屈折感と、先の読めないミステリアスな展開は
このバンドの知的なアレンジセンスを感じさせ、ギターとシンセが対位法的に絡んだりと
チェンバーロック的でもあるクールなサウンドがじつに見事。シンセのきらびやかなアレンジが、
偏屈な作風に優雅な聴き心地をもたらしていて、ヘンテコなシンフォ系としても楽しめる。
とぼけた味わいはペッカのようで、奇妙な屈折感はイエッダ・ウルファを思わせる。傑作です。
メロディック度・・7 プログレ度・・9 アレンジセンス・・9 総合・・8.5
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TIEMKO「Clone」
ティアンコの4th。1995年作
本作も3人編成による巧みなヒネくれ系のプログレサウンドを聴かせてくれる。
シンフォニックといってもいいシンセワークを中心に、どこかミステリアスな雰囲気で
あるいはチェンバーロック的なミニマムな音空間を作り上げてゆくセンスはさすが。
この大仰さのないすっとぼけた感じがいかにもフランス的であり、リズムとシンセの重ねに
デジタルがかったアレンジを取り入れるなど、プログレというにはお洒落ですらある。
ラストの大曲のどこか得体のしれない壮大さは、後のTAALなどにもつながるものがある。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・8 フランス度・・9 総合・・8
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ECLAT 「II」
フランスのプログレバンド、エクラの1992年作
Minimum VitalTiemkoなどとともに、90年代初頭のフランスのネオプログレシーンを盛り上げたバンド。
繊細なシンセアレンジに、フュージョン的でもある軽妙なアンサンブル、フランス語のヴォーカルを乗せた、
スタイリッシュなシンフォニックロックで、前に出すぎないメロディックなギターワークも含めて、
耳心地のよいサウンドを描いている。3〜5分前後の楽曲を主体に、大仰になりすぎないコンパクトなセンスというのは
このバンドの特徴だろう。優雅なシンフォプロクレが好きな方にはたまらない逸品だ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・8
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Halloween「Merlin」
フランスのプログレバンド、ハロウィーンの1994年作
90年代フランスのシンフォニックロックシーンを代表するバンド。
本作はタイトル通りアーサー王伝説に登場する魔術師マーリンをコンセプトにしたアルバム。
ヴァイオリンが鳴り響くクラシカルな質感と、フランスらしいどこかとぼけたシアトリカルなサウンドで、
フランス語による女性ヴォーカルの歌声も、どこかミステリアスで、ほの暗い叙情と不思議な緊張感が漂う。
MINIMUM VITALTIEMKOなど、90年代フランスには質の高いシンフォ系プログレバンドが多かった。
シンフォニック度・・7 シアトリカル度・・8 フランス度・・8 総合・・8
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ARRAKEEN「MOSAIQUE」
フランスのシンフォニックバンド、アラキーンの2nd。1992年作
清涼感のある
女性ヴォーカルの歌声が実に美しいシンフォニックロック作。
メロウなフレーズを奏でるギターは、Prog Metalファンには名の知れたシリル・エイチャード
ギターの音色にはメタル色もあるのでプログレハードとしても案外楽しめます。
それにしても、この女性Voはとても私好みの声質で、透明感のある綺麗な歌声にうっとりです。
美しいフランス語の響きに、メタリックなギターフレーズが印象的な、90年代フランス屈指の傑作。
シンフォニック度・・8 けっこうメタリック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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ATRIA 「Boulevard of Broken Dreams」
フランスのプログレバンド、アトリアの1992年作
きらびやかなシンセワークにメロディックなギターとハイトーンのヴォーカルを乗せて、
PALLASあたりにも通じるキャッチーで爽快なプログレハードサウンドを聴かせる。
90年代のシンフォニックロックバンドらしいロマンティシズムとポンプロックルーツのメロディアス性で
8分、9分という大曲をじっくりと構築する。フランスというよりは英国のバンドに近い雰囲気で、
泣きの叙情美とダイナミックな展開力も含めて、正統派のシンフォプログレとしてはクオリティも高い部類だろう。
シアトリカルでドラマティックな幻想性も魅力で、濃密でありながら抜けの良いサウンドが楽しめる力作だ。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 正統派シンフォ度・・8 総合・・8
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IRIS 「Crossing the Desert」
フランスのシンフォニックロック、イリスの1996年作
元ARRAKEENのギタリストとMarillionのピート・トレワヴァス、イワン・モズレーによるバンド。
ハケットばりのメロウなギターワークを中心に聞かせるインストによるシンフォニックロック。
うるさすぎないシンセアレンジとともに、躍動するリズム隊がハードなアンサンブルを描いてゆく。
一方では、随所に繊細な叙情も含んでいて、適度にモダンなアレンジで楽しめる好作品だ。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 泣きのギター度・・9 総合・・8
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Raison de Plus「Au Bout du Couloir」
フランスのシンフォニックロックバンド、レイソン・デ・プラの1st。1995年作
このありえないほどのB級っぽいジャケからは想像もつかないが、
これはリリカルなメロディ満載のシンフォニックの好作である。いやホントに(笑)
いかにも派手やかなシンセワークに、技術的にはいま一つながらクサメロを奏でるギター、
たおやかなフルートに、ヘナチョコながらときにシアトリカルに歌うフランス語のヴォーカル。
楽曲はマイナー臭さを残しつつ、ドラマテイックに華麗に盛り上がったりします。
総じて弱いんですが…好きなんです。これぞ王道フレンチシンフォという好作。
シンフォニック度・・8 フレンチ度・・9 B級度・・8 総合・・7.5
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VERSAILLES 「Le tresor de Valliesres」
フランスのプログレバンド、ヴェルサイユの1996年作
いうなればANGEをよりGENESIS寄りにしたようなサウンドで、シアトリカルなフランス語のヴォーカルと
いかにもプログレ的なシンセワークに泣きのギターを配した、90年代的なシンフォニックロック。
軽めのドラムサウンドはいかにもB級プログレ風なのだが、いかがわしいジャケとともに、妖しげな幻想性と
狂気めいた芸術性を含んだような世界観は、なんというか、じつにヨーロッパらしいテイストなのである。
12分、13分、20分という大曲も含めて、濃密な味わいのケバい演劇を鑑賞するように楽しめる。これぞフレンチ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 フレンチ度・・9 総合・・7.5
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]U ALFONSO(DOUZE ALFONSO)「THE LOST FRONTIER」
フランスのシンフォニックロックバンド、ドゥーゾ・アルフォンソの1st。1996年作
クラシカルなピアノの音色が響き、時にシンフォニックに盛り上がり、時に静謐なシンセアレンジが美しい。
雄大なオーケストレーションを用いながらも、フルートやアコーディオン等の素朴な音色も上手く取り入れた、
じつにセンスのよいサウンドだ。インスト中心ながら、数曲あるしっとりとした女性ヴォーカル曲も美しい。
自然と人間、そして世界とを、音に感じられる「自然派タイプ」のシンフォニック作品である。
シンフォニック度・・8 ロック度・・6 雄大度・・9 総合・・8
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Priam「3 Distances/Irregular Signs」
フランスのプログレバンド、プリアムの1st。1997年作
ギター、シンセ、ベース、ドラムの4人組で、清涼感のあるシンフォニックなフュージョン/ジャズロックをやっている。
オールインストながらギターの奏でるメロディや美しいシンセのおかげで耳触りがよく、テクニカルであっても案外聴きやすい。
そういう点ではかつてのKENSOあたりに通じるセンスもあり、モダンなプログレ感覚を嫌味なくさらりと聴かせられる演奏力も見事だ。
中盤の26分の組曲は、繊細なシンフォニックロック風のパートから、ギターを中心にテクニカルに展開してゆき、見事な構築センスで聴かせてくれる。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・8 構築センス度・・8 総合・・8
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Drama

フランスのプログレバンド、ドラマの1996年作
美麗なシンセワークにメロディックなギターを乗せた、インストによるシンフォニックロック。
軽快なアンサンブルとメロウなギターフレーズは、初期のMinimum Vitalにも通じる感触で、
90年代らしいおおらかな叙情に包まれている。オールインストながら、きらびやかなシンセと
メロディセンスの良いギターワークに、リズムチェンジを含む起伏に富んだ構築力で、わりと飽きずに楽しめる。
ラストは10分を超える大曲で、ロマンあふれる美意識がシンフォニックな泣き叙情となってウットリとなる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 繊細度・・8 総合・・7.5
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◆イタリアの90年代

EZRA WINSTON「ANCIENT AFTERNOOMS」
イタリアのプログレバンド、エズラ・ウインストンの1990年作
1990年という非常な微妙な時期に1枚のアルバムを残して消えたバンド。しかし本作のクオリティたるやハンパではない。
このバンドのサウンドはPFM的なイタリアの叙情を南米シンフォにも通じる熱情で再現したものといっていい。
吹き鳴らされるフルート、躍動するリズムに乗る美しいシンセとメロディアスなギター、
インストパートでのダイナミズムとイタリア語の歌声で聴かせる叙情溢れる要素が合わさり、
70年代のイタリアンロックを理想的な形で昇華させたというべきサウンド。素晴らしい傑作である。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・8 総合・・9
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ERIS PLUVIA「Rings of Earthly Lights」
イタリアのシンフォニックロックバンド、エリス・プルーヴァの1991年作
指輪物語をコンセプトにした繊細な作品で、美しいフルートの音色にサックスが合わさり
メロウなギターに、しっとりとしたピアノ、シンセなどでゆったりと聴かせるサウンドは、まさに夢見心地。
美しいジャケのセンスも素晴らしいが、優しい音作りでこれだけ世界観を表現できるというのもまた素晴らしい。
GANDALFなどを思わせる自然派のヒーリング感覚と、アコースティカルな美意識にもうっとりだ。
やわらかシンフォ度・・9 繊細度・・9 イタリア度・・7 総合・・8
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Fancyfluid
「King's Journey」
イタリアのプログレバンド、ファンシィフライドの1992年作
うっすらとしたシンセにアコースティックな要素も含んだ、繊細なやわらかさに包まれたサウンド。
ヴォーカルは英語なのでイタリア的な濃密さはあまり感じさせず、ERIS PLUVIAあたりに通じる
優しい聴き心地がなかなか魅力的。Genesisルーツのメロウなギターワークもセンスがよく、
ゲストによるサックスやフルート、ホイッスルなども楽曲を美しく彩っている。
派手さはないが、90年代のおおらかな時代を感じさせる叙情派シンフォの好作品である。
メロディック度・・8 繊細度・・9 イタリア度・・7 総合・・7.5
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MONTEFELTORO「Il Tempo Di Far La Fantasia」
イタリアのシンフォニックプログレバンド、モンテフェルトロの1992年作
まずはこの美しいジャケに心惹かれるが、内容もイメージ通りの繊細なシンフォ作。
のっけから22分の組曲で始まるが、まったく押しつけがましいところがなく
ゆるやかなシンセを中心に、初期GENESISを思わせる幻想性でしっとりと聴かせる。
これだという盛り上がりを期待するのではなく、この夢見心地の世界観に
うっとりと浸れる方にお勧め。ヴォーカルの存在感の薄さもむしろよいのではないか。
シンフォニック度・・8 ドラマティック度・・7 夢見度・・9 総合・・7.5
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Nuova Era「Il Passo Del Soldato
イタリアのプログレバンド、ヌオヴァ・エラの1994年作
鳴り響くオルガンにメロトロン、ムーグシンセに、イタリア語による歌声で聴かせる
70年代懐古スタイルのシンフォニックプログレ。いくぶん唐突な曲展開なども含めて
いかにもイタリアらしい濃密な聴き心地で、思わずにやにや。この手が好きな方にはたまらないだろう。
のちのLa Torre Dell' Alchimistaなどにつながるような、コテコテの感じがじつにステキですな。
90年代のネオプログレブームに乗って活気を取り戻したイタリアのシーンを象徴するような作品。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・7.5
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Calliope 「Il Madrigale Del Venta」
イタリアのプログレバンド、カリオペの1995年作
Il Castello Di Atlanteなどとともに、VINYL MAGICレーベルの90年代イタリアネオプログレの旗手であった。
2ndまではコテコテの濃密なB級シンフォだったのだが、本作では美しいシンセワークを中心に
軽やかに聴かせるメロディックな質感と、やわらかな女性ヴォーカルの歌声が合わさって
なかなか爽やかな聴き心地である。もちろんジャケのように“ひなびたB級風味”も
そこはかとなく漂わせているが、そのユルさがむしろ心地よい。繊細な美しさの好作です。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 イタリア度・・8 総合・・7.5
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IL CASTELLO DI ATLANTE「L'Ippogrifo」
イタリアのシンフォニックロックバンド、イル・カステッロ・ディ・アトランテの2nd。1996年作
1992年に「Sono Io Il Signore Delle Terre A Nord」(我こそは北の大地を支配するものなり)という大仰なタイトルでデビュー、
CalliopeやSYNDONEなどとともにイタリアのネオプログレシーンを牽引する存在となった。
ヴァイオリン奏者を含む編成で、古き良きプログレらしいシンセワーク、イタリア語のヴォーカルとともに
やわらかな叙情を描いてゆくサウンドは大時代的なロマンに溢れていて、ゆったりとした聴き心地で楽しめる。
スリリングなダイナミズムは希薄ながら、ある種の微笑ましい美意識に包まれた好作である。
メロディアス度・・8 叙情度・・8 イタリア度・・8 総合・・7.5
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Barrock 「oxian」
イタリアのシンフォニックバンド、バッロックの2nd。1994年作
確か1stは「錬金術師」というタイトルで日本盤が出ていたが、今作はジャケがぐっとファンタジックになっていたので、
ほぼジャケ買いですわ。クラシカルなシンセワークにフルートが絡むイントロからしてなにやら引き込まれる。
イタリア語の女性ヴォーカルも加わってオペラティックに歌いあげ、ストーリー的に世界観を構築してゆく。
録音、演奏のレベルはアマチュアに毛が生えた程度だが、ファンタジックな世界観とクサいメロディ
そしてマイナーなシンフォニック特有の純粋な音楽への愛情が感じられるのがよろしい。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 イタリア度・・8 総合・・7.5

Il Trono dei Ricordi
イタリアのプログレバンド、トロノ・デイ・リコルディの1994年作
きらびやかなシンセに英語歌詞のヴォーカルを乗せた、正統派のシンフォニックプログレ。
オルガンやムーグシンセなどの古き良きプログレ感触を、90年代のスタイリッシュなセンスで構築し、
GENESISをルーツにした幻想的な味わいを、イタリアらしい濃密さで味付けしたという聴き心地である。
1曲目から20分におよぶ大曲というのも、バンドとしての自信の表れなのだろう。起伏に富んだ展開力と
確かな演奏力が備わっていてB級っぽさはほとんどない。90年代ネオプログレの遺産というべき力作だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 構築度・・8 総合・・8
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FINISTERRE
イタリアのプログレバンド、フィニステッレの1st。1994年作
90年代以降に現れたイタリアのネオプログレシーンの中でも重要なバンドの1つである。
たおやかなピアノの音色に、メロウなギターのトーン、そしてリリカルなフルートが舞い、イタリアらしい叙情を聴かせる。
いかにも70年代リバイバル的なキーボードとともに古典的シンフォニックロック復活を告げるようなサウンドだ。
モダンな要素はほとんどなく、曲もアレンジもどことなく古くさいが、このもんやりとした感触が好きな人にはたまらない。
メンバーのファビオ・ズッファンティとステファノ・マレリはHOSTSONATENなどでも活動しており、
イタリアの叙情シンフォニックロックを支える人脈たちと言ってもよいだろう。その原点というべき好作品。
メロディアス度・・8 イタリア度・・8 レトロ度・・9 総合・・8
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FINISTERRE PROJECT「HOSTSONATEN」
イタリアのシンフォニックロックバンド、フィニステッレ・プロジェクトの1996年作
FINISTERREの方はモダンな軽妙さもあったサウンドだが、本作はジャケットのギュスターブ・モローの絵画が示す通り、
ヨーロピアンなほの暗い情緒をかもしだすしっとり系のシンフォニックロックとなった。たおやかなフルート、ピアノ、
そしてメロトロンなどのレトロな感触はメロウなギターフレーズとも相まって、耳にしっとりとやさしく響く。
ただ古めかしいだけでなく、メロデイそのものに魅力があるので、41分の組曲を含め、幻想的な叙情美を満喫できる。
のちのHOSTSONATENへとつながる重要な作品である。
シンフォニック度・・8 テクニカル度・・3 たおやか情緒度・・9 総合・・8
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HOSTSONATEN「MIRRORGAMES」
イタリアのシンフォニックロックバンド、ホストソナテンの1st。1998年作
前身のFINISTERRE PROJECT同様、、今どき珍しいくらいの大時代的古典派ロマンサウンドが炸裂する。
しかしそれが非常に出来が良いときている。フルート、サックス、メロトロン、ハモンドなどの古めかしい楽器を優雅に弾き鳴らし
ゆるやかに盛り上ってゆく長大な楽曲は、ほのかな薄暗さをも感じさせつつ魅力充分。
たおやかでメロディアスでシンフォニック。耳にやさしくしっとりと。夢うつつに聴きましょう。
フルートで眠りましょう。メロトロンで泣きましょう。2010年の再発盤ではジャケが変更されている。
シンフォニック度・・9 イタリア度・・8 たおやか情緒度・・10 総合・・8.5
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STANDARTE「Curses and Invocations」
イタリアのプログレバンド、スタンダルテの2nd。1996年作
1stの時点から、70年代ブリティッシュロックへのオマージュ的なことをやっていたバンドだが、
今作ではギターをほぼ使わず、その分メロトロンの使用頻度が上がったことで
シンフォニックな質感が増した。相変わらずやりすぎなほどにレトロさにこだわったサウンドは、
鳴り響くハモンドオルガンとメロトロン、ハープシコードまで加わって、その説得力を増している。
イタリアのバンドにしては珍しく、わざわざ英語で歌っているのもこだわりなのだろうが、
それでも音にはどことなくイタリア臭さが残っているのがむしろ微笑ましい。
シンフォニック度・・8 70'sレトロ度・・9 イタリア度・・8 総合・・8
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H2O
「UNOPUNTOSEI」
イタリアのシンフォニックロックバンド、H2Oの1st。1997年作
先に2nd「due」を聴いていたのだが、この1stの方は1曲目からたたみかけるキーボードと
ハケット風のギターが重なり、これだけでもうシンフォ好きの耳を奪に充分の心地よいサウンド。
広がりのあるキーボードがなにより素晴らしく、時折BANCOあたりの70年代テイストを感じさせるが、
決して古くさくはならず懐古主義でもない、いわばまさに現代形のシンフォ音像である。
2ndは英語だったがここでははまだイタリア語で歌っていて、よりイタリアンロック的に聴こえる。
あまり知名度はないようだが、クオリティとしては間違いなく新世代シンフォの代表作品。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 イタリア・・8 総合・・8

CAP (Consorzio Acqua Potabile)
「ROBIN DELLE STELLE」
イタリアのシンフォニックロックバンド、CAPこと、コンソルジオ・アクア・ポタビレの2nd。1998年作
今作もロマンあふれるジャケのイメージ通り、古き良きイタリアン・シンフォの感触を甦らせたという作風で、
オルガンやムーグシンセが鳴り響き、マイルドなイタリア語のヴォーカルやフルートの音色とともに、
やわらかな叙情を描き出す。10分を超える大曲を中心に、濃密かつメリハリのある構成で、
ときに女性コーラスが加わったり、随所に聴かせる泣きのギターフレーズもいい感じだ。
やや長尺ながら、ドラマティックでロマンの香りに満ちたイタリアン・シンフォが聴きたい方にはオススメだ。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・8 総合・・7.5
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◆ドイツ、オランダの90年代

EVERONParadoxes」
ドイツのプログレハードバンド、エヴェロンの1st。1993年作
きらきらとしたシンセワークにメロディアスなギター、キャッチーなヴォーカルで聴かせる
耳心地のよいシンフォニック・プログレサウンド。楽曲に難解さはまったくなく
いうなれはせ、カナダのSAGAをさらにまろやかに、メロウにしたという印象。
アルバムを重ねるごとにハードな重厚さを増してゆくが、キャッチーなプログレハードとしては本作が最高だ。
メロディアス度・・9 キャッチー度・・8 プログレ度・・7 総合・・8
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EVERONFlood」
エヴェロンの2nd。1995年作
美麗なイントロから、哀愁を帯びた歌メロが始まり、ゆるやかに美しい展開美で聴かせる。
楽曲は前作以上にダイナミズムが増し、本格派のシンフォニックプログレとなった。
曲は5、6分台がメインで難解さはなく、キャッチーさとハードさのバランスも見事。
アメリカのMagellanなどと同じように、高品質シンフォニックハードのお手本のような一枚だ。
メロディアス度・・8 キャッチー度・・8 プログレ度・・7 総合・・8
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Last Turion
「Seduction Overdose」
ドイツのプログレバンド、ラスト・トゥリオンの1996年作
伸びやかな歌声と適度にハードエッジなギター、90年代以降の美麗なシンセアレンジで聴かせる
メロディックで爽快なハードシンフォニックロック。同じドイツではEVERONが先にデビューしているが、
このバンドもキャッチーな抜けの良さとメロウな旋律を併せ持つ、クオリティの高いサウンドである。
歌唱の説得力も含めて確かな演奏力とともに、ダイナミックな雄大さを感じさせる楽曲は、
イギリスでいえば、PENDRAGONやARENAあたりにも引けをとらないだろう。一方では随所にやわらかで
繊細な叙情を覗かせるアレンジセンスもなかなか見事。ハードさとメロウな叙情のバランスのとれた好作品だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 壮大度・・8 総合・・8
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Egdon Heath 「Nebula」

オランダのシンフォニックロック、エグドン・ヒースの1996年作
二人のシンセ奏者を含む6人編成で、メロウなギターワークに美麗なシンセアレンジと、
中音域やや高めのヴォーカルを乗せた、ポンプロックルーツのシンフォニックロック。
ツインギターにシンセが重なり、適度に翳りを含んだ叙情性とモダンなキャッチーさは、
ARENA
など英国のハードプログレにも通じる感触もある。8分、10分という大曲を構築する力量も含めて、
90年代の正統派シンフォニックロックの中でも、なかなか高品質な内容だと思う。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 重厚度・・8 総合・・7.5

CODA「WHAT A SYMPHONY」
オランダのシンフォニックロックバンド、コーダの1996年作
80年代に「SOUNDS OF PASSION」というシンフォニックの傑作を作り上げたバンドが、10年後に突如CD2枚組の大作を発表。
メンバーはみな金持ちなのか、機材やメンバーも前作以上にゴージャスで、ソプラノ&アルトヴォーカル、ヴァイオリン、チェロ、
サックス、アコーディオン、マリンバ、その他…という大勢の奏者を集めての大作となっていて聴き応え充分。
シリアスでクラシカルな部分などは、AFTER CRYINGあたりにも通じる部分があるが、
一転、分かりやすいシンフォニック性が現れるとギターの奏でる哀愁ただようクサメロが心地よい。
アカデミックさの中にもキーボードの音などにプログレオヤジ的な愛情が感じられる点がマニア好みか。
インナーには何故か地元の市長のお墨付き推薦文なども添えられている。ともかく壮大な傑作です。
シンフォニック度・・8 クラシカル度・・7 壮大度・・9 総合・・8
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◆北欧の90年代

ANGLAGARD「Hybris」
スウェーデンのプログレバンド、アングラガルドの1st。1992年作
当時、ANEKDOTENに先駆けて現れたこのバンドが、90年代北欧プログレの活性化の一端をになったことは間違いがない。
個人的にも、当時「ザ・シンフォニック組曲」という邦題で店頭に並んでいた本作を聴いたときには、かなりの衝撃を受けたものだ。
クリムゾン的な緊張感に北欧の土着メロディを加え、そこに鳴り響くメロトロン、フルートと好事家にはたまらないサウンドで、
北欧の薄暗い森
を思わせる神秘的な雰囲気も素晴らしい。10分台の曲が3曲もあるという大作志向にもしびれたし、
ANEKDOTENのヘヴィネスに比べるとこちらはずっとトラディショナルで、メロディに素朴な土の香りが感じられるのも魅力的だ。
バンドはこの後2nd「Epiloge」、ライブ盤「Buried ALive」を発表後にいったん解散する。
彼らの残した2枚のアルバムは、これからも北欧プログレの遺産として語り継がれるだろう。
シンフォニック度・・8 メロトロン度・・9 北欧度・・10 総合・・9
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ANGLAGARDEpilog
アングラガルドの2nd。1995年作
90年代の北欧プログレの先駆けとして2枚のアルバムを残したこのバンド。
繊細でメロウな叙情美という点では、1st「Hybris」の方を挙げますが、
クリムゾン的なメロトロンにハモンドが鳴り響くヘヴィプログレとしてはこちらか。
90年代以降のバンドらしいテクニカルな展開力とともに、後のANEKDOTENへと継承される
ヴィンテージな感触の懐古主義的味わいもある。また繊細なフルートの音色など、
静寂パートの美しさは息をのむほどで、本作もやはり名作といえるだけの出来ばえです。
シンフォニック度・・8 メロトロン度・・8 北欧度・・9 総合・・8.5
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ANEKDOTEN 「vemod」
スウェーデンのプログレバンド、アネクドテンの1st。1993年作
のっけからメロトロンの音色で始まり、続いてクリムゾン的なギターの重ねで
レトロな質感とともに、ヘヴィシンフォニックサウンドが始まってゆく。
この薄暗さと、ある種の終末的な雰囲気は、この後のバンドに大きく影響を与え、
懐古主義的な70年代へのオマージュとともに、北欧プログレの叙情性の指針ともなった。
バンドは2nd、3rdと、そのサウンドの密度を高めながら深化してゆき、現在では
もっとゆるやかな叙情美を追求してゆくことになるが、一聴してのインパクトの点では、
本作を最高作と挙げるファンも多いだろう。90年代北欧シーンの原点となる1枚だ。
シンフォニック度・・7 薄暗度・・9 北欧度・・9 総合・・8
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ANEKDOTEN「NUCLEUS」
アネクドテンの2nd。1995年作
1st「VEMOD/暗鬱」はリフの繰り返しの多さも含めて、いくぶん粗削りな作風であったのだが、
この2ndになると、楽曲アレンジが緻密になり、展開にドラマティックな起伏がついてきた。
ほとんどスタジオ一発録りだったという1stに比べて、計算されたダイナミズムにより、
メタルファンにも聴けるヘヴィパートがあるかと思うと一転、北欧的な静寂パートへの切り返しが見事。
そして、ここぞとばかりに盛り上がるメロトロンパートでは、「北欧のクリムゾン」と呼ばれる
面目躍如たる寒々しい叙情が襲いかかってくる。次作と並んでバンドの代表作である。
北欧叙情度・・8 重厚度・・8 メロトロン度・・8 総合・・8.5
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MANTICORE 「Time to Fly」
スウェーデンのプログレバンド、マンティコアの1993年作
AnglagardやAnekdotenといったバンドが登場し、にわかに活気づき始めた北欧の90年代シーンにおいて、
続いて登場したのがこのバンド。いかにもファンタジックなジャケとマニア受けしそうなバンド名、
そしてサウンドの方もメロトロンやオルガンをたっぷりと使った、マイナー臭いシンフォニックロック。
古き良きプログレ復興のロマンを感じさせるという点では、イタリアのカリオペやイル・カステッロ・ディ・アトランテなどにも通じる、
つまりは上等なB級バンドであり、こうしたバンド登場こそがじつは厚みのあるムーブメントには必要だったわけだ。
随所にYesやELP風味も含みつつ、スリリングさの希薄な牧歌的な雰囲気は、まになってみるとなかなか心地よく聴ける。
このバンドを発掘したのがアメリカのレーベルLasers Edgeであったことも、時代的に考えるととても興味深い。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 北欧度・・7 総合・・7.5
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ROINE STOLT「The Flower King」
のちにバンドとしてのThe Flower Kingsを率いるロイネ・ストルトが1994年に発表したソロ。
かつてのKAIPAを愛していた自分にとっては、長き沈黙を破ってロイネがシンフォニックロックへと帰って来たことが嬉しかったし、
それだけにこのアルバムの素晴らしさには当時いたく感激した。とくに1曲めのタイトル曲の泣きのギターフレーズと
キャッチーなヴォーカルメロディは、この後のフラキンへの大きなイメージとなった、それだけの名曲である。
全体的にはプログレというよりはメロウなロックという趣ではあるが、20分の大曲など後の作品につながる大作志向もあり、
ともかく、ここに花王が誕生したという歴史的意義の大きな作品である。
メロディアス度・・9 プログレ度・・7 ロイネのギター度・・9 総合・・8.5
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THE FLOWER KINGS「Back in the World of Adventures」
Roine Stoltのソロ作からバンド名をとり、新たにフラワー・キングスとしてのバンド体勢となっての1作目。1995年作
1曲目の13分のタイトル曲がまず素晴らしい。希望に満ちたキャッチーなメロディとロイネ・ストルトの泣きの叙情ギターが合わさった、
まさにユートピア的なシンフォニックロック。トマス・ボディーンによる温かみのあるシンセワークも随所に光っていて、
北欧らしいメロディを盛り込んだ“Thema For A Hero”や、 美しい叙情が詰まったラストの大曲“The Big Puzzle”まで、
大人の構築センスと深みのあるメロディの流れが楽しめる。 新たなバンドのスタートを感じさせる、まさに爽快な傑作に仕上がっている。
メロディアス度・・9 シンフォニック度・・8 北欧度・・8 総合・・8.5
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THE FLOWER KINGS「Retropolis」
フラワー・キングスの2nd。1996年作
前作とともに初期のフラキンを代表する傑作。ロイネ・ストルトのメロウなギターワークと、
トマス・ボディーンのシンセを中心に、ファンタジックな香りとともにゆるやかに構築されるサウンドで、
北欧的な素朴さとシンフォニックな質感が合わさった楽曲は、ゆったりと楽しめる聴き心地。
とくにタイトル曲を含め10分を超す大曲が素晴らしく、全体的には地味に思えるものの、
やわらかな叙情という点においては、フラキンの作品中でも屈指の出来だと思う。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 北欧度・・8 総合・・8.5
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ISILDURS BANE 「The Voyage」
スウェーデンのシンフォニックロックバンド、イシルドゥルス・バーネの6th。1992年作
前作のチェンバーロック風味をさらに強化させ、いっそうの緊張感溢れる構成力でたたみかける。
鳴り響くヴァイオリンの音色に、クラシカルなピアノが重なり、シンフォニーのように優雅でありながらも
現代音楽的な硬質さを併せ持ったサウンドは、凡百のバンドにも真似のできないほどの強度がある。
旅をテーマにした幻想的なコンセプト作で、オールインストながら楽曲のドラマティックさは
90年代初頭のバンドの中でも際立っていた。このクラシカル路線は本作でやり尽くしたということか、
次作「Mind vol.1」からはバンドとしての新たな深化が始まる。底知れぬポテンシャルを秘めたバンドである。
クラシカル度・・9 シンフォニック度・・8 シリアス度・・9 総合・・8.5
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ISILDURS BANE「MIND Volume 1」
イシルドゥルス・バーネの7th。1997年作
1989年のアルバム 「Cheval」から、よりシリアスでクラシカルなアプローチにシフトしてきたバンドが、
本作においてさらなる一歩を踏み出したというべき力作。ヴァイオリンやチェロにトランペット、トロンボーン、
ホルン、オーボエ、フルートといった楽器による室内楽的な優雅さと、テクニカルな構築性が一体となり、
じつに高度なアンサンブルを形成、そして楽曲の向こうにシリアスで壮大なビジョンがかいま見える。
まさしく新時代の北欧シンフォニック、そして新たなプログレの形を提示してみせた傑作です。
クラシカル度・・8 シンフォニック度・・8 壮大度・・9 総合・・8.5
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PEKKA POHJOLA「Changing Waters
フィンランドのアーティスト、ペッカ・ポーヨラの1992年作
WIGWAMのベーシストという肩書を持つ、ペッカは間違いなくフィンランド最高の音楽家の一人である。
本作は、美しさと繊細さ、芸術性が極まった、ペッカを代表するというような傑作。
北欧の涼やかな風を感じさせる繊細なピアノで始まり、優しくやわらかな情感と、
ほのかなユーモアに包まれたサウンドには、ただうっとりと聴き入るのみ。
プログレ、シンフォニックなどという言葉ではとても表現しきれない、
人間ペッカの作品…その暖かく、はかなく、優美な旋律には感動を覚える。
静かな情緒がじわじわと心を満たしてくれる。これが芸術家の音楽である。
メロディアス度・・9 プログレ度・・7 繊細度・・10 総合・・8.5
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PEKKA POHJOLA「Pewit」
ペッカ・ポーヨラの1997年作/邦題は「タゲリ島の不思議な旅」
ジャズ、クラシックをプログレッシブに解釈し、独自の人間哲学を自然なやわらかさで音に反映させるサウンドは、
優しく、人間的で、そして深い。決して派手ではないのだが、彼の作品には芸術の魂が存在している。
このアルバムも、前作「Changing Waters」、次作「VIEWS」と並ぶ傑作であり、代表作というべき一枚となった。
1曲めからして、シンフォニックな味わいと、どこか北欧の黄昏を感じるような叙情が絶品で、
メロウなギターと繊細なピアノ、キーボードにより、楽曲はゆるやかな盛り上がりを見せてゆく。
“平凡な音楽”などとシニカルに題されたラストは19分の大曲で、ときにアヴァンギャルドな側面を見せながら、
鳴り渡るドラムを空間的なシンセが包み込んでゆき、ラストはむせび泣くギターも加わってゆく。
シンフォニック度・・8 雄大度・・8 内的芸術度・・9 総合・・8
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KERRS PINK「A Journey on the Inside」
ノルウェーのシンフォニックロックバンド、ケルス・ピンクの3rd。1993年作
1980年にデビュー、本作は前作から11年ぶりとなる作品で、これまでにないスケール感を感じる
トータル的なコンセプトアルバムとなっている。北欧の土着性を感じさせるメロウなギターフレーズと
うっすらとしたシンセワーク、マイルドなヴォーカルで聴かせるシンフォニックロックはいよいよ完成され、
ゆるやかな叙情性とファンタジックな世界観とともに、優雅にしてドラマティックな聴き心地が楽しめる。
女性ヴォーカルやフルートのの入ったアコースティカルなパートなど、繊細な美しさにもうっとりです。
シンフォニック度・・8 北欧度・・8 繊細度・・9 総合・・8
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PAR LINDH PROJECT「GOTHIC IMPRESSIONS」
スウェーデンのシンフォニックロック、パル・リンダー・プロジェクトの1st。1994年作
北欧シンフォニックの金字塔的作品というべきPLPの名作。
鳴り響くメロトロン、幽玄なるパイプオルガン、北欧独特のもの悲しいメロディと薄暗い叙情美、
混声合唱やゲストによるたおやかなフルートの音色などもじつに美しい。
タイトル通り、ゴシック的なほの暗い美しさに包まれた世界観にうっとりと浸れます。
北欧シンフォとしてはまず外せない一枚。世界的に見てもド級のシンフォニック作品である。
シンフォニック度・・9 荘厳度・・10 北欧度・・10 総合・・8.5

PAR LINDH PROJECT「MUNDUS INCOMPERTUS」
パル・リンダー・プロジェクトの2nd。1998年作
1st「Gothic Impressions」は管弦楽、チャーチオルガン、合唱隊などを配したド級のシンフォニック作で、
初めて聴いたときは大変な衝撃だった。多数のゲストを集めたソロプロジェクト的な作品だった前作に比べ
本作では女性ヴォーカルを含む5人編成でのバンドサウンドとなって、前作の壮麗さに加えて
よりロックとしての躍動感がそなわった作品となった。メロディはクラシカルでありながらもキャッチーで
音に難解なところがなく、聴いた瞬間から濃密なシンフォニックロックとして完全に楽しめるという点も魅力。
楽曲を彩る女性ヴォーカルの歌声や、メタルドラマー並に手数の多いツーバスドラムも聴きどころ。
26分の圧巻の組曲を含めて、1990年代を代表するシンフォニックアルバムのマスターピースのひとつである。
シンフォニック度・・9 ダイナミック度・・9 キーボー度・・9 総合・・8.5
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PAR LINDH & BJORN JOHANSSON「Bilbo」
スウェーデンのミューシシャン、パル・リンダービヨルン・ヨハンソンによる1996年作
トールキンの「指輪物語」の一作「ホビットの冒険」をコンセプトにした作品で、北欧らしい寒々しい叙情美と
フルートやクラリネットなどのアコースティカルな繊細さに、シンフォニックな美しさが加わった傑作。
中世的なチェンバロの音色や、荘厳なパイプオルガンなど、PLPとしての1作目である「GOTHIC IMPRESSIONS」
通じる雰囲気もあり、薄暗い叙情性と幻想美にうっとりだ。また、北欧トラッド的なメロディを散りばめているところが
いかにもBJORN JOHANSSONらしい。PLPのマグダレーナ嬢がヴォーカルで参加、ファンタジックな世界観に華を添えている。
シンフォニック度・・8 しっとり繊細度・・9 ファンタジック度・・9 総合・・8
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BJORN JOHANSSON「DISCUS URSIS」
スウェーデンのマルチミュージシャン、ビヨルン・ヨハンソンのソロ作。1998年作
自身でピアノ、キーボード、ギター、ベースを始め、マンドリンやリコーダー、フルートなどの
トラディショナルな古楽器まで演奏。音は北欧の寒々しい叙情性をもったシンフォニックロックで、
ギターとキーボードによるマイナーなメロディで曲を盛り上げる手法は、いかにも北欧らしい。
精神的には初期のMIKE OLDFIELDや、オーストリアのGANDALFに近いものを感じるが、
やはり地域的な違いか、より土着的で冬めいた北欧の自然を音を通して感じる。
メジャー思考とは無縁の作風だが、「北欧の空気」を肌で感じたい人にはうってつけのシンフォ作品。
個人的には傑作といいたい。ラスト曲はほとんど北欧版「オマドーン」。ゲストでパル・リンダーが参加。
シンフォニック度・・9 マイナー美旋律度・・9 北欧度・・10 総合・・8.5
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WHITE WILLOW「Ignis Fatuus」
ノルウェーのシンフォニックロックバンド、ホワイト・ウィローの1st。1995年作
たおやかなフルートの音色に鳴り響くメロトロン、はかなげな女性ヴォーカルの歌声。
アコースティカルな静寂さは英国フォークにも通じる湿りけがあり、バンドの全アルバム中でも、
もっとも叙情的な作品と言えるだろう。当時はANGLAGARDとも比較されていたが、
確かに北欧的な薄暗い世界観は通じるものがある。バンドはこの後、アルバムごとに方向性を変化させてゆく。
プログレ度・・7 静寂の叙情度・・9 女性Vo度・・7 総合・・8
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LANDBERK「Indian Summer」
スウェーデンのシンフォニックロックバンド、ランドベルクの4th。1996年作
90年代北欧シンフォニック最初期に登場したこのバンド、本作はバンドの最終作にして、
ひとつの彼らの到達点を示している。ゆったりとした楽曲に、重すぎないギターが反復するコードを奏で
派手すぎないシンセワークと、そしてたゆたうような男性ヴォーカルの歌声。
もはやプログレというよりは、薄暗い質感のメロディックロックという感じのサウンドだが、
この時点ですでに後のPAATOSにつながる要素はある程度確立していると言っていい。
一聴して地味に思える音なのだが、その繊細な空気がじわじわと耳に心地よくなってくる。
プログレ度・・7 ゆったり繊細度・・9 薄暗度・・8 総合・・8
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RITUAL
スウェーデンのプログレバンド、リチュアルの1st。1996年作
基本はG、B、Dr、Keyという4人組で、、テクニカルでメロディアスなプログレをやっている。
KAIPAでも歌うPatrik Lundstormの歌唱を中心に、北欧的な牧歌的メロディと
ウィットに富んだキャッチーさをもちつつ、ときにテクニカルにも聴かせるというサウンド。
マンドリンやブズーキ、ハンマー・ダルシマー、リコーダーなど、土着的な要素も織りまぜつつ
シンフォニックに盛り上げたかと思えば、軽やかな切り返しで着地したりと、力の抜け具合も楽しい。
バンドは2nd以後、若干ハードでラフな方向に行ってしまうが、そういう点ではバランスのとれた今作は
90年代北欧シンフォニックの新世代を象徴するようなアルバムといってよいかと思う。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・7 北欧度・・8 総合・・8
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◆東欧の90年代

AFTER CRYNG「ELSO EVTIZED」
ハンガリーのシンフォニックロックバンド、アフター・クライングの5作目。1996年作
CD2枚組で、1枚目は以前のアルバムからのベストに未発表曲、2枚目は1991年のライブ音源という構成。
1枚目は、この類まれなクラシカル・シンフォニックロックバンドのここまでの歩みが再確認できる作りで、セレクトされた16曲がたっぷり楽しめる
2枚目ライブの方は、バンド内にすでに小オーケストラがいるようなものなので、クラシカルさ、重厚さともに損なうことなく、
シリアスかつアカデミックな見事な演奏。ロックに対するバンドの回答ともいうべき次作「6」に至る前の、静寂と緊張感、
そしてクラシックへのこだわりとがここでは聴ける。ラストは「21世紀の精神異常者」の完コピ演奏でしめる。
シンフォニック度・・8 クラシカル度・・9 シリアス度・・9 総合・・8.5
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AFTER CRYING「6
アフター・クライングの6作目。1998年作
チェンバーロック風からスータトし、ELPの東欧版という雰囲気をへてから今作を聴くと、その進化の早さに驚かされる。
重量感、密度を増した印象で、ここで聴かれる演奏はELPと共に、彼らがKING CRIMSONもルーツにしていることを感じさせる。
従来のクラシック要素は、よりロック的ダイナミズムとの深い融合を果たし、シンフォニーとさえいってよい優雅なクラシカルパートから
一転、ドラム、ギターが入るヘヴィパートでの躍動感は、よりくっきりとしたコントラストとなって、長大な組曲2つを含む楽曲に
ドラマティックなメリハリを加えている。5人のメンバーに加え、管楽器隊など10人以上のゲストによる大がかりなシンフォニックサウンドは
室内楽的イメージも加わり、たとえば「CHEVAL」以降のISRDURS BANEに通じるものを感じる。
また、ラストにはエマーソンへのトリビュートとして爽快なキーボードシンフォ曲をやっているのも興味深い。
現在、北欧のISRDURS BANEと並び、硬質系シンフォとしては最重要のバンドであろう。
シンフォニック度・・8 クラシカル度・・8 重厚度・・9 総合・・8.5
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Rumblin' Orchestra
「Spartacus」
ハンガリーのシンフォニックロック、ランブリン・オーケストラの1998年作
RICK WAKEMANあたりを思わせるクラシカルなシンセワークを中心に、フルート、オーボエ、ヴァイオリン、チェロ、といった
室内楽の要素が加わった華麗なシンフォニックロック。ときに男女混声ヴォーカルの歌声も含みつつ、
オーケストラルな優雅さはENIDのような聴き心地で、それをさらにキャッチーに仕上げたというセンスの良さが光る。
東欧らしい隙のないクオリティが、新たなクラシカルシンフォのマスターピースを作り出した。
シンフォニック度・・8 クラシカル度・・8 壮大華麗度・・9 総合・・8.5
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SOLARIS「Nostradamus-Book of Prophecies」
ハンガリーのプログレバンド、ソラリスの1999年作
1983年に発表された「火星年代記」は、ハンガリーのプログレシーンにおいて、
EASTとともに同国を代表する存在として知られることとなった名作であるが、
本作は「1990」に続く3作目ということになる。タイトル通り、予言者として知られる
ノストラダムスをテーマにしたコンセプト作で、荘厳なチャントにフルートの音色が重なり
中世を思わせる幻想性と、異国的な雰囲気を漂わせたシンフォニックロックが構築される。
硬質感のあるギターはいかにも東欧的であるが、むしろ本作では男女コーラスの歌声を軸に
包み込むようなシンセワーク、そしてフルートこそが楽曲のイメージを豊かなものにしている。
シンフォニック度・・7 幻想度・・8 荘厳度・・8 総合・・8
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COLLAGE「Moonshine」
ポーランドのシンフォニックロックバンド、コラージュの2nd。1994年作
ベクシンスキーによるジャケも美しい傑作。 のちのSATELLITEの前身でもあるバンドで、、
東欧的な冷たく荘厳なシンセをバックにした重厚な雰囲気の中に、翳りを含んだメロウな叙情サウンドは、
今でいう薄暗系シンフォに通じるもので、マイルドなヴォーカルの歌声が繊細な耳心地となって、
美しくも物悲しい世界観を描いてゆく。Mirek.Gilの奏でるやわらかなギタートーンは東欧のハケットというべきか。
90年代後半以降のモダン派シンフォの先駆けともいえる。湿りけのある叙情に浸れる一枚である。
シンフォニック度・・9 メロウな叙情度・・9 薄暗度・・9 総合・・8.5
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COLLAGE「SAFE」
コラージュの3rd。1995年作
前作にくらべると全体的にキャッチーさが増しており、むしろ爽やか系のシンフォサウンドになっているが、
聴き直してみると、その細かく作り込まれた楽曲の繊細さと録音の良さに改めて感心する。
歌詞は英語なので、東欧という地域性をあまり意識せずに聴け、メロディアスさと優しい質感に包まれたサウンドは、
Yes + Genesisという質感でシンフォニック系を愛好するリスナーならばとても楽しめるだろう。
バンドはこのアルバムを最後に解散することになるわけだが、このメロウな叙情はSATELLITEへと受け継がれる。
シンフォニック度・・8 メロディアス度・・8 繊細度・・8 総合・・8
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QUIDAM「Quidam/Rzeka Wspomnien」
ポーランドのシンフォニックロックバンド、クィダムの1st。1996年作
美声の女性ヴォーカルで聴かせる本作は、ポーランドのシンフォニックシーンにおいて名作とされる一枚。
ゆったりと美しいシンセと叙情的なギターワークで聴かせる楽曲に母国語で歌われる女性ヴォーカルの絶品の歌声が
しっとりと優しく耳に響く。ときにハケット時代のGENESISを思わせる幻想的な雰囲気も素晴らしい。
最高傑作は3rdだと思うが、しっとりとした繊細さでは本作が一番だろう。ともかく女性声シンフォが好きな方は必聴。
再発盤のボーナスCDには未発曲やライブ音源、CAMELのカヴァーなどを収録している。
シンフォニック度・・8 しっとり繊細度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8.5
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YOU AND I
ハンガリーの女性Voシンフォニックロックバンド、ユー・アンド・アイの1st。1995年作
ハンガリーというとクラシカルかつ濃いめのシンフォニックバンドが多いというイメージだが、
このバンドは女性ヴォーカルの美声を中心にした、じつにたおやかなサウンドで、
たとえば、ポーランドのQUIDAMあたりを想起させる雰囲気を持っている。
ギターにしろキーボードにしろあまり大仰にはならず、あくまで歌メインの曲構成に好感が持てるし、
時折見せるIONAのようなケルティックな感じの幽玄さを伴った静謐感もとても心地よい。
メロディアス度・・8 たおやか度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8.5
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ABRAXAS「99」
ポーランドのシンフォニックロックバンド、アブラクサスの3rd。1999年作
スタジオ作としてはラストのアルバムで、のっけからハードエッジなギターで始まり、
母国語によるシアトリカルなヴォーカルとうっすらとした美しいシンセアレンジも含め、
これまで以上にシリアスな雰囲気に包まれたハード・シンフォニックサウンドを聴かせる。
薄暗い情緒を漂わせるメロウな泣きという点では、本作がもっとも聴きどころが多く、
コンセプチュアルな構築性も素晴らしい。90年代ポリッシュ・シンフォの傑作のひとつである。
シンフォニック度・・8 シアトリカル度・・8 東欧度・・8 総合・・8
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◆北アメリカの90年代


VISIBLE WIND
「A MOMENT BEYOND TIME」
カナダのプログレバンド、ヴィジブル・ウインドの2nd。1991年作
日本盤も出て、96年にリミックスされた本作は、カナダのバンドらしいクールな構築センスに溢れたメロディアスプログレだ。
叙情とテクニカルさのバランスが絶妙で、メロディアスさを重視した作風で、大仰すぎずメロウすきず、
シンフォニックな聴き心地だが素朴さもあるという点が、やはりカナダ、ケベック州という土地柄だろうか。
時々歌にフランス語がまじるのも隠し味で、フルートの音色などもじつに美しい好作品です。
メロディアス度・・8 シンフォだがクサすぎず度・・9 楽曲・・8 総合・・8
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MAGELLAN「Hour of Restoration」
アメリカのネオプログレバンド、マジェランの1st。1991年作
80年代も終わり、プログレッシブロックが死に絶えたと思われていた90年代初頭に
突如としてアルリカからネオプログレ復興の旗手が現れた。マイク・ヴァーニーによる
その名もMagna Cartaレーベルからデビューしたこのバンドは、偉大な航海者マゼランの名を冠し、
まるでYesの「こわれもの」のジャケにでも飛んでいそうなレトロな宇宙船を描いたジャケからしても、
ワクワクするようなロマンに満ちているではないか。サウンドの方もかつてのプログレッシブ・ロックを
ルーツにしながらも、それをモダンなアレンジと融合、1曲目から14分の大曲を構築させる力作で、
ハードなシンフォニックロックともいうべききらびやかさに溢れている。このマグナ・カルタレーベルからは
SHADOW GALLERY、CAIRらといった素晴らしい後続を生み出し、新たなプログレシーンに貢献した。
シンフォニック度・・8 ドラマティック度・・8 ロマン度・・9 総合・・8
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ECHOLYN 「SUFFOCATING THE BLOOM」
アメリカのプログレバンド、エコリンの2nd。1992年作
歌心のあるメロディアスな楽曲に巧みな演奏能力は、今でいうとSPOCK'S BEARDにも通じる
雑食性のあるメロディックサウンドである。GENTLE GIANT的な素養の深さを持ちながら、
単なる技巧のみに走らず、結果として聞きやすいポップセンスを持っているのがアメリカ的だ。
クールでいながらルロディは優しく、展開が多いのに聴きやすく爽やかという
90年代以降のアメリカ産メロディアスロック・プログレの新たな形を体現した1枚である。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 演奏・・9 総合・・8
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GLASS HAMMER 「journey of the dunadan」
アメリカのシンフォニックロックバンド、グラス・ハマーの1st。1993年作
今やアメリカシンフォニックロックの最高峰にまで成長している彼らのこれがデビュー作。
ファンタジックなジャケのイメージもそうだが、曲間に映画的な語りを導入するなど、
この時点からすでに濃密な作風で、「指輪物語」をテーマにしたシンフォニックロックが展開されてゆく。
かつてのYESにあったキャッチーな聴きやすさと、シンセによる派手な盛り上がりを聴かせつつ
アコースティカルで素朴な曲もあったりで、適度な力の抜け具合がよろしい。高品質なシンフォニック作品だ。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 ファンタジック度・・8 総合・・8
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Discipline「PUSH & PROPFIT」
アメリカのプログレバンド、ディシプリンの1st。1993作年
メロディアスな曲調にシアトリカルなヴォーカルの歌声、うるさすぎない余裕のある演奏がバランスを保っていて
とても聴きやすいサウンドだ。GENESISにクリムゾン風味を取り入れ、そこにアメリカ的なキャッチーなメロディを
ほどよくまぶしたという質感で、 どこかひねくれていながらも楽曲には小洒落たモダンさがある。
しっとりとしたヴォーカルを聴かせる曲もあり、こうした叙情性はSPOCK'S BEARDにも通じるだろう。
ヴォーカルのMATTHEW PARMENTERは、自身のソロ作でも素晴らしい作品を発表している。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 楽曲センス度・・8 総合・・8
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SPOCK'S BEARD「The Light」
アメリカのプログレバンド、スポックス・ビアードの1st。1995年作
90年代のネオプログレ、シンフォニックムーブの中において、突如として現れたこのバンドの存在は
その後の世界中の多くのバンドに、懐古主義との新たな出会いを明確に提示して見せることとなる。
レトロなオルガンやムーグが鳴り響くという、いわば70年代的なヴィンテージ感覚と
キャッチーなメロディを融合させたそのサウンドは、一聴して古き良き時代の産物であるが
大曲を構築しきる卓越した作曲センスと、演奏を含めてのトータルなレベルの高さという点で、
これがプログレとしての後退では決してないということを見せつけた。耳触りのいいやわらかなメロディと、
かつてのGENTLE GIANTのようなとぼけた味わい、そしてシンフォニックロックとしてのも盛り上げ方など、
リーダーであるニール・モーズの音楽性が遺憾なく発揮された傑作である。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 キャッチー度・・8 総合・・8
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SPOCK'S BEARD「The Kindness Of Strangers」
スポックス・ビアードの3rd。1998年作
前作で日本人キーボーディスト、Ryo Okumotoが加わり、、今やアメリカを代表するプログレバンドになった。
今回は前作のコンパクトさをそのままに、10分台の曲も3曲入れるなど、いよいよ彼らの本領が発揮。
爽やかで、優しい歌メロと、テクニカルさをひけらかさず、あくまで自然体なバックの演奏が
一体となり、この独特の「新しき懐古主義」ともいうべきサウンドを構築している。
この肩の力の抜け具合はもはや年季の入ったベテランバンドのそれで、
ただ盛り上がるだけのシンフォバンドとは明らかにスタンスが違う。
力まず、身構えず、心地よく聴けるメロディアスなプログレアルバムである。
メロディアス度・・8 キャッチー度・・8 楽曲・・8 総合・・8
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A Triggering Myth「Between Cages」
アメリカのプログレバンド、ア・トリガリング・ミスの3rd。1995年作
サウンドにはアメリカのバンドらしからぬシリアスな雰囲気があるのが特徴。
キーボード二人(片方はギターも弾く)のユニットなのだが、シンセメインの楽曲にはクラシカルな美しさと同時に、
どこか緊張感がただよう硬質さがある。今作では、そのシリアスな説得力に磨きがかかり、さらに相反するベクトルなのだが
メロディとしての聴きやすさも増している。とてもクールな音なのにシンフォニックでメロディアス、リズムは打ち込みであるが
ミニマルミュージックとしてのテクニカルな質感もあり、チェンバーロック的な冷徹さも感じられる。
まるで冷たい水の流れるゆるやかな川のように、美しくもどこかに突き詰めたた芸術志向がある音だ。
シンフォニック度・・7 クラシカル度・・8 クールな美度・・9 総合・・8
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MADRIGALOn My Hands
アメリカのプログレバンド、マドリガルの2nd。1996年作
ECHOLYNあたりに通じるキャッチーなメロディと高い演奏力で聴かせるサウンド。
コロコロとしたメロディとは対照的にロック的なリズムの跳ね方が心地よ<
歌ものであるが、独自のセンスとプログレッシブな音楽性の取り入れ方が絶妙だ。
サックスやフルートなどの使用も曲の中で上手く叙情性をかもし出している。
5分前後で聴かせる曲が多く、パッと聴きには難解さはまったくないので
アルバムとしてのインパクトは少ないかもしれないが、大人の味わいで楽しめる作品だ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 演奏センス度・・9 総合・・8
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Somnambulist
アメリカのプログレバンド、ザムナンビュリストの1st。1996年作
ジャケは不気味だが、内容はメロトロンやハモンドの鳴り響くヘヴィめのテクニカルプログレ。
クリムゾン的な構築性を有しつつも、メロディはアメリカらしく意外にキャッチーで、
よりやわらかみの増した2ndに比べ、こちらは硬質感がまだ残っている所が、
このバンドの演奏力とセンスをいっそうくっきりさせている感じがする。
レトロなプログレ要素を90年代風のアレンジで再構築しているのが見事だ。
そして、変態的な混沌の中に希望の光が見えるような(分かる?)曲構成も素晴らしい。
けっこうメロディアス度・・8 プログレ度・・9 メロトロン度・・8 総合・・8
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RING OF MYTHUnbound
アメリカのプログレバンド、リング・オブ・ミスの1996年作
サウンドは日本盤帯のタタキにある通り、YES系のメロディアスシンフォニックロックで、
Voの声質もジョン・アンダースンほど通らないが、高音を出してなかなか頑張っている。
楽曲はテクニカルな部分が多く、演奏にはYESよりもむしろ硬質さが感じられ、
せわしない展開の連続が飽きさせない。それでいてメロディをちゃんと感じさせるセンスは
この手のマイナーものとしては相当の出来といってよいだろう。2005年には2作目を発表している。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 テクニカル度・・8 総合・・8
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Blue Shift「Not the Future I Ordered」
アメリカのプログレバンド、ブルー・シフトの1998年作
やわらかなシンセアレンジとハイトーン・ヴォーカルで構築されるYesタイプのサウンド。
随所に適度なヘヴィさも覗かせつつ、いかにもプログレらしいメリハリのある展開力で
アーティスティックな聴き心地である。抜けの良い爽快さと混沌としたマイナー臭さが
ミックスされた雰囲気で、この偏屈さを楽しめるようなリスナーには好作となるだろう。
とくにクラシカルであったりシンフォニックであったりするシンセワークはなかなか見事ですな。
何故か、Led Zeppelin“移民の歌”をカヴァー。イエスがツェッペリンやっているみたいで面白い。
ドラマテイック度・・8 プログレ度・・8 Yes風味度・・8 総合・・8
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CAIRO「CONFLICT AND DREAMS」
アメリカのハード・プログレバンド、カイロの2nd。1998年作
1stの時点ではあまりにもYES/ELP色が強すぎたが、本作は楽曲に独自の色が出始めた傑作となった。
ヴォーカルの歌唱には今だYES臭さがのこるし、シンセのいかにもELP的な色も顕著に表れているが、
なにより曲が良くなった。同レーベルの先輩でSHADOW GALLERYにも通じるメタリックなアレンジが功を奏し、
長い曲でも決してだれることなく緊張感と叙情を展開の中で保たせることに成功している。
以前はシンセに隠れて目立たなかったギターのフレーズも本作では効果的に聴かれ、
メロディアスにシンセと絡みながらいっそうシンフォニックに音の厚みを加えている。
70年代的プログレの香りを受け継ぐテクニカル・ハードプログレ作。3rd「TIME OF LEGENDS」も素晴らしい。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・8 キーボー度・・9 総合・・8.5
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MASTERMIND「VOLUME TWO “BRAINSTORM”」
アメリカのハードプログレバンド、マスターマインドの2nd。1997年作
キーボード奏者はおらず、シンセの音色をMIDIギターにより再現するという独自の発想と、
クラシカルかつ濃密なメロディを激しめの演奏でたたみかけるハードプログレの傑作。
いかにもELP的だった1stに比べて、サウンドはより壮大になり、ドカドカとせわしないドラムと
鳴り響くMIDIギターにより、説得力を増した押しの強いシンフォニックロックを構築してゆく。
のっけから21分の組曲というのも凄いが、それ以上にワーグナーの“ワルキューレの騎行”や
ロッシーニの“ウィリアムテル序曲”といったクラシックのカヴァーもすごい迫力だ。
クラシカル度・・8 シンフォニック度・・8 濃密度・・9 総合・・8
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◆南米の90年代

SAGRADO「FAROL DA LIBERDADE」
南米ブラジルを代表するシンフォニックバンド、サグラドの3rd。「自由の灯」1991年作
艶やかなヴァイオリンの乱舞で軽やかに疾走する、1曲め“Danca das Fadas”のインパクトは
ただごとではなかった。大自然を思わせる繊細な叙情美と雄大なダイナミズムを同居させ、
それをメロディックに仕上げてゆく彼らのサウンドは、本作で完成をみたといえるだろう。
これまでよりインストパートに重点が置かれたことで、ヴォーカル曲とのメリハリがついて、
美しいピアノやシンセ、それに絡むヴァイオリンやフルートの音色などがより躍動感をともなって響いてゆく。
しっとりと優しく、優雅で壮大という、感動的なまでの完成度である。
メロディアス度・・9シンフォニック度・・8 雄大度・・10 総合・・9
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SAGRADOGrande Espirito」
サグラドの4th。「偉大なる精霊」1994年作
ヴァイオリンが鳴り響くゆるやかにして美しいシンフォニックロックは本作も健在であるが、
躍動的なダイナミズムを感じさせた前作から、いくぶん民族的な色合いを強めた作風となっている。
母国語の歌声に重なってゆくコーラス、美しいシンセワークと艶やかなヴァイオリンの音色。
大地の息吹を感じさせるような世界観と、自然と神々への畏怖を含んだメッセージを思わせる
雄大な聴き心地はやはりこのバンドならではだろう。14分の大曲も含め、まさに壮大な傑作である。
メロディアス度・・8シンフォニック度・・8 雄大度・・9 総合・・8.5
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BLEZQI ZATSAZ (FAVIO RIBEIRO)「RISE AND FALL OF PASSIONAL SANITY」
ブラジルのシンフォニックロックバンド、、ファビオ・リベイロのソロ作。1990年作
濃密かつシアトリカルなシンフォバンド、V MILENIOのキーボード奏者でもある彼だが、
本作はそれ以上に大仰かつドラマティックなキーボードシンフォニックが全開。
きらびやかなシンセの重なりでオーケストラルな華麗さを描き出しつつ、
怒濤のように盛り上げてゆく様は、まさにラテン系の熱き魂か。
キーボードシンフォとしては世界最高レベルの派手さ。こりゃすごいです。
メロディアス度・・9 シンフォニック度・・10 ドラマティック度・・9 総合・・8.5
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Quaterna Requiem「Quasimodo」
ブラジルのシンフォニックロックバンド、カテルナ・レクイエムの2nd。1994年作
1st「Velha Gravura」はヴァイオリン、フルート入りのシンフォニックロック力作であったが、
続く本作はも38分の組曲入りのド級のシンフォ大作。イントロの荘厳さからして
ドラマティックなプレリュードというように胸踊る。今作にはヴァイオリン奏者は参加していないが、
まるで南米のPAR LINDHかというようにクラシカルに弾きまくる女性シンセ奏者を中心に、
壮麗きわまりないコテコテのクラシカル・シンフォニックロックを展開。そしてラストの大曲は
グレゴリアンチャントまで入った悶絶級の出来。90年代の南米シンフォを代表する濃密傑作だ。
シンフォニック度・・9 クラシカル度・・8 キーボー度・・9 総合・・9
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DOGMA「TWIN SUNRISE」
ブラジルのシンフォニックロックバンド、ドグマの2nd。1995年作
美しいピアノとシンフォニックなシンセ、そこに叙情的なギターワークが合わさって
まるでSAGRADOを思わせるような雄大かつ繊細なサウンドが現れる。
楽曲は主にインスト中心でありながら、この引き込まれるような器の大きさ…
そして絶品のメロディと叙情美。女性ヴォーカルの歌声もいいアクセントになっている。
90年代の南米シンフォを代表する1枚と言っていい内容だろう。
シンフォニック度・・8 叙情度・・9 繊細度・・9 総合・・8.5
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TEMPUS FUGITTales from a Forgotten World
ブラジルのシンフォニックロックバンド、テンパス・フュージットの1st。1997年作
SAGRADO
の登場以降、90年代の南米にはにわかにシンフォニックバンドが増えていったが、
このバンドもDOGMAQUATERNA REQUIEMと並ぶ質の高いアルバムを残した。
これぞシンフォプログレといわんばかりのシンセワークに、メロウなギターフレーズが重なり、
南米的なやわらかみに包まれて、GENESISを思わせるロマンティシズムが溢れだす。
シンフォニック度・・8 メロウなロマン度・・9 南米度・・8 総合・・8
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ASA DE LUZ「The Link」
ブラジルのシンフォニックロックバンド、アサ・デ・ラズの1998年作
ややハードめのギターにピアノ、そして艶やかなヴァイオリンが絡み、ドラマティックなシンフォニックサウンドを形成、
主に英語で歌われるヴォーカルメロディも分かりやすいし、ギタリストの奏法はハードロックの感触もあったりするので、
メタル系のリスナーにも聴きやすいバンドかもしれない。南米ハードシンフォニックとしてはなかなかの好作品である。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 南米度・・8 総合・・8

PABLO EL ENTERRRADOR「2」
アルゼンチンのシンフォニックロック、パブロ・エル・エンテラドーの2nd。1998年作
80年代に南米シンフォを代表する名作を生み出したこのバンドの、15年ぶりとなる2作目。
美しいシンセワークにメロウなギターで聴かせる優美なシンフォニックサウンドは健在で
よりソフィスティケイトされた優雅さで、CAMELばりのやわらかな叙情美にうっとりとなる。
プログレ的な構築性は薄まったが、メロディックロックとしての繊細さがより際立っている。
南米らしいやわらかな耳心地でゆったりと楽しめる。なんだかんだでこれも傑作です。
2013年再発盤はジャケも変更され、ボーナスに1998年のライブ音源5曲を追加収録。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・8.5
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NEXUS「DETRAS DEL UMBRAL」
アルゼンチンのシンフォニックロックバンド、ネクサスの1st。1998年作
女性Voを含む5人組で、基本はたたみかける押しのシンフォニックロック。
ときに大仰に、ときにELPばりに華麗に弾きまくりのいかにもプログレ的なキーポードと、
けっこうハードめなギターをメインにした、重厚で濃い目のハードシンフォサウンド。
女性Voは添え物的で、スペイン語の歌唱も南米っぽくて良いのだがバックが濃すぎるためあまり目立ってはいない(笑)
キーボード主導という点では、あるいは日本のGERARDあたりにも近いかもしれない。
全体的にもコテコテ濃密系で、ディープなシンフォファンも満足する一作であろう。
シンフォニック度・・8 テクニカル度・・6 コテコテで押します度・・9 総合・・8
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